第12回:クライアント管理2【会計事務所が知っておきたい税理士賠償責任のポイント】

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みなさん、こんにちは。東京共同会計事務所の窪澤と申します。
今回は、会計事務所が知っておきたい税理士賠償責任のポイントの第12回として、「クライアント管理(続編)」についてお話しさせていただきます。

第9回でクライアント管理 についてお話しした後、新型コロナウイルス感染症が拡大したことで、本ブログにおいても、2回ほど新型コロナウイルス感染症関連の特集として特別に注意すべきポイントをお伝えいたしました。残念ながら、新型コロナウイルス感染症の収束までにはまだ時間を要するものと思われますが、テレワークやWeb面談なども新常態としてなじんできたかと思いますので、いったんクライアント管理に戻って話を進めたいと思います。

これまでの記事はこちら →シリーズ:会計事務所が知っておきたい税理士賠償責任のポイント

著者

東京共同会計事務所
税理士/マネージャー
窪澤 朋子

上智大学外国語学部卒業
平成15年税理士登録。前職の鳥飼総合法律事務所で、14年にわたり、税務訴訟及び税賠訴訟の補佐人・不服申立の代理人を務める。主な担当事件に、ストック・オプション事件、ガーンジー島事件、グラクソ事件、外国籍孫事件等。
税賠案件では、税賠訴訟の他、税理士紛議調停・訴訟前の交渉等、多数の案件に関与。税賠保険事故調査書のレビュー経験あり。
著書に、「税理士の専門家責任とトラブル未然防止策」(清文社・分担執筆)等。

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クライアントとのやり取りに関する情報は細かいことも含め共有する

前回は、クライアントの様々な情報を多元的に管理するにあたってのポイントをお話しいたしました。今回は、クライアントを担当するにあたって、最も重要とも考えられる、クライアントのとのコミュニケーション手法とキーパーソンの癖や傾向を所内で共有し、次の担当者へ伝授するポイントをお伝えします。
まず、クライアントの窓口となる方の名前や役職(立場)、クライアント代表者との関係、窓口の方との連絡手段などは、サマリーにまとめておくことが望ましいと思われます。なぜなら、今後の担当者の変更がしばらく予定されていない場合であっても、従前の担当者が突然入院することとなる、あるいはやむを得ず休職するなどして、新しい担当者が確定申告の準備に関する連絡を行わなければならない、などという事態が発生しうるからです。また、このように情報が共有されていれば、事務所事情や先方事情による急な担当替えにも対処が可能となります。
サマリーには、電話を避けたほうがよい時間帯がある、普段はメールをすぐに返信してくるので3日間連絡がない場合はメールを再送したほうがよい、などのコメントも思いつく限り付しておくとよいものと思います。

クライアントとのメールは日頃から整理しておく

クライアントとの最も頻度の高いコミュニケーション手段がメールである場合は、やり取りのメールを共有フォルダ等に保存しておくことで、他の担当者や上司も、クライアントとのコミュニケーションの内容を確認することができます。メールによるやり取りは、証拠を残すという意味でとても優れているのですが、メールのやり取りを読み返すと、伝達事項だけでなく当時のニュアンスや雰囲気も伝わってくるので、その意味でもメールは非常に便利なコミュニケーションツールであると考えます。
ただし、このようなクライアントの場合、やり取りのメールの数が年間で数百通になるなど、膨大な量になることが容易に考えられます。このような場合、何か問題が発生した場合や、当時の言及内容を確認したい場合に、目的とするメールがなかなか見つからないこともあり得ます。メール送受信の時期で見当をつける、検索機能を活用するといった方法も考えられますが、いずれを用いてもある程度の時間を要することになるでしょう。
このような場合には、元のメールは従来のフォルダに置いたまま、重要なメール及びその関連メールをピックアップし、PDF化して論点ごとのフォルダに別途保管する、又はメールを格納するフォルダを、当初からより詳細に分類しておくなど、やり取りの重要度に応じてメリハリをつけた保存法を活用するとよいものと思われます。

電話でのコミュニケーションの保存方法

A社とのやり取りは、もっぱら電話。そのようなクライアントは、今でもやはり多いものと思います。電話でのコミュニケーションは、単に要件を素早く伝える、というだけでなく、ある程度複雑な内容を分かりやすく説明したり、メールで報告した内容をフォローしたりするのにも適しています。メールよりも世間話などもしやすいため、コミュニケーションを深めるには、より適しているツールであると思われます。
ただ、やはり電話の難点は、顔が見えないこと、そして後に残らないことです。相手がどのような気持ちで発言しているのかは、口調から推測しなければなりませんし、電話で説明したはずなのに、後になって一切聞いていないと言われるなど、お互いの認識に齟齬が生じるのも、電話では時々起こりうることです。
電話をメインのコミュニケーション手段としているクライアントの担当者は、クライアントとの架電内容についてメモを作成し、上司やサブの担当者に伝えるという作業を日常茶飯事として行う必要があります。この作業は、所内における申告書作成等に向けた情報共有のためにももちろん必要ですが、クライアントとのコミュニケーションをより円滑にするためにも意味があります。クライアントは、担当者Xに連絡したことを、担当者Yも知っているものとして、次回、担当者Yに話をしてくるものです。その際、担当者Xがどのように回答したのか認識せずに不用意な回答をしてしまうと、クライアントの不信感が募ったり、また、税務上の影響が生じたりする可能性もあるため、留意する必要があります。

クライアントからの情報の引き出し方を知っておく

個人のクライアントに対しては、時に相手方が答えにくい可能性のある内容を尋ねなければならないこともあります。そのような場合に、どのコミュニケーション手段で、どのようなタイミングであれば尋ねやすいのか把握しておくと、確定申告書の作成の際、あるいは相続のコンサルティングにあたって適時の対応を行うことが可能となります。
クライアントに関する情報を適切に得ておくことは、ミスのない申告や時宜を得たコンサルティングを行うだけでなく、トラブルを防ぐためにも大変重要なことです。真摯に対応し、適切な手段を取ることで、必要な情報を得て管理していきましょう。

【今回のポイント】

  • クライアントとのやり取りに関する情報は、小さなことも共有
  • メール・電話、それぞれ後日のことを考えて整理しておく
  • クライアントから情報を引き出す際の適切な手段を認識しておく

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次回に続く

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記事引用元:【第12回】クライアント管理2:会計事務所が知っておきたい税理士賠償責任のポイント | 東京共同会計事務所求人・採用サイト

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