2021年3月の会計士業界ニュースをお届けします。
「1社15%以内まで監査報酬の新ルール」「次期EYジャパン会長に貴田氏」「姓政府がBIG4寡占状況是正の改革案公表」の3本です。
1社15%以内まで監査報酬の新ルール
欧州で先行導入している監査法人のローテーション制度について、日本では実務上の負担が大きく見送られた経緯があります。同じく独立性を確保する目的で策定された今回の新ルールは、将来的には日本でも導入されることになりそうですが、果たしてどのような内容なのでしょうか。
今回、監査報酬の新ルールに関する記事が、朝日新聞よりリリースされています。
決算などをチェックする目が甘くならないように、監査法人が上場企業から受けとる報酬に制限が設けられる見通しだ。この春にも国際的な監査ルールが改定され、中小の監査法人が多い日本では大きな影響がでかねない。
引用元:依存度5年連続15%超で監査法人辞任 報酬に新ルール(朝日新聞 2021年3月16日付)
記事によると、国際会計士連盟の審議会は、大企業1社からの監査報酬が5年続けて監査収入の15%を超えれば監査人を交代すると倫理規定を改めており、日本公認会計士協会は新ルール適用まで準備期間を設けると伝えられています。
監査契約数が少ない小規模の監査法人は、新ルール適用で監査人を交代する可能性もあることから、早めの対応を迫られそうです。
詳細は以下の記事をご参照ください。
次期EYジャパン会長に貴田氏
EYジャパンは今年6月の会長職の任期満了を控え、後任人事を発表しました。
今回、EYジャパンの人事に関する記事が、日本経済新聞よりリリースされています。
EY新日本監査法人などを統括するEYジャパンは、貴田守亮最高執行責任者(COO、49)が7月1日付で会長兼最高経営責任者(CEO)に就く人事を固めた。
引用元:EYジャパン会長兼CEOに貴田氏(日本経済新聞 2021年3月19日付)
記事によると、貴田氏は、世界各国での監査やコンサルティング経験を生かし、多様な人材の活躍を促進するだろうと伝えられています。
貴田氏の経歴や活動について、以下の日経ビジネスで取り上げられています。
- 「本当の自分を話せない」とGDPも低下? ~LGBTと経済を考える(前編)(日経ビジネス 2020年12月3日付)
- 法制度不足の日本、人材流出も~LGBTと経済を考える(後編)(日経ビジネス 2020年12月4日付)
こちらの記事では、カリフォルニア大学音楽部卒業という貴田氏の学歴や、EYジャパンのLGBTアライネットワークUnity Japanの活動を牽引してきたことなどが伝えられています。
新たな視点でEYジャパンをリードしていくのではないかと期待が高まる人事です。
詳細は以下の記事をご参照ください。
英政府がBIG4寡占状況是正の改革案
英国の財務報告評議会は2024年までに、BIG4の監査部門分離をめざしていますが、このたび英政府が230ページにも及ぶ改革案を公表したようです。
今回、英政府が公表した会計監査や企業統治の質の向上をめざす改革案に関する記事が、日本経済新聞よりリリースされています。
英政府は18日、会計監査や企業統治(ガバナンス)の質の向上をめざす改革案を公表した。監査業務の4大グループによる寡占状況を是正するために準大手以下の参入を促したり、財務報告について企業の取締役により大きな責任を負わせたりする。
引用元:監査・ガバナンスの質にメス 英政府が改革案公表(日本経済新聞 2021年3月19日付)
記事によると、この報告書には、4大法人に主要企業の利用が集中していることから、FTSE350採用企業に対して子会社などグループ企業の監査には4大法人以外を使うよう促すことや、監査業務と非監査業務の運営を4大法人のグループ内で分離させることなど、具体策が盛り込まれたと伝えられています。
報告書には、独立性を確保するための効果的な手段が提示されています。これからBIG4がどのように実行していくのか、改革は難航が予想されます。
詳細は以下の記事をご参照ください。
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)