2021年7月の会計士業界ニュースをお届けします。
「監査報酬めぐり監査人交代過去最多」「IPO情報通信業活況で14年ぶり高水準」の2本です。
監査報酬めぐり監査人交代過去最多
3月期決算が落ち着き、次年度の監査契約も終わった頃ではないでしょうか。2019年7月~2020年6月の監査契約の状況は、監査法人を変更した企業が142社と過去最多となりましたが、今年はどうなっているのでしょうか。
今回、上場企業の監査事務所変更に関する記事が、日本経済新聞よりリリースされています。
国内の上場企業が契約先の監査事務所を変更した件数(合併による変更を除く)は2020年7月~21年6月の1年間で207件となった。公認会計士・監査審査会が9日に明らかにした。過去5年で最多となる。
引用元:監査事務所変更、5年で最多の207件 20年7月~21年6月(日本経済新聞 2021年7月9日付)
記事によると、監査事務所を変更した件数は前年を超えて過去5年で最多となり、変更理由は「監査業務に対する報酬を巡って監査事務所と企業で意見がすれ違うケース」が最多だったと伝えられています。
監査工数の増加に伴い監査報酬は増加傾向にあり、企業の負担は重くなっています。一方で、事業活動のグローバル化も進んでおり、海外ネットワークの基盤の有無や監査の品質など、報酬面以外の点も考慮した慎重な監査法人選びが求められます。
詳細は以下の記事をご参照ください。
情報通信業活況でIPOが14年ぶり高水準
2020年度は、新型コロナ感染拡大の影響はあったものの、IPO総数が2008年以降で過去最多となりました。とはいってもIPOを見送った企業も多く、2021年度に延期した企業も多いと見られています。
このような状況の中、当期のIPOの状況はどのようになっているのでしょうか。
今回、2021年上半期のIPO数に関する記事が、日本経済新聞よりリリースされています。
国内企業の新規株式公開(IPO)の勢いが増してきた。2021年1~6月は53社が上場し、同期間としては07年以来14年ぶりの多さとなった。
引用元:新規株式公開、14年ぶり高水準 国内1〜6月53社 デジタル化が追い風(日本経済新聞 2021年7月9日付)
記事によると、2020年1~6月(34社)に比べて19社増え、2000年以降でみると、2008年秋のリーマン・ショック後の最高を更新したということです。また、情報・通信業がIPO全体に占める比率は40%(21社)に達したと伝えられています。
このままIPO件数が推移すれば、本年は前年の93件を大幅に上回り100件の大台が見えてきます。IPO市場の活況はまだまだ続きそうです。
詳細は以下の記事をご参照ください。
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)