2019年9月の会計士業界の時事ニュースをお届けします。
9月2日、4日、13日にリリースされた「公認会計士から警視庁・財務捜査官に」「PwCルクセンブルクが仮想通貨での決済を受入れ」「BIG4監査法人、今期決算で3法人が経常減益」の3件のニュースをご紹介します。
公認会計士から警視庁・財務捜査官に
- 監査法人から転職 数字のプロ、職場は警察 詐欺、粉飾… 見逃さない (東京新聞 2019年9月3日付)
会計士が活躍できるフィールドは警視庁にもあります。監査法人退職後の選択肢として興味を持たれる方もおられると思いますが、一体どのような職場なのでしょうか。
今回、警視庁で財務捜査官として活躍する会計士に関する記事が、東京新聞よりリリースされています。
警視庁生活経済課の事件の帳場(捜査本部)に通う山田尚幸警部(41)=仮名=が右手で帳簿を一枚一枚めくりながら、左手で電卓を見ないまま高速で打ち込んでいく。
「数字は無味乾燥に見えるけど、人の動きが必ず反映される」。数字に隠された不正を見抜くのが仕事だ。会計帳簿の数字を棒グラフや折れ線グラフにして分析したり、業界動向を把握するために経済紙を読み込んだり。「売り上げなどの数字は、前の年や同業者と比較してこそ意味を持つ」が持論だ。
引用元:監査法人から転職 数字のプロ、職場は警察 詐欺、粉飾… 見逃さない (東京新聞 2019年9月3日付)
記事によると、山田警部は公認会計士試験合格後に就職した大手監査法人で、カネボウ粉飾事件で東京地検特捜部の捜索を受け、同僚が逮捕されるという衝撃的な経験をされたそうです。その後新聞で財務捜査官を募集していることを知り、捜査機関がとことん真相を追求する姿を思い出し、知識を社会に役立てたいと警視庁への転職を決意したということです。
監査が大好きという人にとって、監査経験を存分に生かせる財務捜査官は適職かもしれません。
PwCルクセンブルクが仮想通貨での決済を受入れ
- 「ビッグ4」 監査法人PwCのルクセンブルク支社、仮想通貨での決済を受け入れへ (coindeskJAPAN 2019年9月4日付)
日本から遠く離れた、西ヨーロッパに位置するルクセンブルク。この国のBig4で仮想通貨による決済を試みる動きがあるようです。
今回、監査法人PwCルクセンブルク支社の仮想通貨での決済受け入れに関する記事が、coindeskJAPANよりリリースされています。
世界4大監査法人「ビッグ4」の1核であるPwCのルクセンブルク支社は、2019年10月より、顧客からの支払いを仮想通貨でも受け入れる。
2019年9月2日(現地時間)に発表されたこの決定は、顧客の要望に応えたもので、ブロックチェーン技術が経済で果たす「中長期的な」役割を信じるPwCルクセンブルク支社の考えを体現するものだと同社は述べた。
引用元:「ビッグ4」 監査法人PwCのルクセンブルク支社、仮想通貨での決済を受け入れへ (coindeskJAPAN 2019年9月4日付/※原文ママ)
記事によると、PwCは2014年から仮想通貨領域を扱っており、仮想通貨受入れはブロックチェーン関連顧客へのサービスの貢献になると考えているそうです。また、同香港支社は2017年から仮想通貨監査関連業務でビットコインでの支払いを受入れており、2019年6月からは法人顧客の仮想通貨取引を監視するHaloデータ監査スイートをリリースしており、ブロックチェーン技術を積極的に取り込む姿勢を見せています。
監査法人が仮想通貨を受入れてブロックチェーン技術の信頼性を実証すれば、仮想通貨が通貨として機能する未来が来るのでしょうか。
BIG4監査法人、今期決算で3法人が経常減益
- 監査法人大手、3者が経常減益 AI監査で費用増 (日本経済新聞 2019年9月13日付)
8月の会計士業界ニュースで、監査法人トーマツの2019年5月決算が、サイバーセキュリティー対策やITエンジニアなど専門人材の採用拡大で人件費が増加し、営業益が減少したことをお伝えしました。
今回、BIG4監査法人の2018年度決算が出揃い、うち3法人が経常減益になったことに関する記事が、日本経済新聞よりリリースされています。
4大監査法人の収益環境が厳しさを増している。13日出そろった2018年度の決算では、EY新日本監査法人など3者が前の年度比で経常減益だった。人工知能(AI)の活用に向けたシステム投資や人件費上昇などの負担が重くなっている。監査業務の複雑化に伴い、企業から受け取る監査報酬は増加。4者とも増収となったが、採算改善にはつながっていない。
引用元:監査法人大手、3者が経常減益 AI監査で費用増 (日本経済新聞 2019年9月13日付)
記事によると、EY新日本監査法人とあずさ監査法人は、AI監査の実用化に向けたシステム開発と、会計士の報酬引き上げで費用がかさんだことが減益の原因になったとのことです。他方、PwCあらた監査法人は、人員採用などが一服したことで、増益になりました。
公認会計士ナビでは、毎年、大手監査法人の業績比較記事をお届けしていますが、今年も近日中にリリース予定です。ご期待ください!
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)