このコーナーでは、弥生のサービスを活用して、会計事務所経営を効率化した弥生PAP会員様をご紹介していきます。
今回は、弥生のサービスを活用して、効率的にインボイス・改正電子帳簿保存法(以下、電帳法)対応を行っている金崎浩税理士事務所様をご紹介いたします。
1998年、山口県宇部市で開業された金崎浩税理士事務所様。
地元・宇部市の事業者を中心に、税務顧問、経理コンサル、記帳代行、資金調達や事業承継など、お客様ニーズに合わせたきめ細かな税務会計のサービスを提供しています。
「電帳法・インボイス制度開始に合わせて会計ソフトを弥生に変更した」という金崎浩税理士事務所様は、新たに始まった電帳法やインボイス制度へどのように対応したのか?また、弥生のサービスをどのように活用したのか?詳しく伺いました。
本記事の目次
今回ご紹介するサービス
スマート証憑管理
スマート証憑管理の特徴
- 自計化/記帳代行顧問先のインボイス制度&電子帳簿保存法にまとめて対応
- 会計事務所(弥生PAP会員)と顧問先でのデータ共有が可能
今回インタビューした会計事務所
金崎浩税理士事務所
1998年に開業。山口県宇部市に事務所を構える。
約400件(うち法人は200件)のお客様は、建設業、病院、介護施設などの事業者のみならず、農・水産業従事者など地域の個人事業主からの信頼も厚い。経理代行や申告業務以外でも、必要とされれば、税務調査駆け込み寺をしたり、事業承継や企業再編も行っている。
また、近年は北九州市やホームページを見た遠方のお客様も増えており、益々の活躍が期待される。
代表 金崎 浩(税理士)
1997年、14年間勤務した税務署を退職。2002年に税理士事務所を開業。
事務所概要
- 事務所について
- 事務所の人員数: 7名(正社員3名、アルバイト等4名)
- WEBサイト:https://www.ube-kanesaki.net/
- 顧問先について
- 顧問先数:約400件(法人:約200件・個人事業主:約200件)
- 顧問先の売上高:1千万円以下~数十億円まで
- 顧問先の業種:広く全般的に対応しています
- 顧問先のエリア:山口県宇部市を中心に、山口県、福岡県など
- 自計化と記帳代行の比率:自計化約20%、記帳代行約80%
- 使用している会計ソフト:弥生会計70%、その他30%
- 事務所の特徴
- 事務所が提供しているサービス
個人や小規模な法人を中心に記帳代行~決算、税務申告、税務相談、経営コンサルティング、資金調達支援や事業承継など、お客様に寄り添いながら幅広い税務会計サービスを提供しています。 - 最も力を入れている業務
月次決算をしっかりと行うことを基本とし、決算対策にとどまらない未来志向の経営に向けたコンサルティングにも力を入れています。それぞれに状況の異なるお客様ごとに、事業の成長を見据えた経営理念・経営戦略の策定や重視すべき財務指標の設定などきめ細かい対応を心掛けています。
- 事務所が提供しているサービス
※事務所概要は記事公開時点での情報です。また、2024年9月25日に行われたインタビューを元に執筆しています。
どのように電帳法に対応しているのか
―金崎浩税理士事務所様では、電帳法への対応はどのように進めましたか?
電帳法、インボイスともに制度の概要が公表された頃から少しずつ意識をしていましたが、一昨年(2022年7月)くらいからスマート証憑管理を使うことを決めて本格的な取り組みを始めました。
電帳法については、このタイミングでしっかり対応していこうと考え、制度改正をきっかけに、特に記帳代行サービスでは証憑類をデータでいただくことを基本にして、こちらで紙証憑をお預かりする場合はデータ変換料をいただくようにしました。
紙証憑のお預かりは、保管スペースの確保や紛失のリスクなど多くの問題があり、長年の懸案事項となっていたからです。
―思い切った変更ですが、お客様の反応はいかがでしたか?
お客様の反応はそれぞれです。
インボイス制度対応のためにスマート証憑管理を導入している消費税の本則課税事業者のお客様は業務フロー通りに動いていればデータ化に関しては問題ありませんし、小規模事業者のお客様でも、紙の証憑類を整理して税理士事務所に持参するより電子データ化して受け渡しをすることを積極的に選択される方もいらっしゃいます。
ご承知の通り、電帳法上のスキャナ保存は任意規定になりますので、最終的にどのレベルで対応するのかはお客様の状況に寄り添いながら考えていきます。
そのため、画一的な社内ルールを作るのが難しく、これからの課題だと思っています。
―電帳法には積極的な対応をしない、という事務所もある中で早めにしっかり対応した理由は?
取引の電子決済化が進む中で、多くの税理士はいずれ電帳法のような法律ができることを予想していたと思います。決済の電子化が進み、対応する会計ソフトもリリースされている今は、社会状況に法制度が追いついたと言えるでしょう。
現に都市部に行けば今やスマホひとつですべての決済ができますし、最近ようやくではありますが、地方に基盤を持つ弊社のお客様の間でも電子マネーが普及しだした実感もあります。
ですから、とりたてて弊社の対応が進んでいる、早いとは思っていません。
むしろ、社会や制度が変化する中で、何もしないでいると、これまで抱えていたリスクをこれからも抱え続けることになります。
変化に挑むには覚悟が必要ですが、何もしない場合でも“何もしない覚悟”が必要です。それならば、やらないという選択肢は私にはありませんでした。
- 電帳法施行をきっかけに、証憑類をデータでいただくことを基本にし、紙証憑を事務所で預かるお客様には別途、データ変換料を請求するようにした。
- お客様の反応はそれぞれだが、インボイス制度の確認作業が必要な方や紙証憑のやりとりに疑問を持つ方など、積極的に取り組まれる方もいる。
- 社会的に電子決済が増加し、法制度も整った今、電帳法に対応しない選択肢はなかった。変化に挑むには覚悟が必要だが、何もしない場合も“何もしない覚悟”が必要。
インボイス制度への取り組みと課題
―インボイス制度への対応も、2年前から取り組みを始めた理由は?
インボイスは昭和時代の売上税から言われていて、消費税導入時に一旦は削除された経緯がありますので、いずれは対応せざるを得ないと覚悟していました。
しかし、今般のインボイス制度の詳細が少しずつ発表されるにつれて、本則課税事業者の仕入税額控除に必要なインボイスの確認作業はとても人のやる作業ではないし、するべきでないと確信しました。
当時は制度自体に不透明な部分も多く、一体どのような仕組み・システムで対応すればよいのか、悩んでいたときに弥生会計とスマート証憑管理に出会いました。
インボイス制度への対応は、税務調査対策として仕方なくすることではありません。むしろ、人がやるべきでない作業を仕組み・システムで解決することは、経理の現場に立つお客様や従業員に絶対に必要だったから取り組んだ、というのが私の気持ちです。これだ!と思えたシステムを見つけたときにすぐに取り組むことに迷いはありませんでした。
―制度が始まって、事務所の業務量等への影響や課題はありますか?
制度が施行されて1年が経ち、お客様ごとに課題が明確になってきたように思います。現在は、お客様の実態に合わせた業務フローを整備しているところで、仕訳登録を再点検しているところもありますし、業務フローが整って業務量自体が半分になったお客様もいらっしゃいます。
新しいことを始める際にはつきものである過渡期のような状況ですので、慣れてくれば業務量が減っていくことが期待できそうです。
新しい制度対応に挑んでいる分、業務量が増えたような感触がありましたが、その感触とは裏腹に事務所全体の勤務時間は減っています。最近は、従業員からの休暇の申請も増えてきました。
- インボイスの確認作業は人の手でやることではないと考え、スマート証憑管理を活用することを決断。
- 制度が始まって1年、お客様ごとに課題が明確になってきつつある。業務フローが整ったお客様は業務量自体が半分になるケースも!
- 事務所全体の勤務時間は減少傾向に。従業員からの休暇申請も増えてきた。
スマート証憑管理を活用した新しい制度への対応
―弥生はいつから、どのようなきっかけで使い始めましたか?
弥生PAPカンファレンスを受講したことがきっかけです。非常に情報性の高いカンファレンスに満足したことに加えて、弥生会計とスマート証憑管理のシンプルでわかりやすい仕組みは、特に弊社のお客様のインボイス制度への対応の入口にしやすい、と思いました。
弥生会計を使っていこうと決めてから、お客様へ説明してそれまで使っていた会計ソフトを段階的に切り替えていきました。弥生の担当者からきめ細かくサポートしていただけたので、新しいソフトへの切り替えも自信をもって取り組めました。
―それまで使っていた会計ソフトが変わることについて、お客様からはどのような反応がありましたか?
お客様には、制度がどのように変わるのか、何をしなければいけないのか、解決方法として弥生会計とスマート証憑管理を使うことをしっかり説明し、ご納得いただくように心がけました。
お客様も、弥生会計を使うことで新しい制度に安心して対応できるだけでなく、日々の経理業務も効率化できるイメージができて、前向きに切り替えていただけた方が多かったと思います。
中には、これからは証憑類をスキャンしてスマート証憑管理にアップロードする仕組みに変えます、と説明した次の瞬間にスマホからスキャナを注文して準備してくださったお客様もいらっしゃいました。
それまで手書きの会計日記帳を作成し、日記帳に証憑類をファイリングしていたお客様でしたので、弥生会計を使うことで、これまで手間隙かけていた部分が効率化できるイメージを瞬時にお持ちいただけたのでしょう。
また、弥生はブランドの知名度が高いので「弥生会計って家電量販店でよく見かけるあのソフトだよね」とおっしゃる方も多く、安心して受け入れられたように思います。
―スマート証憑管理は、どのように役立てていますか?
弊社では、スマート証憑管理の機能を利用して証憑類をデータ化してお預かりすることを基本にいたしましたので、例えば「この領収書をもう一度見たい」といったお客様からオーダーがあった場合、以前はお預かりした紙の証憑類の山の中から探し出してPDFにしてメールかFAXでお送りしていたところを、今は仕訳と連動されているので金額や日付で検索してすぐにお送りすることができます。
職員にとっては、1枚の領収書を探し出す手間やPDF化する時間が効率化されますし、お客様も欲しい情報がすぐにわかるようになった、と現場レベルでの小さな変化を実感していただけているのではないかと思います。
スマート証憑管理を使うことによって経理の現場が少しずつ変わっていく、その変化の体験を積み重ねた結果、自分では積極的に取り組んだつもりではなくても気づいたらDX化の入り口に立てていた、という状況が作り出せるのではないと考えており、その手応えも感じています。
- 弥生PAPカンファレンスをきっかけに弥生会計への切り替えを決断。きめ細かなサポートで自信をもって切り替えに取り組めた。
- 制度対応や経理現場が変わることを丁寧に説明し、お客様の不安を最小限に会計ソフトの切り替えを実現。弥生の高いブランド力も切り替え不安を和らげるポイントに。
- スマート証憑管理を使うことで経理現場に良い変化が生まれつつある。
- 経理現場が良い方向に変化する体験を積み重ねた結果、自然とDX化の入り口に立っている状況を作り出す。
会計事務所へのメッセージ
―弥生のサービスを使って電帳法・インボイス制度対応をしている、あるいは対応を検討している会計事務所の皆様に向けて、メッセージをお願いいたします。
電帳法やインボイス制度への対応は、これまでにない新しい仕組みで対応せざるを得ず、非常に手間がかかる、面倒くさいからなかなか一歩を踏み出せない、と感じている会計事務所の方もいらっしゃるかと思います。
弊社も、完璧に対応できました!と胸を張れるわけではなく、今でも“挑み続けている”という感覚に近いのですが、挑むことに意味があると思っています。
それはお客様に対してもですが、これから会計業界で働き続ける職員のために必要な環境を、挑戦しながら整えていくことが私の責務だと思っているからです。
弊社は、リスキリングに取り組む中小企業向けのオンライン学習「宇部市産業人材育成支援事業」に参加し、会計業界で働く人材のスキルアップを目指しています。
また、職員も参加して情報交換ができるような弥生のコミュニティがあれば、ぜひ参加したいと思っています。
職員のスキルアップは、会計業務のレベルアップ、ひいては会計業界を盛り上げることに繋がります。
税理士事務所の仕事は、税務の情報を一方的に伝えたり、機械的な税務会計処理をしたりするだけでなく、職員がお客様と向き合い、寄り添いながらお客様とともに成長できる喜びのある仕事です。
人として成長したい!と考える方が志してくれるような会計業界を、皆様と一緒に作っていければと思っています。
―本日は、貴重なお話やご意見をありがとうございました。
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