本日、平成29年11月17日(金)、平成29年公認会計士試験の合格者が発表されました。
合格者の皆様、おめでとうございます!
※写真は東京の合格発表会場にて。大原の講師&合格者のみなさんです!
さて、今年度の合格者に関する概要は下記の通りです。
平成29年公認会計士試験 合格者の概要
【願書提出者数】 11,032名(昨年の10,256名から776名の増加)
【合格者数】1,231名(昨年の 1,108名から123名の増加)
【合格率】 11.2%(昨年の10.8%から0.4%の上昇)
【合格者最高年齢】 62歳
【合格者最低年齢】 19歳
【合格者の平均年齢】 26.3歳
【合格者性別】男性989名、女性242名(合格者の女性比率19.7%)
※30歳未満(20代・10代)の合格者比率77.0%
※大学(および短大)在学中の合格者38.4%
合格者数と合格率 -合格者数は9年ぶり増の昨年に続き2年連続増加!合格率も上昇!
本年の公認会計士試験(論文式)における合格者数は1,231名となりました。また、合格率は11.2%でした。
この結果は、昨年と比較すると、合格者数は123名の増加となり、合格率は0.4%の上昇となっています。
合格者数に関しては、前年比57名増加した昨年は「平成19年の4,041名をピークに8年連続のダウンとなっていたのが、9年ぶりに増加」でしたが、今年は前年比123名増とさらに増加幅が大きくなり、合格者数の増加を印象付けています。
また、合格率は平成23年の6.5%を境に6年連続のアップとなっており、上昇トレンドにある点にも注目です。
近年、監査法人業界は全体的に人不足が続いていますので、2年連続で合格者数が増加に転じ、増加数も伸びているのは幸いと言えるでしょう。
【図1:過去15年間の合格者数と合格率】
願書提出者数 -願書提出者数も昨年よりさらに増加!ついに会計士人気復調か!?
本年の願書提出者の総数は11,032名でした。
これは昨年の10,256名と比較すると776名の増加であり、こちらも前年比76名増であった昨年(平成22年以来、5年連続の減少だったものが6年ぶりに増加)よりさらに大幅に増加したことになります。
減少トレンドにあった願書提出者数が2年連続で増加したことで、ここ数年、志望者が減少傾向にあった公認会計士業界にとっては明るい兆しと言えるでしょう。
【図2:過去15年間の公認会計士試験 願書提出者数の推移】
6年連続で高まる合格率、公認会計士は学生合格しやすいリスクの低い資格に!?
ここ数年の合格者数の減少で再び難関化したイメージもあった会計士試験ですが、図1の合格率を長期のトレンドで見ると、直近の合格率も6年連続で上昇しており、また、直近4年は10%を超えるなど、一時的に合格者数が増加した平成18年より前の会計士試験(15,000名前後が受験し、8.5%程度が合格)よりも合格率が高い水準が続いています。
また、大学在学中の合格者の比率も38.4%、合格者の平均年齢も26.3歳ということで、若いうちに合格することも可能であり、監査法人への就職状況も、大きく改善していますので、合格後の就職の心配もかつてほどありません。(もちろん、今は好景気ですが、合格時期が不景気と重なるかもしれないという懸念はあります。)
逆に、大学在学中の早いタイミングから試験にチャレンジしていれば、残念ながら合格できなかった場合にも早期に軌道修正を行うことができ、リスクヘッジもしやすいと言えます。
公認会計士業界としてはより優秀な人材を業界に呼びこむために、こういった点をアピールするなど、さらに受験者数を増やしていくこともテーマのひとつと言えるでしょう。
試験合格者に占める女性人数・比率 -徐々に高まる女性比率
試験合格者に占める女性人数と女性比率の推移は以下の通りです。
長期トレンドでは、合格者に占める女性比率は10%台後半を推移していますが、直近では3年連続で20%前後となるなど、やや上昇している傾向が見られます。
また、女性合格者数に関しては、近年は200名強で推移しており、合格者総数が3,000名を超え、女性も600~700名が合格していた時期と比較すると大きく見劣りはしますが、3年連続で増加という傾向も見られます。
近年は、会計士協会の会長にも女性が就任し、また、女性会計士の活躍をアピールする監査法人も増えてきていますので、今後、女性の受験者や合格者が増えていくことも期待されます。
【図3:過去12年間の合格者に占める女性人数と女性比率の推移】
監査法人の採用・合格者の就職活動 -今年も合格者優位の売り手市場の予想!監査法人は採用に苦戦か!?
本日の日本経済新聞でもBIG4監査法人の採用予定について触れられていますが、業界内の情報などから、本年も昨年同様にBIG4監査法人は積極的に人材を採用する予定であり、準大手・中堅以下の監査法人も人手不足は顕著であることから、合格者にとっては就職活動を行いやすい環境だと言えるでしょう。
一方、本年も「売り手市場」(就職希望者が優位の市場)であることから、採用側である監査法人サイドから見ると、人材獲得競争がここ数年同様に激しいものとなることが予想されます。合格者の就職活動が容易な分、採用側である監査法人にとっては今年も昨年に続き厳しい採用環境となる可能性が高いと言えるでしょう。
なお、監査法人の採用状況や業界の人材状況は、今後の会計士試験の合格者数にも影響を与える可能性があります。
とは言え、以前、監査法人が人手不足に陥った際は会計士試験の合格者が大幅に増やされたものの、その後の不況の影響などにより、合格者の就職難が社会問題となった背景などもあるため、大幅な増加に関しては金融庁も慎重にならざるを得ないと思われます。
昨今は、各監査法人は業務改善やAIといったテクノロジーの導入によって、業務工数の削減に取り組んでもいますが、今後の合格者数や業界の人員状況はどうなっていくのでしょうか?
最終的には金融庁の方針や景気の動向次第となりますが、業界の今後を予想する上でも今年の就職・採用状況は要注目だと言えます。
※本文中のデータは金融庁の「平成29年公認会計士試験 合格者調」「平成29年公認会計士試験の合格発表の概要について」を参考に作成。
※願書提出者数、合格者数、合格率等、本文中の数字は短答式試験みなし合格者、旧第2次試験合格者を含んだ数字で算出しています。