9月5日から26日にかけて、デロイトグループや監査法人業界に関連したニュースや記事が複数リリースされています。トーマツが企業内保育園開設、デロイトへのサイバー攻撃、監査契約打ち切りラッシュ、監査法人と労基署の動きに関する記事など、幅広くご紹介します。
来年4月からトーマツが企業内保育園開設
•デロイト トーマツ グループ 2018年4月に企業内保育園開設(デロイトトーマツ 2017年9月20日付)
「企業内保育園がある」と聞くと、女性の出産・育児を応援してくれる働きやすい企業というイメージを持ちませんか?企業にとっても、育児休業後の保育園探しで優秀な人材が離職してしまうことを防ぐというメリットもありますよね。
デロイトトーマツグループは、2018年4月から開設する企業内保育園についてプレスリリースを発表しました。
デロイト トーマツ グループは、グループのプロフェッショナルの多様な働き方の支援として、東京都千代田区神保町に企業内保育園を2018年4月に開設することを決定しました。本保育園開設・運営に際して、内閣府の「企業主導型保育事業」に申請を行う予定です。
引用元:デロイト トーマツ グループ 2018年4月に企業内保育園開設(デロイトトーマツ 2017年9月20日付)
デロイトトーマツグループでは、国内外の人材から憧れられるファームになるための働き方改革を推進しているとのことです。
「仕事時間の充実(業務の改革)」、「生活時間の充実(ワークライフバランスの改革)」、「職場の充実(インフラの改革)」の3本を改革の柱としています。企業内保育園は、「職場の充実(インフラの改革)」として行われています。
デロイトトーマツグループで働きたいと考えている人は、今後の改革にも目が離せませんね。
デロイトを不正アクセスで攻撃。
•デロイトにサイバー攻撃 「影響はわずか」 (日本経済新聞 2017年9月26日付)
会計コンサルティング会社にとって顧客の機密情報の漏えいは死活問題。漏えい防止のためのセキュリティ措置は、手を尽くしても尽くしたりません。
そんな会計コンサルティング会社のデロイトにサイバー攻撃があったとする記事が、日経新聞の記事より出ています。
大手会計コンサルティング会社のデロイトは25日、外部からのサイバー攻撃を受けていると発表した。声明によると、社内の電子メールシステムから不正アクセスを受けた。調査を継続しているものの影響のある顧客は「わずか」で、業務に支障はないとしている。
引用元:デロイトにサイバー攻撃 「影響はわずか」 (日本経済新聞 2017年9月26日付)
記事では、米証券取引委員会もサイバー攻撃の対象になっており、資本市場のインフラが相次いで標的になっているとのことです。
デロイトトーマツグループでは、デロイトトーマツリスクサービス株式会社がサイバーリスクへのアドバイザリー業務を行っています。今回の影響がわずかで済んだのも、日頃からサイバー攻撃へのリスク管理を自ら実践していたからなのかもしれません。
契約打ち切りラッシュ。監査法人がリスク回避!?
•監査から逃げ始めた監査法人…東芝の不正見逃した新日本、契約打ち切りラッシュ(ビジネスジャーナル 2017年9月25日付)
東芝の不適切会計問題を受け、監査法人業界では監査法人の変更が相次いでいるようです。監査法人の変更と言っても、監査法人に対する信頼を失いクライアント側から契約を打ち切る場合と、監査法人の方から契約を打ち切る場合があります。
監査法人トーマツが東京証券取引所2部に上場している半導体装置メーカー「アピックヤマダ」との監査契約を打ち切ったという記事が、ビズジャーナルより出ています。
監査法人変更の発端は4月末、トーマツと、アピックヤマダのメインバンクである八十二銀行に「内部告発」の文書が届いたことだ。その文書は、18年3月期の売り上げ分が17年3月期に前倒しで計上されていたと指摘していたという。八十二銀行はアピックヤマダ株式の4.95%を保有する筆頭株主で、系列の八十二キャピタルは3.23%を保有する第2位の株主だ(自社株保有分を除く)。
引用元:監査から逃げ始めた監査法人…東芝の不正見逃した新日本、契約打ち切りラッシュ(ビジネスジャーナル 2017年9月25日付)
記事によると、今回の契約打ち切りの原因は、売り上げに関する一部会計処理について修正の必要性と上場企業としてコンプライアンス上問題があるとトーマツが判断。アピックヤマダに対して改善策の明示を求めたものの、具体策が提示されなかったため、監査契約の打ち切りにつながったようです。
アピックヤマダが17年3月期にトーマツに払った監査報酬額は3340万円で、不正会計が発覚するかもしれないリスクの割に報酬は低い。トーマツが監査契約を打ち切った理由のひとつとみられている。
引用元:監査から逃げ始めた監査法人…東芝の不正見逃した新日本、契約打ち切りラッシュ(ビジネスジャーナル 2017年9月25日付)
また、本記事では監査報酬も契約打ち切りの理由のひとつではないかと書かれており、大手監査法人が中堅・中小企業の監査から逃げ出している事例として挙げられていますが、アピックヤマダの件に関してはコンプライアンス上の問題ですので、監査報酬の多寡に関わらず継続は難しいのではないでしょうか。
一方で、監査の厳格化の流れは、監査コストの増加につながります。監査報酬の高額化によって、大手監査法人から契約変更する流れは続くのかもしれません。
大手監査法人VS労基署
•大手監査法人界隈が労基署対応でざわつていると噂に(市況かぶ全力2階建 2017年9月5日付)
株式市場や経済事件などを中心とした有名Twitterまとめブログ「市況かぶ全力2階建」に監査法人関連の話題が登場しています。
繁忙期ともなれば、タクシー帰りや徹夜の経験がある会計士の方も多いかと思いますが、そんな監査法人に対する労基署の指導に関する話題がTwitterで盛り上がっていたようです。
Twitterの話題なので真偽の程はわかりませんが、
- 大手監査法人が上場準備会社の新規契約を一斉に断り出した。
- 大手監査法人ではスタッフに残業させられないのでパートナーが自ら個別調書を作っている。
といった話題が挙がっています。
監査の厳格化が進み、さらに業務量が増えている状況での労基署指導。金融庁対応のチェックリストを埋め作業のためには残業したくないけど、個別調書を作ったり本来の監査業務をして監査スキルと磨くなら残業してもOKと思っている会計士は多そうですが。今後どうなるのでしょうか。
(ライター 大津留ぐみ)