トーマツ子会社の社長に30代・斎藤祐馬氏が就任、監査法人交代の増加原因は報酬が2割、粉飾がなくならない現状に苦言など3件:今月の会計士業界ニュース(2019年6月その1)



2019年6月の会計士業界の時事ニュースをお届けします。

6月4日、9日にリリースされた「トーマツ子会社の社長に30代・斎藤祐馬氏就任」「監査法人交代が増加する原因は報酬が2割」「粉飾がなくならない現状に苦言」の3件のニュースをご紹介します。

トーマツベンチャーサポート社長に斎藤氏就任

スタートアップ企業の成長が著しい中、支援側も体制拡充に乗り出しました。

今回、斎藤祐馬氏のデロイトトーマツベンチャーサポート社長就任に関する記事が、日本経済新聞よりリリースされています。

デロイトトーマツベンチャーサポート(DTVS、東京・千代田)はスタートアップ企業の支援体制を拡充する。これまで事業統括本部長を務めてきた斎藤祐馬氏(36)が1日付で社長に就任しており、スタートアップの海外進出や大企業とのM&A(合併・買収)を後押しする。

引用元:トーマツ、新興企業の支援拡充 斎藤氏が子会社社長に(日本経済新聞 2019年6月4日付)

斎藤氏は、2006年会計士試験合格の36歳。BIG4監査法人グループ企業の代表としては異例の若さでの就任と言えるでしょう。

また、記事によると、斎藤氏は、M&Aによるエグジットを増やすことで連続起業家を増やし、2023年までに時価総額が1,000億円を超えるユニコーン企業を20社創出することを中期事業目標としているそうです。

スタートアップの促進は経済拡大につながるだけでなく、IPO市場の活性化やスタートアップに投資や事業提携する大手企業の経営にも大きな影響があります。トーマツベンチャーサポートや斎藤氏の今後のさらなる活躍が期待されます。

監査法人交代が増加する原因は報酬が2割

上場企業で監査法人の交代が進んでいますが、この流れは今後も続くのでしょうか。

今回、上場企業での監査法人交代に関する記事が、日本経済新聞よりリリースされています。

上場企業で監査法人の交代が相次いでいる。1~5月に交代を発表した社数は前年同期より3割弱増えた。今年から実質的に始まった交代理由の開示によると、監査報酬を要因とした企業が2割あった。人手不足で監査法人が契約を辞退する事例もある。監査の厳格化に伴い業務負担が重くなっており、企業と監査法人で適切な報酬の水準を模索しているようだ。

引用元:「報酬で折り合わず」が2割 上場企業、監査法人の交代増加(日本経済新聞 2019年6月4日付)

記事によると、今年から実質的に開示が始まった交代理由を調査したところ、交代理由の4割を「監査継続期間の長期化」が占めているそうです。EUが監査法人の「ローテーション制度」を導入したことを受けて、日本でも定期的に監査法人を交代する企業が増えているとのことです。

また、監査報酬が折り合わないことも理由の2割を占めており、監査の質を保つために必要な監査報酬確保が難しい現状が浮き彫りになっています。

ローテンション制度に倣った前向きな理由による交代が増えるのか、それとも監査報酬削減を狙った交代が増えるのか、来年度以降も動向を注視したいと思います。

粉飾がなくならない現状に苦言

以前、今月の会計士業界ニュースで、元あずさ監査法人の代表社員、細野祐二氏が粉飾発見ソフトを開発したニュースについてお伝えしました。

今回、細野氏の著書『会計と犯罪--郵便不正から日産ゴーン事件まで』が現代ビジネスで紹介されています。

’04年3月、大手監査法人の会計士だった私は、害虫駆除会社・キャッツの株価操縦事件にからむ粉飾決算を指導したという身に覚えのない罪で、東京地検特捜部によって逮捕、起訴されました。最高裁まで争ったものの、上告が棄却され有罪が確定し、公認会計士の資格も失いました。

当時、私は50歳でしたが、あの瞬間、「自分の人生はもう終わった」と思いました。しかし、いまでも「あの決算は粉飾ではない」という確信に変わりはありません。それでも判決を覆すことはできなかった。これは、検察をはじめとする日本の司法が、会計の本質を理解していないことに原因があります。理解できないのは仕方ないことですが、聞く耳を持たないのは困ります。

だとすれば、なにが粉飾でなにが粉飾ではないのかを、正しく世の中に知ってもらうしか、私の主張の正当性を示す方法はない。そう考えたのが、粉飾決算の研究をはじめたきっかけでした。

引用元:なぜ粉飾はなくならないのか…伝説の会計士が「監査法人の闇」を暴く(現代ビジネス 2019年6月9日付)

細野氏の著書が紹介されており、東京拘置所での日々や有罪確定後の執行猶予期間の苦闘、また日本の資本市場で粉飾がなくならない原因や、ゴーン事件の真相についても言及されているそうです。

会計士にとって関心が高い疑問について細野氏流の見解が分かりやすく述べられている本書、一読の価値がありそうです。

(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧



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【大津留ぐみ:公認会計士・税理士/会計士・税理士専門ライター】 大学在学時にシェイクスピアを学んだことをきっかけに劇作家を目指すも挫折。編集プロダクションで編集やライティング業務に従事した後、公認会計士試験にチャレンジし合格。大手監査法人の東京事務所にて監査業務、財務デューデリジェンスなどに従事。 その後、フリーランスの公認会計士として非常勤監査、税理士法人の社員税理士として税務業務に従事しつつ、大津留ぐみのペンネームでライターとしての執筆活動にも従事。ライターとして、お金、社会保障、会計、税務などに関する記事を執筆。また、2児の母となったことをきっかけに、子どもの貧困や教育格差、子どものイジメに関する記事なども執筆。現在は、株式会社ワイズアライアンスの専属ライターとして会計・税務の記事を執筆しつつ、会計事務所にて内部統制業務にも従事するパラレルワーカー。公認会計士・税理士。

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