3足のわらじは会計士・漫才・YouTube!? 関西の会計士ふたりで設立したKUMA Partnersの働き方



3足のわらじは会計士・漫才・YouTube!? 関西の会計士ふたりで設立したKUMA Partnersの働き方

久保さんと圓尾(マルオ)さんが大阪で経営するKUMA Partners。ふたりは大手監査法人の同じチームで数年を過ごした後、独立するに至りました。 

KUMA Partners

「独立してからちょっと忙しすぎた」と語る理由は、本業のかたわら、YouTubeチャンネルを運営するだけでなく、なんと漫才にまで活躍のフィールドを広げているから 

自由な働き方の秘訣はふたりでの共同経営にありそうな一方で、共同経営は難しそうなイメージも。そこで久保さんと圓尾さんに、多様な働き方や共同経営の秘訣について聞いてきました。 

独立しようと誘ったのに「ごめん、やっぱ辞めへんわ」 

── 独立される前のおふたりの経歴を教えて下さい。 

圓尾:ふたりとも新日本有限責任監査法人(現EY 新日本有限責任監査法人)の大阪事務所に所属していました。かなり大きなチームに配属されて、海外子会社・取引もあるし難易度も高いしで、年間のかなりの日数で関与していました。辞めるまでの6間、ずっとですね。 

KUMA Partners株式会社_代表取締役/公認会計士・税理士_圓尾 紀憲 | Maruo Toshinori

KUMA Partners株式会社
代表取締役/公認会計士・税理士
圓尾 紀憲 | Maruo Toshinori
関西大学在学中の2012年に公認会計士試験に合格し、2013年、新日本有限責任監査法人(現EY新日本有限責任監査法人)に入所。監査部門に所属し、主に製造業(機械、化学ほか)、証券会社、テレビ局等の事業会社の会計監査に従事。会計監査業務のほかに、連結財務諸表導入支援、子会社管理体制構築支援なども経験。
監査法人から独立後、決算早期化・効率化コンサルや上場を目指す会社向けに上場必要書類の作成支援、内部統制の構築支援などの業務に従事。漫才ではツッコミ担当。

 

久保:結婚式のエピソードとして先輩が調べてくれたのですが、私は年間150日も出張していたらしいです。圓尾君とも出張して、仕事した後飲みに行って、ホテルに帰って飲み直すくらい当時から仲がよかった(笑)。

圓尾:忙しかったからこれで精神を保っていたんだよね(笑)。飲みすぎたりしたのも今ではいい思い出です。

KUMA Partners株式会社_代表取締役/公認会計士・税理士_久保 亮 | Kubo Ryo

KUMA Partners株式会社
代表取締役/公認会計士・税理士
久保 亮 | Kubo Ryo
京都大学在学中の2011年に公認会計士試験に合格し、2012年、新日本有限責任監査法人(現EY新日本有限責任監査法人)に入所。監査部門に所属し、主に製造業(機械、化学ほか)、小売業、専門商社等の事業会社の会計監査に従事。
会計監査業務のほかに、連結財務諸表導入支援、上場準備支援、地方公共団体監査、海外子会社内部統制構築支援なども経験。その後、よりコンサルティングスキルを高めるためにアドバイザリー部門へ異動。事業計画の策定支援や決算効率化・早期化コンサル、事業戦略構築支援など、会計に関わらず幅広い業務に従事。漫才ではボケ担当。

 

── そんな仲良しのおふたりですが、監査法人から独立することになった経緯を教えて下さい。 

圓尾:僕は独立するつもりはなくて、転職しようと思っていたんです。保守主義の塊なので(笑)、独立なんてとてもできないと思っていました。 

久保:結果的にふたりとも同じタイミングで監査法人を辞めようと思っていたんですよ。僕は元から独立するつもりだったのでそのことを圓尾くんに伝えて、そうしたら自然と「だったら一緒に独立しよう」という話になりました。

── それでふたりで晴れて独立したんですね。

久保:いえ、そうしようと思っていたのですが一悶着あったんです。監査法人全体が忙しいこともあって、ふたりとも引き止められたんですよ。圓尾くんは予定通りに辞めたのですが、僕は監査法人内のコンサルティングを担当する部署への異動を打診された。
僕も「独立するならコンサルの経験があってもいいか」と思って、それで異動することにしちゃったんです。僕から誘ったのに「圓尾くん、ごめん辞めへんわ」と(笑)。

圓尾:本当にビックリしましたよ! それで急に僕だけ1年早く独立することになって途方に暮れることに。どうしようかと思ったのですが、コネもツテもないので「人と会わなあかん」と思って、色々な人に会いに行きました。
結局元々担当していた会社から仕事を頂いたり、大御所の先生にかわいがってもらって共著を出したりしていました。

久保:俺が出る舞台を整えてくれてたんやんな?

圓尾:スターみたいな言い方せんといて!ひとりでもがいてたんですよ()
まぁ後から考えると、自分は保守的なのであのとき一緒に独立していたら、久保さんに色々任せちゃっていたかもしれないなとは思います。ひとりだったから自分で何でもやらなければいけない環境だったのはよかったのかもしれません。 

久保:そうこうしているうちに、1年ほど経って僕も監査法人を辞めて圓尾くんに合流。KUMA Partnersを設立しました。

KUMA Partners株式会社_代表取締役/公認会計士・税理士_圓尾 紀憲 | Maruo Toshinori_久保 亮 | Kubo Ryo 

仕事は一緒に、成果は平等に

── KUMA Partnersではどのようなお仕事をしているのでしょうか?

圓尾:まずは会計やコンサルの仕事です。監査法人時代に元々担当していた会社に対して連結財務諸表作成支援をしたり、事業承継関連の仕事をしたりしています。そして税務ですね。

久保:独立したからには、やはり税務は避けては通れない。しかし僕たちはふたりとも税務の知識も経験もありませんでした。どうしようかと思っていたときに税理士法人ライトハンドの代表社員が声をかけてくれたんです。
ただ最初はお断りしていました。だってせっかく独立したのに他の会社で働いたら独立じゃないじゃないですか。そうしたら完全出来高制での働き方を提案してくれて、それならということで税理士法人でも働くことにしたんです。だから正確には税務は現在、KUMA Partnersの仕事ではなく、ライトハンドとして請けています。 

圓尾:とは言っても先程言ったように僕たちには税務の経験はないので、当初の売上はゼロ。ライトハンドに顧客を紹介してもらったり、わからないところを教えてもらったりしながら、少しずつ仕事を増やしていきました。 

── 「税務は避けて通れない」というお話でしたが、監査出身者から見たときの税務の大変さはなんでしょうか。 

久保:まず会社の規模が違います。小さな会社が顧客なら中小企業税制の適用がある。今までは大きなクライアントを担当していたため触れる機会が全くなかったのですが、税務では当然使います。申告書も細かく読んでいなかったし、イチから勉強し直すような気分でした。 

圓尾:クライアントの体制も全然違います。上場企業だったら制度もちゃんとしているし、経理の方も会計に詳しいので話が通じる。ただ中小企業だと、簿記がわからない方が経理をしていることもあることも珍しくないという点には苦労することもありました。

久保:ほんまにそうですね。難しい言葉を使わないとか、日本語に気をつけるようになりました。

圓尾:あと当然税務は細かいですよね。交際費とか消費税とか。監査は100点を目指す世界じゃないじゃないですか。でも税務は1円まで気にするので、数字に対する執着心が違うと感じます。

KUMA Partners 

── 仕事の分担はどうしているんですか?

久保:細かいことはもちろん分担しますが、基本的にはふたりで一緒に担当しています。ふたりでやるのはメリットが大きいんですよ。

圓尾:例えば子供や自分が体調を崩したり、何か急用が入ったときにも相方に対応してもらえる。先日も私が体調を崩してしまったのですが、久保さんに連絡して対応してもらいました。
ふたりで一緒にやっているから引き継ぎも最低限で済むので、全体としてスムーズに仕事できているのはメリットですね。

久保:成果物のレビューもお互いでやっています。ずっと一緒に仕事しているからお互いの癖もわかっていて「この辺り苦手そうだな」と思って見ています(笑)。

圓尾:アイディア出しなんかのときも、思い込みや見落としリスクが減りますね。

── 複数人でやることのメリットも大きいですね。逆にデメリットはなんでしょうか。

久保:コミュニケーションや人間関係、お金周りで揉める方々が多い印象はあります。お互いわかりあっていないと難しいですよね。

圓尾:僕たちは完全平等なのですが、例えば「今月は体調を崩して2週間働けませんでした」といったときにちゃんとルールを決めておかないと「本当に今月給料が半分ずつでいいのか」といった疑問も出てくると思うんです。ただ僕たちとしてはそこは持ちつ持たれつ。完全平等と決めています。 

半年毎の合宿で目線を合わせる 

── 価値観を合わせるためにやっていることはありますか?

久保:半年に1回、自分たちの事業だけを考える合宿をしています。腰を据えて話していると、新しい視点が出てくるものですね。

── ふたりとも監査法人のときから一緒に働いてきて、同じような価値観をもっているように思えますが、それでも「新しい視点」は出てきますか? 

久保:僕たちもやってみて改めて認識したのですが、やっぱり人間は別の生き物ですね。同じものを見ていても、捉え方が全然違います。だからこそ半年に1回くらいは目線を合わせる必要があると思っています。 

── 最近の合宿ではどんな目線合わせをしたのでしょうか。 

久保:独立してから約3年。これまであくせく働いてちょっと忙しすぎました。せっかく独立したんだし、今は「好きなことをして生きていきたいな」と思っています。なのでこれからは仕事の量を減らしていく予定です。

圓尾:この業界、楽しそうに働いている人が少ないなと思っているんです。そんな話を合宿でしていたら、「じゃあ漫才をしよう」という話になりました。

── …漫才?

久保:漫才です。圓尾くんがすごい好きなんですよ。普段の会話から「XX(漫才コンビ)のYYのネタみたいやな」ってツッコミいれてきますからね。

圓尾:漫才めっちゃ好きで、暇さえあればずっと観ています。純粋に楽しいというのはもちろんなのですが、想像力を掻き立てるしゃべりや演技力など、どんな仕事にも必要なスキルなのに、彼らの能力はずば抜けていると思いませんか? 会計士や税理士にしたって、クライアントとのコミュニケーションやセミナーに役立つ力だと思います。 

KUMA Partners株式会社_代表取締役/公認会計士・税理士_圓尾 紀憲 | Maruo Toshinori

久保:それで早速、こないだM-1の予選に出てきたんですよ。ただやっぱり上手くいかなくて。それでこれから改めてまた頑張ることにしました。プロの漫才を分析したりシャドーイングしたりしています。練習の成果として声量が上がりましたね(笑)。 

圓尾:セミナーの練習にもなりますしね。 

── (確かに漫才のポーズだ!)

「はい、どうもこんにちは~」と聞こえてきそう(笑)

久保:あとは最近、喋りの練習も兼ねてYouTubeチャンネル「KUMAチャンネル【しゃべくり公認会計士】」を運営しています。今はひとまず強みを活かした会計や監査、税務なんかの話題が多いですが、いずれはもっと幅広い話をしていきたいですね。
仕事・漫才・YouTube。この3本柱で頑張っていきます! 

▼KUMA PartnersYouTubeチャンネル「KUMAチャンネル【しゃべくり公認会計士】」です。こちらも是非ご覧下さい。

取材・執筆・撮影:pilot boat 納富隼平



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【納富 隼平/合同会社pilot boat 代表社員CEO・公認会計士試験合格】1987年生まれ。明治大学経営学部卒、早稲田大学大学院会計研究科修了。在学中公認会計士試験合格。あずさ監査法人で会計監査に携わった後、デロイト トーマツ ベンチャーサポート株式会社に参画し、300超のピッチ・イベントをプロデュース。2017年に独立して合同会社pilot boatを設立。長文でスタートアップを紹介する自社メディア「pilot boat」、CVCやアクセラレーションプログラムのオウンドメディアコンテンツ制作・イベント運営・リサーチ等を手掛ける。公認会計士ナビでは、会計やスタートアップの記事・動画制作、イベント運営を専門に携わる。

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