2020年12月の会計士業界ニュースをお届けします。
「UMCエレ粉飾決算で元株主が監査法人も提訴」「上場企業で女性役員拡充へ」「企業統治指針改定で社外取締役不足」の3本です。
UMCエレ粉飾決算で元株主が監査法人も提訴
ユー・エム・シー・エレクトロニクスは、2016年に新規上場し、2019年には、新規上場前から中国子会社で不正会計が行われていたと発表し、社長が引責辞任をしています。
今回、ユー・エム・シー・エレクトロニクスの元株主が起こした訴訟に関する記事が、朝日新聞よりリリースされています。
粉飾決算によって株価が下がり損をしたとして、電子部品会社「ユー・エム・シー・エレクトロニクス」の大阪府の元株主が10日、同社に約1億円の損害賠償を求める訴えを大阪地裁堺支部に起こした。
引用元:「粉飾決算で損害」元株主が提訴 監査法人の責任も追及(朝日新聞 2020年12月10日付)
記事によると、元株主は、監査法人と証券会社に対しても、連帯して賠償金を支払うよう求めていると伝えられています。
新規上場から現在まで、EY新日本有限責任監査法人(新規上場当時は「新日本有限責任監査法人」)が監査報告書にサインをしています。粉飾があったのは中国の子会社ということですが、EY新日本有限責任監査法人に対してどのような判断が下されるのでしょうか。
詳細は以下の記事をご参照ください。
上場企業で女性役員拡充へ
近年、ESGが追い風となり、企業の長期的な成長には女性の活躍が必要という考え方が広まっています。役員や管理職への女性の登用も少しずつですが進んでいます。
今回、上場企業の女性役員拡充に関する記事が、日本経済新聞よりリリースされています。
上場企業が女性役員の拡充に動く。リコーや日本ユニシスは全役員に占める女性比率を2倍にする目標を掲げた。
引用元:女性役員拡充へ数値目標(日本経済新聞 2020年12月16日付)
記事によると、投資家のESG重視の傾向と、菅政権が女性管理職比率を30%に高める目標を打ち出したことを受けて、リコーでは2030年までに女性役員比率を現在の2倍の18%まで引き上げることや、キリンホールディングスも取締役・監査役の女性比率を2030年までに30%まで引き上げる計画だと伝えられています。
女性の役員や管理職が増えることで、出産や育児などライフイベントを経ても、女性がキャリアを築いていけるような国になることを期待します。
詳細は以下の記事をご参照ください。
企業統治指針改定で社外取締役不足
2015年に金融庁と東京証券取引所が、上場企業に企業価値の向上を求めるための行動指針として、企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)を導入しています。
今回、企業統治指針の2021年改定に関する記事が、日本経済新聞よりリリースされています。
企業統治の担い手不足が深刻になっている。2021年に金融庁や東京証券取引所が企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)を改定すると、約1000人の独立社外取締役が不足する見通し。
引用元:社外取締役1000人不足 統治指針改定で(日本経済新聞 2020年12月17日付)
記事によると、改定指針では、プライム市場の企業に対して、独立した社外取締役を全体の3分の1以上にするよう求める見通しで、新たに915人の独立社外取締役を追加選任する必要があると伝えられています。
社外取締役人材の供給が追い付いかない中、コーポレート・ガバナンスへの知見のある公認会計士へのオファーが、今後増えてくるかもしれません。
詳細は以下の記事をご参照ください。
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)