本日、平成28年11月11日(金)、平成28年公認会計士試験の合格者が発表されました。
合格者の皆様、おめでとうございます!
※写真は東京の合格発表会場にて。大原の講師&合格者のみなさん。
今年度の合格者に関する概要は下記の通りです。
平成28年公認会計士試験 合格者の概要
【願書提出者数】 10,256名(昨年の10,180名から76名の増加)
【合格者数】 1,108名(昨年の1,051名から57名の増加)
【合格率】 10.8%(昨年の10.3%から0.5%の上昇)
【合格者最高年齢】 67歳
【合格者最低年齢】 19歳
【合格者の平均年齢】 26.2歳
【合格者性別】男性872名、女性236名(合格者の女性比率21.3%)
※30歳未満(20代・10代)の合格者比率76.6%
※大学(および短大)在学中の合格者37.2%
合格者数と合格率 -合格者数は9年ぶりに増加!合格率も上昇!
本年の公認会計士試験(論文式)における合格者数は1,108名となりました。また、合格率は10.8%でした。
この結果は、昨年と比較すると、合格者数は57名の増加となり、合格率は0.5%の増加となっています。 また、合格者数は平成19年の4,041名をピークに8年連続のダウンとなっていたのが、9年ぶりに増加に転じています。合格率は平成23年の6.5%を境に5年連続のアップとなっています。
この2~3年、監査法人業界は全体的に人不足が続いていますので、増加数は多くはないものの、合格者数が増加に転じているのは幸いと言えるでしょう。
【図1:過去14年間の合格者数と合格率】
願書提出者数 -願書提出者数が6年ぶりに増加!会計士人気の復活なるか!?
本年の願書提出者の総数は10,256名でした。これは昨年の10,180名と比較すると76名の増加であり、平成22年以来、5年連続の減少だったものが6年ぶりに増加に転じています。
この願書提出者数の下げ止まりは、ここ数年で志望者の減少が見られた公認会計士業界にとっては明るい兆しのひとつと言えるでしょう。
【図2:過去14年間の公認会計士試験願書提出者数の推移(単位:人)】
※クリックすると拡大します。
高まる合格率、公認会計士は学生合格しやすいリスクの低い資格!?
ここ数年の合格者数の減少で再び難関化したイメージもあった会計士試験ですが、図1の合格率を長期のトレンドで見ると、直近の合格率も5年連続で上昇しており、また、一時的に合格者数が増加した平成18年より前の会計士試験(15,000名前後が受験し、8.5%程度が合格)よりも合格可能率が高くなっています。
また、大学在学中の合格者の比率も37.2%、合格者の平均年齢も26.2歳ということで、若いうちに合格することも可能であり、監査法人への就職状況も、前述の通り大きく改善していますので、合格後の就職の心配もかつてほどありません。(もちろん、今は好景気ですが、合格時期が不景気と重なるかもしれないという懸念はあります。)
逆に、大学在学中の早いタイミングから試験にチャレンジしていれば、残念ながら合格できなかった場合にも早期に軌道修正を行うことができ、リスクヘッジもしやすいと言えます。
公認会計士業界としてはより優秀な人材を業界に呼びこむために、こういった点をアピールするなど、さらに受験者数を増やしていくこともテーマのひとつと言えるでしょう。
監査法人の採用・合格者の就職活動 -今年も合格者優位の売り手市場!監査法人は採用に苦戦か!?
業界内の情報などから、本年も昨年に引き続き各監査法人は積極的に人材を採用する傾向であり、また、大手監査法人も相当数の人材を採用すると考えられることから、合格者にとっては就職活動を行いやすい環境だと言えるでしょう。
一方で、本年も基本的に「売り手市場」(就職希望者が優位の市場)であるため、監査法人間での人材獲得競争も激しいものとなることが予想されます。合格者の就職活動が容易な分、採用側である監査法人にとっては今年も準大手・中小監査法人のみならず、大手監査法人も含めて油断のできない採用市場となる可能性が高いと言えます。
なお、監査法人の採用状況や人材状況は今後の会計士試験の合格者数にも影響を与える可能性があります。以前の会計士試験が合格者増となる直前にも、業界内には現在と同じような「売り手市場」「人不足」の状況が見られましたが、今後はどうなっていくのでしょうか?最終的には金融庁の方針次第となりますが、業界の今後を予想する上でも今年の就職・採用状況は要注目だと言えます。
※本文中のデータは金融庁の「平成28年公認会計士試験 合格者調」「平成28年会計士試験の合格発表の概要について」を参考に作成。
※願書提出者数、合格者数、合格率等、本文中の数字は短答式試験みなし合格者、旧第2次試験合格者を含んだ数字で算出しています。