監査経験はFASやコンサルで活きるのか?公認会計士がFASやコンサルティングにチャレンジするために知っておくべきこと

  • 2014/6/16

来る7月5日(土)に「独立・開業」「海外・グローバル!」をテーマにした第2回・公認会計士ナビonLive!!が開催されます。本記事ではイベントの雰囲気を皆様にお伝えすることを目的とし、第1回・公認会計士ナビonLive!!(テーマ:「FAS・コンサルティグ」「ベンチャー・スタートアップ」)の模様をピックアップしてお伝えいたします。

今回は第1回で行われた「FAS・コンサルティング」のトークセッションを取り上げます。

「FAS・コンサルティング」のトークセッションでは、FAS・コンサルティング分野で活躍する4名の若手公認会計士が、「FAS・コンサルティング業界とはどのようなところか」「公認会計士がFAS・コンサルティング業界で活躍するには何が必要か」などをテーマにセッションを行いましたが、その中でも注目の発言をピックアップしてお送りいたします。

複雑な会計処理に対応できる強みを活かし、
論理的思考や経営判断の厳しさを知ることが重要
山田ビジネスコンサルティング株式会社 コンサルタント 公認会計士 赤塚佳弘

山田ビジネスコンサルティング株式会社 コンサルタント 公認会計士 赤塚佳弘
山田ビジネスコンサルティング株式会社 コンサルタント 公認会計士 赤塚佳弘

1984年生まれ。2007年一橋大学商学部卒業。同年、公認会計士試験に合格し、あらた監査法人(PwC)に入社。東証1部上場企業の財務諸表監査や内部統制監査、外資系企業のリファードワーク等に4年半従事し、複数クライアントの現場責任者を務める。2012年8月、日本企業の発展に会計面だけでなく経営面からも貢献したいとの想いから、中小企業の事業再生に強みを持つ山田ビジネスコンサルティング株式会社に入社。小売業、製造業の再生支援業務や、業務改善プロジェクト、海外現地法人調査、人事評価制度構築支援業務などに従事。

BIG4監査法人から山田ビジネスコンサルティング(以下、YBC)に転職し活躍する赤塚氏は「監査で培われた会計処理に関する知見はコンサルファームにおいても活きる」と語ってくれた。企業再生や事業承継において未上場企業や中小企業の決算書を分析する際には、処理を間違っているものや不正確なものに出くわすケースもあるが、上場企業の会計監査を通じて、しっかりした会計処理に数多く触れていることによって「財務諸表の間違いや違和感に気づきやすい」という。また、YBCのコンサルタントは皆、高い会計知識を有しているが、論点が繰延税金資産など複雑になってくるケースではやはり公認会計士としての知見にアドバンテージがあるという。

一方で、論理的思考能力はコンサルファームのほうが遥かに必要とされるという。コンサルティングでは、「課題に対して論点を設定し、仮説を立て、そして、検証していく」というサイクルがとられるが、監査においては論点設定と仮説の立案が手続書類によって与えられている部分がある。そのため、業務がどうしても検証に寄りがちであり、赤塚氏自身も「論点を自分たちで設定し、仮説を立てる」という部分には監査との大きなギャップを感じたという。

赤塚氏がもうひとつ指摘したのが「経営の現場の厳しさ」だ。経営コンサルティングの現場では、過酷な意思決定に直面するケースも少なくないが、そこには合理性だけでは解決できない問題や、再生コンサルティグという一見するとカッコ良さそうなイメージとは正反対の現場ならではの厳しさがあるという。

例えば、赤塚氏が過去に携わった地方の小売業の再生案件では、経営破綻を回避するために店舗の半分を閉めなければならないケースがあったが、その企業のオーナーからは「そうすべきというのはわかりますが、あなたには解雇される従業員のツラさがわかりますか?」と指摘されたことが印象に残っているという。判断を間違えると会社がなくなるという危機的状況ながらも、可能な限り雇用を守りたいと考える経営者の想いがそこにはあったのだ。赤塚氏はコンサルタントには論理だけではなく、クライアントの想いに応えていくということも必要だと強調した。

FASを目指す会計士が監査において注目すべき点とは?
アドバイザリーは未来を見る仕事
みずほコーポレートアドバイザリー株式会社 営業本部 公認会計士 横田基之

みずほコーポレートアドバイザリー株式会社 営業本部 公認会計士 横田基之
みずほコーポレートアドバイザリー株式会社 営業本部 公認会計士 横田基之

1981年東京都中野区生まれ。2006年に公認会計士試験合格後、あずさ監査法人(現 有限責任あずさ監査法人)に入所し、会計・内部統制監査、IPO準備、ベンチャー支援、アニュアルレポート作成支援、社内マニュアル作成等業務に従事。2013年にメガバンク系FASであるみずほコーポレートアドバイザリー株式会社に入社し、オーナー系を中心とした中小規模企業の資金調達支援、事業再生、M&A等業務に従事している。

BIG4監査法人を経てメガバンク系ファームのみずほコーポレートアドバイザリー(以下、みずほCA)で活躍する公認会計士の横田氏は、「監査での経験は、バリエーションで活かせると感じている」と語ってくれた。横田氏が所属するみずほCAは、金融機関が母体であるため、デットファイナンスやエクイティファイナンスなどのファイナンスに詳しいメンバーが多い環境であるが、会計監査において勘定科目の特性を理解した上での財務諸表の統括的な分析を日常的に行っていたおかげで、数字に強いメンバーが多く活躍する現職においてもB/S、P/Lを見て実態を把握できる能力が自らの強みとして活きているという。

一方で、FASを目指す若手会計士は、例えば、監査業務においても契約書から取引やビジネスを深く読み解くことを意識しておくべきだと指摘する。監査業務では契約書の金額や契約日、日付をピンポイントで見ることが多いが、アドバイザリーでは契約書を作り込みを行ったり、議事録の作り方をアドバイスする作業もある。そう言った際に、契約書の文言の意図を理解しておくことが必要になるのだが、契約書の表面的なチェックだけでなく、契約書の作り手が何を考えているのか?を、つねに意識して監査しておくことでFASにチャレンジする際に活きてくるとのことだ。

また、横田氏は「ファイナンス業務の魅力のひとつに、経営者と起業の将来について語ることができる」という点も挙げてくれた。監査法人では監査を通じて決算書という「過去情報」を見ることが中心だったが、ファイナンスの仕事は企業が将来どうあるべきか、どうしたいか、その目標達成のためにどれくらいの資金をどのような手段で調達をするのか、という未来を考えるという点に魅力があるという。

監査においても経営陣と接することはあるが、どうしても過去情報の検証や、マネジメントインタビューでも不正や法令違反がないかの確認が中心となる。それに対して、例えば、M&Aアドバイザリーでは、経営者が自分たちに未来のことを熱く語ってくれるのだという。また、FASでは不確実性がある未来の情報を複合的な視点で分析しなければならないが、監査での経験を基礎として業務に活かしていくことができ、こういった点こそがアドバイザリーの魅力だと感じているという。

コンサルタントに重要な現場勘、常駐して経営課題を改善するやりがいと難しさ
株式会社エスネットワークス 経営支援第一事業部 公認会計士 前川勇慈

株式会社エスネットワークス 経営支援第一事業部 公認会計士 前川勇慈
株式会社エスネットワークス 経営支援第一事業部 公認会計士 前川勇慈

横浜国立大学経営学部卒業。2004年、公認会計士2次試験合格後、エスネットワークス入社。管理体制の構築にあたり、管理部門の視点だけではなく、業務プロセス、数値の見える化を通じて、事業部側から体制構築を行うことで、決算数値の正確性の向上、決算の早期化、管理コストのスリム化を達成する手法には定評がある。管理体制の構築のみならず、M&Aアレンジメント業務にも従事。大阪証券取引所での開示実務セミナーや、ロジカルシンキング、業務プロセスの可視化等のセミナー講師を務める。著書に「月次決算書作成の勘どころ」(総合法令出版)などがある。

クライアントに常駐し、会計財務を中心とした経営管理体制の支援を得意とするエスネットワークス(以下、エスネット)の前川氏は、「コンサルティングの要は人間関係。企業オーナーの考える事業計画を可視化し、常駐して一緒に組織や管理体制を作ることが重要」だと語る。エスネットでは、そういったクライアントに深く入り込むサービスを基本としているため、前川氏の場合も8年前に担当した北海道のクライアントと現在でも年に1度は飲みに行くなどの付き合いが継続しているという。コンサルティングにおいては濃密な人間関係の構築によってクライアントから感謝されることが、大きなやりがいとなることを強調した。

エスネットは、1999年の創業当時はIPO支援を中心とした案件が多かったが、そこで培った組織構築のノウハウが現在に応用され、業務改善や後継者育成などの他サービスにも活きているという。また、同時に、コンサルティングにおいては大きな組織がどう動いているかという「力学」を知ることが重要であり、それは監査でも学べる内容だとも前川氏は語った。

また、クライアントを真に理解するためにはクライアントの現場がどう動いているかという現場勘」欠かせないが、そのためにはクライアントのサービスや商品を使ってみなければわからないとも強調した。前川氏の場合も、新人の頃、IPO準備中のEコマース会社にアサインされた際に「商品を買ったことがないのにコンサルできるのか?」とクライアントから怒られたことがあり、「下着通販の会社だったのですが、すぐに買いました(笑)」と場を沸かせつつ、その経験からデューデリジェンスを行う際でもコンサルティングを行う際でも、必ずその会社の店舗に足を運び、サービスを利用しているという。

クライアントに常駐するメリットは、外の世界を見ることで企業の現場勘を得られることと、物理的にクライアントとの距離が縮まる点にある。「社長の悩みを聞き、課題解決をその場で素早く提案できる」「会社がどう動いているかをリアルタイムで理解し、動かすように提案する」。こいうったことは、常駐しているからこそ可能になる。しかし、一方では「社内に染まらないことも肝要だ」前川氏は語ってくれた。

「お客様に感謝された経験はもちろん、失敗した経験も何度もある。結果的にお客様に鍛えていただいた」という前川氏の言葉が、常駐型コンサルティングのやりがいと、難しさを物語っていた。

アドバイザリーを経験し監査の魅力にも気づいた。
監査とアドバイザリーの両方に取り組む
清和監査法人 パートナー 公認会計士 市川裕之

清和監査法人 パートナー 公認会計士 市川裕之
清和監査法人 パートナー 公認会計士 市川裕之

1978年生まれ、一橋大学商学部卒業。新日本監査法人(現新日本有限責任監査法人)において、製造業、建設業、卸売業の法定監査を中心に、アニュアルレポート作成業務や株価算定、財務調査に従事。2008年10月よりアーンストアンドヤング・トランザクション・アドバイザリー・サービス株式会社において、大手金融機関及び一般事業会社のM&Aに関する企業価値評価、スキーム構築支援、IFRSベースでのPPA支援等に従事。2010年3月より清和監査法人へ参画し、情報通信業、運送業、サービス業、不動産業等の法定監査業務及びIPO支援に従事するとともに、バリュエーション業務を中心とするアドバイザリーに従事。

BIG4監査法人と系列のFASを経て、清和監査法人へと移籍した市川氏は、リーマンショックなどの経験を踏まえ、「監査は安定収益が得られます。一方、デューデリジェンスやバリュエーションは、収入は大きい反面一時的。双方を経験したことで、それぞれの良し悪しを認識した。」と語ってくれた。

2000年に会計士試験に合格し、大手監査法人に入所した市川氏は、4~5年目から次のキャリアを考え始めたという。ちょうどホリエモンや村上ファンド、M&Aなどがブームの時期だったため、当初は投資銀行に転職しようと考え、監査を行いながら英語やバリュエーションの勉強も行っていたという。しかし、転職活動を行う中で、「監査法人から投資銀行に直接転職するのではなく会計ファームでFASを経験してからがいいのでは?」とのアドバイスをもらい、2008年9月にBIG4のFASに異動したところ、直後にリーマンショックが発生した。
「今後案件があるのか…と業界全体が動揺しているくらい不安溢れる状況からのスタートを余儀なくされた」と市川氏は当時の状況を語る。幸い、市川氏が在籍していたファームでは大型案件の受注が決まっていたため、開店休業は間逃れることができたが、その案件に取り組む中で「ダイナミックだが景気に左右される側面も強い」ということも感じたという。こういった経験から、監査の良さも再認識し、監査とアドバイザリーを組み合わせたいと清和監査法人に移籍したのだという。

現在、市川氏は、監査7割、アドバイザリー3割のバランスで業務に当たっている。「アドバイザリーに関しては、小さいケースでは数十億円規模のディールに数名から携わるので、クライアントとの距離も近く、全体が見える点を魅力に感じている」とのこと。BIG4 FASでは、ディールサイズ数千億円、プロジェクトメンバー100名などのダイナミックな案件がある点は魅力だったが、若手が全体像を把握するのは難しかったため、アドバイザリーへの転職を考える際はどちらのスタンスで取り組みたいかを考えて判断すると良いと指摘する。

また、現在従事している案件としては、特にデューデリジェンス業務が多いとし、「デューデリジェンスは、監査の延長のような部分があるため監査経験しかない若手会計士にもチャレンジしやすい業務だと思う」とアドバイスする。ただし、監査は発生主義に基いてB/SとP/Lをチェックしていくが、デューデリジェンスにおいては決算書だけでなく、取引契約の内容にリスクや論点がある場合も多いので、より多角的な視点を持つことが重要になると強調した。

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