いよいよ2019年10月1日から、消費税法及び地方消費税法の税率引き上げと、軽減税率制度の導入が予定されています。
「クライアントへ対応はしているものの、まだ不安が…」そう感じている公認会計士や税理士の方は、多いのではないでしょうか。
『弥生会計』でお馴染みの弥生株式会社様(以下、弥生)では、税理士や公認会計士の方々を対象にしたアドバイザープログラム「弥生PAP」(やよいぱっぷ)を運営されており、その会員の皆様向けに弥生や業界のトレンドをお届けする弥生PAPカンファレンスを年2回開催されています。
今回の弥生PAPカンファレンス2019年春は、「デジタル化」と、間近に迫る「消費税法改正」をメインコンテンツに、全国7会場(東京、大阪、名古屋、広島、福岡、札幌、仙台)で開催されました。
今回、前編と後編の2回に渡り、2019年6月13日、東京・ベルサール秋葉原にて開催された弥生PAPカンファレンス2019春(東京)の模様をお届けします。
※記事内のスライドは弥生PAPカンファレンス2019春にて用いられたものです。
消費税法改正を直前に控えて、盛況の東京会場
年2回、毎年継続的に開催されている同イベントですが、東京会場は今回も増席して開催される盛況ぶりでした。
今回のカンファレンスでは、デジタル化の潮流と消費税法改正への対応、弥生関連のサービスの最新情報、会員会計事務所の事例発表などが行われました。
弥生PAPカンファレンス2019春(東京)プログラム
- 弥生の今とその先にあるもの
- 弥生の消費税法改正への対応と今後の計画
- 弥生PAP会員による事例発表
- 法改正を機に見直すべき事務所課題と取り組みについて
- 消費税法改正の対策に有効な弥生製品と連動製品の活用
デジタル化が社会全体に拡大中。弥生 19 シリーズが向かう未来
今回のカンファレンスでは、弥生の岡本代表より、
- 弥生に関する現状と今後の計画
- デジタル手続法案成立と法令のマクロトレンド
- 海外事例に見るデジタル化の潮流
についてのプレゼンテーションが行われました。
デジタル手続法が2019年度から施行。業務デジタル化にも変化が
プレゼンテーションでは、デジタル手続法案の成立で、かねてより今後のビジョンとして掲げている『業務3.0』(テクノロジーの力で業務プロセス全体を自動化・効率化)が新しいステージへと進化すると、岡本代表から今後の方向性が語られました。
デジタル手続法施行後、行政手続きが原則として電子申請に統一されることに伴い、岡本代表は「業務も電子データを前提としたものへと再設計が必要になる」と説明されました。
海外諸国のデジタル化への取り組み
日本でのデジタル手続法案成立の流れを受けて、諸外国のデジタル化への取り組みについても紹介されました。
岡本代表は、オーストラリア、イギリス、イタリアのデジタル化の導入事例を示されました。
- オーストラリア:給与支払報告のデジタル化(2018年7月導入)
- イギリス:税務申告まで一貫したデジタル処理を義務付け(2019年4月導入)
- イタリア:電子インボイス(2019年1月導入)
従来は紙で管理が行われていたため年金の支払い漏れがありましたが、デジタル化で、行政手続きが正確で効率的になったと、業務デジタル化のメリットを説明されました。
国内と諸外国のデジタル化の流れを受けて、弥生は変化と業務効率化の両方をフォローしていくと今後の展望を語り、プレゼンテーションを締めくくりました。
事業者の半数以上が消費税法改正に課題。トラブル回避に業務別の事前対応を
続いて、マーケティング本部の飯野本部長より、「消費税法改正に関する事業者の課題」と「会計事務所の支援方法」についてのプレゼンテーションが行われました。
まず、事業者に対するアンケート結果が公表され、消費税法改正を目前に控えて、半数以上が業務準備に課題を抱えていることが分かりました。
今回の消費税法改正では軽減税率が導入されており、店舗販売や現場の混乱など様々な問題が起きる可能性が指摘されています。
業務への影響を最小化するために、事業者の課題を業務別に洗い出して事前準備をすることが必要であると、飯野本部長は説明されました。
特に仕入業務では、売買双方で消費税率の扱いが異なると税務監査上で問題が発生してしまい、仕入税額控除が認められなくなる可能性があるため、税率の確認が鍵になると飯野本部長は指摘されました。
消費税法改正では、軽減税率や経過措置が設けられているため、複数の税率が適用されることによる混乱が想定されます。
顧問先ごとに、軽減税率に対応したPOSレジの導入や、経過措置の対象になる事業の確認など、多様な支援の必要性を、飯野本部長は指摘されました。
ようやく消費税改正を迎えようとしています。混乱が生じないために、会計事務所がどのような支援をすべきなのか考えさせられるプレゼンテーションでした。
後編では、弥生PAP会員事務所の事例発表をお届けします!
→国内最大手の会計事務所が取り組む消費税法改正と人材育成、辻・本郷税理士法人の施策とは?:弥生PAPカンファレンス2019春・東京レポート(後編)
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「弥生PAP」とは、弥生株式会社と会計事務所がパートナーシップを組み、弥生製品・サービスを活用して、中小企業、個人事業主、起業家の発展に寄与するパートナープログラムです。2018年9月時点で9,000以上の事務所が加入。税務サービスを提供する会計事務所様はぜひご加入をご検討ください。