会計事務所の生産性向上や採用難を解決、弥生の記帳代行支援サービスの成果とは!?:弥生PAPカンファレンス2021東京レポート(後編)



弥生PAPカンファレンス2021夏_後編_弥生_伊藤氏_高野氏

前編に引き続き、弥生PAPカンファレンス2021東京の模様をお届けします。 

前編では、弥生株式会社(以下、弥生)の岡本代表が講演した「社会的システムのデジタル化実現に対する弥生の取り組みと最新の動向」についてお伝えしました。 

中小企業間の取引をアナログからデジタルへ、社会的システム再構築の全構図が見えてきた:弥生PAPカンファレンス2021東京レポート(前編)

後編では、弥生PAP会員の髙野妙子税理士事務所様と伊藤会計事務所様による、弥生の記帳代行支援サービスの活用事例の発表の模様をお届けします。 

※記事内のスライドはすべて弥生PAPカンファレンス2021東京にて用いられたものです。 

弥生PAPカンファレンス2021東京プログラム

弥生_ロゴ_2020_3月再調整

  • 弥生の現況とこれから(弥生株式会社代表取締役社長 岡本浩一郎)
  • 記帳代行支援サービス(弥生株式会社 営業推進部 加藤健一、営業推進部 北林はる菜)
  • 弥生PAP会員による事例発表
    • 「子育てママの一人税理士事務所」における記帳代行支援サービスの活用とその効果について(髙野妙子税理士事務所 代表・税理士 髙野妙子)
    • 弥生の記帳代行支援サービスの導入と弥生スマート取引取込の効果的な使い方(伊藤会計事務所税理士 伊藤桜子)
  • ビジネスアップデート(弥生株式会社 営業推進部 東京支店 支店長 川上悠記)

本記事の目次

事例1:「子育てママの一人税理士事務所」における記帳代行支援サービスの活用とその効果について

今回の事例発表のひとつ目は、平成24年創業、新潟県新潟市にある、髙野妙子税理士事務所髙野妙子 氏(代表・税理士)による『「子育てママの一人税理士事務所」における記帳代行支援サービスの活用とその効果について』です。

髙野妙子税理士事務所_代表者:髙野 妙子(税理士)髙野妙子税理士事務所 代表 税理士 髙野妙子 氏

髙野妙子税理士事務所 概要

  • 所在地:新潟県新潟市中央区
  • 設立日:平成241
  • スタッフ人数:1名(代表者のみ)
  • 顧問先数:約30件(法人・個人合計)
  • 顧問先売上高(法人):3千万円~3億円
  • 自計化・記帳代行割合:80%:20
  • 使用ソフト:弥生会計

※弥生PAPカンファレンス2021東京に使用されたスライドより抜粋しています。

髙野妙子税理士事務所は、「すべてのお客様にきめ細やかな対応」を目指して、お客様とのコミュニケーションを大切にしている会計事務所です。

会計業務については、お客様の自計化を推進することで経営に必要な財務情報をお客様自身で管理できるように指導する一方で、一部、やむを得ない理由で記帳が難しいお客様については、記帳代行を行っています。 

また、ワークライフバランスの充実も重視し、あえて職員を雇わず、税理士お一人で自由度の高い働き方をしているのも特徴です。 

記帳代行増加で時間の創出が課題

髙野氏は、お客様とのコミュニケーションとワークライフバランスの2点を重視した働き方を目指してきましたが、記帳代行が増えるにつれて、ある問題が生じてきました。

弥生PAPカンファレンス2021夏_後編_弥生

5歳と3歳の小さな子どもがいて、急な用事や家庭の用事などで業務に充てられる時間が限られてしまう中で、お客様とのコミュニケーションを大切にするために、事務所での作業時間を極力減らして訪問時間を増やしたいと考えていました。ところが、徐々に記帳業務が増えて作業時間が増加し、休日と睡眠時間を削っても納期が遅れてしまう状況に、問題を感じていました。」として、『時間の創出』が急務だったと振り返ります。 

そのような状況の中で、自由度の高い働き方を維持したまま、時間の創出を可能としたのが、弥生の記帳代行支援サービスでした。 

無料体験の3ヶ月間で効果を実感

数ある記帳サービスの中から弥生を選んだ理由について、髙野氏は“弥生会計との親和性”を指摘します。

弥生PAPカンファレンス2021夏_後編_弥生

無料体験プランを利用してみて、弥生会計で証憑画像をいつでも確認できる機能が非常に便利だったことや、自分のイメージ通りの成果物が納品されてきたことが、導入の決め手になったと言います。 

導入は、証憑をスキャンしやすそうな顧問先12社で試すところから始まりました。そして、仕訳がイメージ通りに仕上がってくるのを確認した後に、徐々に他の顧問先にも導入していきました。

弥生PAPカンファレンス2021夏_後編_弥生

スムーズな証憑スキャンと仕訳の学習機能で、作業時間短縮

サービス導入の前と後で、記帳業務の作業手順にどのような変化があったのでしょうか。 

弥生PAPカンファレンス2021夏_後編_弥生

このスライドは「仕訳が150本で証憑が100枚」のケースですが、作業内容が大きく変化するとともに、トータルの作業時間が削減されています。 

このように、弥生の記帳代行支援サービスを利用した場合、会計事務所が記帳業務で行うのは、主に「証憑スキャンアップロード」と「弥生会計へ取込み仕訳チェック」というふたつの作業になります。 

新たに“証憑スキャン”の作業が増えるわけですが、導入の検討にあたり、スキャナの操作性は非常に気になるところではないでしょうか。 

髙野氏は、スキャンについて、操作が予想以上に簡単だったとして、以下のように感想をまとめました。

弥生PAPカンファレンス2021夏_後編_弥生

髙野氏は、利用しているモバイルスキャナ(ScanSnap iX100)について、「操作が非常に簡単で、自動で原稿の方向も補正してくれます。また、幅30センチぐらいのスティック状の形状で持ち運びに便利なのが良かったです。」として、スキャンに対するストレスはまったく感じなかったと説明しました。 

弥生PAPカンファレンス2021夏_後編_弥生

さらに証憑を弥生会計で確認できる点や、学習機能についても高く評価しました。 

「記帳代行支援サービス導入で、記帳時間が180分から90分へと半分になりました。また、導入直後は仕訳チェックに30分かかっていましたが、学習機能があるので、使っていくうちにさらに作業時間が減っていきました。

結果として、納期遅れが解消し、お客様対応の時間や家庭の時間も作ることができました。」と、髙野氏は、記帳代行支援サービスの時間短縮効果について、笑顔を見せながら報告しました。 

今後は、資産税支援業務の充実や業務スキルアップのための自己研鑽の時間を増やし、弥生の記帳代行支援サービスの経験をもとにお客様に対して業務効率化に対するアドバイスも進めていきたいと、今後の抱負を語り、セッションを締めくくりました。 

事例2:弥生の記帳代行支援サービスの導入と弥生スマート取引取込の効果的な使い方

今回の事例発表のふたつ目は、平成24年創業、新潟県新潟市にある、伊藤会計事務所伊藤桜子 氏(代表・税理士)による「弥生の記帳代行支援サービスの導入と弥生スマート取引取込の効果的な使い方」です。 

伊藤会計事務所_伊藤桜子氏_税理士・行政書士伊藤会計事務所 代表 税理士 伊藤桜子 氏

伊藤会計事務所 概要

  • 所在地:福岡県福岡市中央区
  • 設立日:平成204
  • スタッフ人数:25
  • 記帳代行・自計化割合:63%:37
  • グループ会社:株式会社エスアンドシー(経理代行・業務改善コンサルティング)

※弥生PAPカンファレンス2021東京に使用されたスライドより抜粋しています。

伊藤会計事務所は、スタッフの平均年齢が若く、IT化に積極的に取り組んでいる会計事務所です。記帳代行比率が高くボリュームが多かったことが、記帳の自動化を進める原動力となりました。 

採用・人材定着”冬の時代”にたどり着いた弥生の記帳代行支援サービス

現在は人材の採用・定着が順調な伊藤会計事務所ですが、過去には採用難で厳しい時期もあったと伊藤氏は語ります。 

2012年頃から税理士業界全体が人材不足となり、募集しても経験者からの応募はなく、新卒未経験者を採用しても育成の余裕もノウハウもなく、生産性が下がり、ベテラン社員に仕事が集中して長時間労働になっていました。」と、当時を振り返りました。 

そこで、残ってくれた社員のために本格的に業務改善に取り組もうと考えて始めたのが、弥生の記帳代行支援サービスです。 

弥生PAPカンファレンス2021夏_後編_弥生

弥生PAPカンファレンス2021夏_後編_弥生

伊藤会計事務所では、「人がする作業」と「システムがする作業」を仕分けして、システムの部分は弥生のスマート取引取込と記帳代行支援サービスを活用するという仕組みづくりをしました。弥生PAPカンファレンス2021夏_後編_弥生

また、数ある記帳サービスの中から弥生を選んだ理由について、「弥生の中ですべてが完結するのがベストだからです。領収書と仕訳が紐付いていて、証憑ビューアーから領収書など原始証憑を確認できる点も大変便利です。」と、サービスの使いやすさを高く評価しました。 

製販分離と弥生サービスを活用した業務フロー

伊藤会計事務所では、いわゆるカンバン方式と言われる、kintoneを活用した製販分離の取り組みや、記帳代行支援サービスと弥生スマート取引取込を利用した業務の標準化が行われています。 

弥生PAPカンファレンス2021夏_後編_弥生

「業務を細分化することで、それぞれの能力や特性にあった業務を適切に割り振ることができます。ただしこの仕組は、沢山の人が記帳業務に関わることになるので、記帳業務に関わるすべての人が証憑を確認できる状態にすることが不可欠でした。」として、弥生会計の中で証憑を確認できることで製販分離がうまく機能していることについても言及しました。 

弥生PAPカンファレンス2021夏_後編_弥生

「業務の流れはシンプルで、すべての取引が弥生スマート取引取込に集約されています。ルール設定は、スマート取引取込だけ行えば、すべての仕訳に摘要されることになります。」として、伊藤氏は、弥生のふたつのサービスが業務効率化に非常に効果的であると説明しました。 

記帳の自動化はなぜ頓挫するのか

業務効率化が進んでいる伊藤会計事務所ですが、すべてが順調だったわけではないと過去の失敗談を振り返ります。

弥生PAPカンファレンス2021夏_後編_弥生

「当会計事務所でも多くの困難がありましたが、諦めずに改善を重ねたことで生産性が上がりました。」と語り、弥生スマート取引取込を正しく使えるかどうかがポイントになると指摘します。 

弥生PAPカンファレンス2021夏_後編_弥生 

「ルール設定をしなくても取り込めるので、特に入力に自信があるベテランの方は、仕訳のたびに勘定科目を修正しがちなのですが、これだといつまでたっても手入力と変わりません。」と、ルール設定の重要性を示し、ルール設定を徹底するためのヒントを紹介しました。 

弥生PAPカンファレンス2021夏_後編_弥生

最後に、記帳の自動化による成果を発表しました。

弥生PAPカンファレンス2021夏_後編_弥生

「かつて手書きだった申告書作業がPCに変わったように、記帳業務の自動化はやるかやらないかではなく、いつやるかという話になってきています。会計事務所としても、IT化・記帳業務の自動化は避けて通れません。わたしどもはかなり早い段階から取り組みましたが、年々取り組みのノウハウが蓄積されて、日々生産性が上がっていることを実感しています。皆さんにもこの感動体験を味わっていただきたいです。」と締めくくり、過去にスマート取引取込で挫折した会計事務所にも、スマート取引取込がとても使いやすくなっているのでもう一度試して効果を実感してほしいと呼びかけました。 

このほか、村松悟税理士事務所代表の村松悟氏、税理士滝沢淳事務所代表の滝沢淳氏、税理士法人阪神税務総合事務所代表の冨岡秀樹氏、株式会社トータルプラン代表取締役の東野悦久氏より、記帳代行支援サービスの活用事例のインタビュー動画も配信されました。 

『起業・開業ナビ』と職員向け教育支援サービス『実トレ®試験』提供開始

カンファレンスの最後に、弥生株式会社営業推進部東京支店の川上悠記支店長より、2021年3月31日から提供を開始した「起業・開業ナビ」と、辻・本郷税理士法人が提供する職員向け教育支援サービス『実トレ®試験』を弥生PAP会員に特別価格で提供するという、ふたつの新サービスについて紹介がありました。

弥生株式会社 営業推進部 東京支店 支店長 川上悠記 氏弥生株式会社 営業推進部 東京支店 支店長 川上悠記 氏 

「起業家は既設法人に比べて業務工数やコストに課題が多く、業務量が増えてくると会計事務所ではなかなか受けにくいというのが現状です。『起業・開業ナビ』は、起業家がご自身で創業にかかる業務を行っていただくためのサービスで、基本的に無料で利用することができます。」として、川上氏から、サービスの詳細について紹介がありました。 

弥生PAPカンファレンス2021夏_後編_弥生

また、税務会計制度を継続的に学習するためのサービスとして、職員向け教育支援サービス『実トレ®試験』も紹介されました。

弥生PAPカンファレンス2021夏_後編_弥生

弥生PAPカンファレンス2021夏_後編_弥生

デジタルやITを利用した業務効率化という、会計事務所共通の課題に対して、弥生から時間削減効果のある新サービスが次々とリリースされ、今後の会計事務所の成長に欠かせないツールになることを予感させるプレゼンテーションでした。 

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弥生会計ロゴ「弥生PAP」とは、弥生株式会社と会計事務所がパートナーシップを組み、弥生製品・サービスを活用して、中小企業、個人事業主、起業家の発展に寄与するパートナープログラムです。2021年5月時点で11,000以上の事務所が加入。税務サービスを提供する会計事務所様はぜひご加入をご検討ください。

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【大津留ぐみ:公認会計士・税理士/会計士・税理士専門ライター】 大学在学時にシェイクスピアを学んだことをきっかけに劇作家を目指すも挫折。編集プロダクションで編集やライティング業務に従事した後、公認会計士試験にチャレンジし合格。大手監査法人の東京事務所にて監査業務、財務デューデリジェンスなどに従事。 その後、フリーランスの公認会計士として非常勤監査、税理士法人の社員税理士として税務業務に従事しつつ、大津留ぐみのペンネームでライターとしての執筆活動にも従事。ライターとして、お金、社会保障、会計、税務などに関する記事を執筆。また、2児の母となったことをきっかけに、子どもの貧困や教育格差、子どものイジメに関する記事なども執筆。現在は、株式会社ワイズアライアンスの専属ライターとして会計・税務の記事を執筆しつつ、会計事務所にて内部統制業務にも従事するパラレルワーカー。公認会計士・税理士。

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