監査法人への転職 -公認会計士の転職ナレッジ



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監査法人への転職は公認会計士が最も転職しやすいキャリアパスです。一方で、公認会計士の大半は監査法人からキャリアをスタートさせますので、特にBIG4監査法人に在籍している公認会計士が特に好んで別の監査法人へと転職することはあまり多くありません。

このページでは監査法人への転職に加えて、監査法人内でのキャリア、監査法人での経験が外部でどう評価されるかに関しても解説します。

記事目次

監査法人への転職に関する傾向

監査経験のある公認会計士であれば、一般的に他の監査法人への転職はしやすい傾向にあります。

監査法人への転職難易度は、公認会計士の需給バランスによって上下します。
総じて、監査法人業界は、業界横並びで需給バランスが変化する傾向にあり、公認会計士試験合格者(定期採用)の就職状況を目安にするとわかりやすいでしょう。どの監査法人も会計士試験合格者の就職が厳しい時期には中途採用を抑制しており、就職がしやすい時期には中途採用を積極的に行っている傾向にあります。

また、監査法人はどのような人材を求めているのでしょうか?

一般的には若手が求められているため、監査法人への転職を考える場合、年齢は若いほうが有利な傾向にあります。
職位で見ると、中堅~大手監査法人の中途採用はスタッフ~シニアスタッフ職での採用ニーズが最も多く、一定以上の実績や部門内での強いニーズがあればマネージャー職以上も中途採用を行う傾向にあります。中小監査法人の場合は、マネージャー以上の人材を求めるケースも見受けられます。

監査経験のない公認会計士(企業経理経験者など)の場合、監査法人への転職は年齢と景気の状況によります。景気が良い状況であれば採用されやすく、年齢が高くなるにつれ採用可能性が下がっていく傾向があります。

また、株式市場で評価の悪い上場企業の監査を行っているような監査法人(ブラック監査法人や受け皿監査法人と呼ばれる法人)に就職してしまうと、その後の転職は大きく不利になりますので、注意が必要です。

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監査法人業界でのキャリアの特徴

ここでは、監査法人業界で得られるキャリアの特徴について解説します。

監査法人の規模別のキャリアの特徴

1.BIG4監査法人
2.中小・中堅監査法人

監査法人の業務別のキャリアの特徴

1.会計監査
2.会計監査以外(IT監査、アドバイザリーなど)

上記4つに分けで、監査法人でのキャリアの特徴を解説します。

監査法人の規模別のキャリアの特徴

1.BIG4監査法人のキャリア

BIG4監査法人では、「監査のキャリア」と「アドバイザリーのキャリア」があります。また、監査とアドバイザリーのそれぞれでさらに細分化されたキャリアがあります。

特に近年は、各法人とも会計アドバイザリー部門を強化・増員しているため、BIG4監査法人内でもアドバイザリーキャリアを積む機会は増えてきています。
一方で、部門はしっかり分けられているケースが多いため、監査とアドバイザリーを兼務できるケースは、PwCあらた監査法人などで一部見受けられるものの、基本的にはBIG4監査法人ではあまりありません。

また、BIG4監査法人の魅力は、法人内に様々な部門があり、異動をうまく活用すれば多岐に渡る経験が積める点ではありますが、法人内で着実に昇格していくには、特定の部門に一定期間勤務し、しっかりと実績を出していくことも重要です。そのため、異動をどう活用するかはキャリア形成や法人内での昇格において重要です。

BIG4監査法人では海外赴任のチャンスもあります。グローバル化が進み語学力や海外経験が高く評価される昨今ではこの経験は非常に価値のあるものであり、監査法人から転職する際にも有利に働く可能性が高いです。
一方で、法人内での昇格だけを考えるなら、海外赴任をせず、特定の部門で同じ仕事を続け実績を出していったほうが昇格に有利となるケースもあります。海外赴任を経てどのようなキャリアを描くかも意識して赴任することが望ましいでしょう。

監査法人に限らず一般企業でも言えることですが、監査法人内での昇格やキャリア形成には人間関係や社内政治などが影響を及ぼすこともあります。BIG4監査法人では、パートナーや部門長との相性や人間関係も重要です。

2.中小・中堅監査法人のキャリア

BIG4監査法人や準大手監査法人から中小監査法人に転職すると、監査マニュアルやノウハウのギャップを感じることも少なくありません。一方で、自由度は高く、各論点の検証などを良い意味でマニュアルに寄らず監査業務を行える点に魅力を感じるケースもあります。

また、BIG4監査法人や準大手監査法人から中小・中堅監査法人に転職すると、監査以外にアドバイザリーなどの業務に携われる可能性もあります。(ただし、アドバイザリーが豊富な中小・中堅監査法人は少ないため、監査とアドバイザリーを兼務と言っても監査業務が8~9割となることも多いです。)

中小・中堅監査法人では、若い年齢でインチャージやマネージャーとしての経験を積むことができる傾向にあります。
特に、BIG4監査法人で金商法監査のインチャージとなるには10年近く(※東京の場合、地域によっても異なる)のキャリアが必要なことも多いですが、中小・中堅監査法人であれば20代で金商法監査のインチャージを経験できるケースもあります。
また、準大手・中堅の監査法人であれば、クライアントの海外子会社の監査のために監査人自らが現地に赴くケースもあり、海外出張経験を積みやすい場合もあります。

中小・中堅監査法人においても、昇格やキャリア形成に人間関係や社内政治などが影響を及ぼすこともあります。中小~中堅監査法人では、代表パートナーや創業者メンバーとの相性や人間関係も重要です。

監査法人の業務別のキャリアの特徴

1.会計監査のキャリア

会計監査でのキャリアや、監査経験者の転職のポイント

会計監査は公認会計士の独占業務であるため、監査法人業界での地位は保証されやすく、同じく監査法人に勤務する米国公認会計士や他の資格者、無資格者よりは相対的に地位や評価は高いと言えます。

また、監査法人での昇格も近年は厳しくなりつつありますが、それでもコンサルティング会社や一般事業会社と比較すると、監査法人内での競争は比較的緩やかではあります。特に、中小監査法人や地方の監査法人となるとその傾向は顕著です。

こういった点では、公認会計士にとって監査法人の監査部門は、比較的ローリスクな職場であるとは言えるでしょう。

転職に関して言うと、会計監査の経験がある若手公認会計士であれば、FAS、コンサルティング、事業会社(経理、財務、IPO準備等)、金融機関(フロント~バック)など様々なフィールドへの可能性があります。一方で、30代になるとその選択肢は徐々に狭まっていくため、監査法人から出るには若いうちが有利と言えます。

また、会計監査を続けているとつぶしが効かないと考え、若いうちに監査法人を辞める人材もいますが、実際は会計監査の経験があれば30代、40代でも経理職への転職は可能です。ただし、加齢に伴って求人が少なくなるなど、選択肢が少なくなっていく点への注意は必要です。

一方で、監査法人の競争環境は外部と比較するとやや緩めであるため、仮に転職したとして、転職先で行うのと同じだけの努力を現在勤務する監査法人で行えばかなりの成果を出せる可能性もあります。監査法人から出ることを考える場合は、この点にも一考の余地があると言えます。

金融監査・公会計監査など特殊な監査経験をした場合の転職

会計監査の中でも「金融監査」や「公会計監査」は、もし監査法人から外に出る場合は、やや評価が特殊である点を意識しておく必要があります。

金融監査部門はその特殊性から、好景気・不景気問わず人材ニーズが高く、金融監査の経験があれば他法人の金融監査部門への転職はしやすい傾向にあります。また、過去に監査法人が人員削減を行った際にも、金融監査部門が対象外となるなど、監査法人内でのキャリアの希少性もあると言えるでしょう。

金融監査の経験者は、金融機関のバックオフィス職でも評価されやすく、年齢が若ければフロント職などでも評価される傾向にあります。一方で、金融監査のキャリアが長くなると、例えば、製造業など異業種の経理職への転職は難しくなるので、金融業界から離れたい場合は若いうちにキャリアチェンジすることが重要です。

公会計監査のキャリアがメインとなると、自治体や第3セクター、特殊法人などの経理職としては評価されやすいですが、それらの求人は転職市場に非常に少ない点、一般事業会社の経理職では評価されにくくなる点には注意が必要です。

公会計監査のキャリアがメインとなると、会計事務所、FASやコンサルティングファームでも一般的には評価はされにくくなりますが、クライアントに自治体や第3セクター、特殊法人が多いファームなどでは評価されやすい傾向はあります。

2.会計監査以外のキャリア(IT監査、アドバイザリーなど)

BIG4監査法人には会計監査以外にも多様なサービスラインや部門があります。監査、アドバイザリーそれぞれで多数の部門やサービスラインがあり、どの部門に所属するかによってキャリアも、積める経験も多種多様です。
ここでは参考までにIT監査と会計アドバイザリーのキャリアについて簡単に取り上げます。

IT監査のキャリア

公認会計士は会計に関する業務を好むため、IT監査の人気は高くはなく、いずれの法人でもやや人材不足であることが多いです。人材不足で低人気であるということは、逆に法人内での価値が高くなるので、金融監査などと同様に人員削減の際に対象外となったり、社内でのライバルが少なく昇格しやすいなど、勝ち残りやすいフィールドとも言えます。

IT監査部門での経験があると、IT系コンサルティングファームや事業会社のIT関連の企画部門などに転職できる可能性もあります。

会計アドバイザリーのキャリア

近年の監査法人の大きなトレンドとして「会計アドバイザリー」部門の拡大が挙げられます。IFRS導入や海外上場、M&A後の会計プロセス統合(財務会計・管理会計)などのニーズの高まりから、ここ数年で、各法人がサービスラインを本格的に起ち上げ、採用活動も積極的に行っています。

会計アドバイザリーの部門では、主に財務会計を中心としたアドバイザリー経験を積むことができ、会計監査の経験を最も応用しやすい部門となっています。
また、近年はいずれの法人の会計アドバイザリー部門も採用意欲が高いため、30歳程度までの若手であれば、事業会社で経理経験がある有資格者(公認会計士、米国公認会計士など)といった、監査未経験者も採用対象としている傾向があります。

監査法人業界で活躍する公認会計士の記事を読む

公認会計士ナビでは、監査法人業界を始めとした様々なフィールドで活躍する公認会計士の記事をまとめてあります。

下記ページをご参考ください。

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【手塚佳彦/公認会計士ナビ編集長・株式会社ワイズアライアンス代表取締役CEO】 神戸大学卒業後、会計・税務・ファイナンス分野に特化した転職エージェントにて約10年勤務。東京、大阪、名古屋の3拠点にて人材紹介・転職支援、支社起ち上げ、事業企画等に従事。その後、グローバルネットワークに加盟するアドバイザリーファームにてWEB事業開発、採用・人材戦略を担当するなど、会計・税務・ファイナンス業界に精通。また、株式会社MisocaのアドバイザーとしてMisoca経営陣を創業期から支え、弥生へのEXITを支援するなどスタートアップ業界にも造詣が深い。 2013年10月、株式会社ワイズアライアンス設立、代表取締役CEO(Chief Executive Officer)就任、公認会計士ナビ編集長。

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