APIをフル活用し、バックオフィス業務の自動化と効率化を実現。
株式会社ヴァル研究所
1988年にMS-DOS版の経路検索システム「駅すぱあと」を発売して以来、全国の公共交通機関データと高い信頼性をベースに法人向け・個人向けサービスを展開しており、これまでに12万社以上の取引実績があります。 近年では社会における移動の問題解決のため、公共交通機関に加えてシェアサイクルを始めとした様々な新しいモビリティサービスへの対応など、MaaSへの取り組みや次世代の経路検索システムの研究・開発を推進しています。※掲載内容は取材当時の情報です。
課題
- オンプレミス型のシステムを利用しており、リモートワークへの対応が難しかった
- 経理チームと総務チームが連携できておらず、業務が煩雑になってしまっていた
- 紙の伝票を使用しての業務や手作業の業務が多く、非効率だった
結果
- バックオフィスのクラウド化により、リモートワークができるようになった
- 経理チームと総務チームの連携がスムーズになり、業務効率化を実現
- APIを活用することで、経理財務領域の業務をほぼ自動化することに成功
会社全体としてクラウド化へ。バックオフィスもクラウド型システムを導入し、業務の自動化とペーパーレス化を実現。
1988年にMS-DOS版の経路検索システム「駅すぱあと」を発売して以来、全国の公共交通機関データと高い信頼性をベースに法人向け・個人向けサービスを展開している株式会社ヴァル研究所。コロナ禍における働き方の変化や、「クラウド化の促進」という会社全体の方針に対応する形でマネーフォワード クラウドを導入。バックオフィス業務の自動化と効率化、さらにペーパーレス化を実現した同社に導入時の背景や導入後の効果を伺いました。
マネーフォワード クラウド導入前はオンプレミス型のシステムを使用しており、リモートワークができない、かつサーバーの管理や維持が属人的になってしまっていました。
――まずは、貴社の事業概要についてお聞かせください。
新関様:当社は1976年創業の老舗の中小ソフトウェアメーカーです。1988年に経路検索システム「駅すぱあと」を発売して以来、さまざまな法人向け・個人向けサービスを展開しています。近年では公共交通機関に加え、シェアサイクルを始めとしたさまざまな新しいモビリティサービスへの対応など、MaaSへの取り組み、そして次世代の経路検索システムの研究・開発を推進しています。長年の事業者様とのお付き合いにより、運賃の特例などデータの正確性を強みとしています。
――みなさまのお役割やバックオフィスの体制についてお教えください。
新関様:わたしは管理部長として、経理チーム、総務チーム、リーガル&コンプライアンスチームを統括しています。その前は総務チームに10数年所属しており、総務チームのリーダーを経て、2年前に管理部長に就任しました。
山﨑様:わたしは7年前から経理チームのリーダーを務めており、経理チームへの所属自体は14年ほどになります。その前はモバイルやWebサービスの営業をしていました。営業から経理に異動ということで当時はとても驚かれましたが、優秀なメンバーに支えられながらここまでやってくることができました。
井戸様:わたしは経理チームのメンバーとして、日次の仕訳や月次決算業務などの財務会計全般を行っています。加えて、社内への経営情報や業績情報の提供というところにも注力しています。わたしは新関、山﨑の経歴と異なり、前職も含めて経理一筋です。
山﨑様:経理チームは4名体制です。わたしは他の部署や外部の関係者とのやりとり、そしてメンバーのマネジメントが主な業務になります。日々の経理業務はわたし以外のメンバー3名で対応している形です。当社の経理チームの特徴として、「業務のローテーション」が挙げられます。当社の経理チームでは、全員で同じ業務をできるようにして、毎月ローテーションで担当業務を交代するという形をとっています。それにより、どの業務も全員が対応できる体制になっています。定例の業務に加え、それぞれのメンバーの得意分野やスキルに合わせて、追加業務をしてもらっています。
経理チームでは正しく、迅速に対応するということを心がけています。定例業務はどんどん効率化して圧縮し、正確性と迅速性を担保しつつ、いかにプラスαの業務に取り組めるかを意識しています。経営層には経営判断に必要な情報を、一般社員には会社の状況を理解できるような情報を提供することで、定例業務以外の部分でも貢献できているのではないかと思っています。また、お金の流れが複雑になるような案件の場合には、営業メンバーのサポートもしています。
月次決算については、毎月中旬に行われる経営会議までに間に合わせる必要があるため、10〜12営業日程度で締めています。以前は15営業日程度かかっていたため、5営業日程度は短縮できている状態です。業務効率化の積み重ねの結果、今月は8営業日で締めることができました。
――マネーフォワード クラウド導入の背景についてお聞かせください。
新関様:わたしが管理部長に就任する前は、経理チームと総務チームが縦割りの組織体制になっており、チーム内で使用しているシステムもバラバラでした。例えば、総務チームで毎月の給与計算が終わったら、部署別の按分表などを紙に出力して、ハンコを押して、経理チームに渡す、そして経理チームでは受け取った紙を見ながら会計システムに手入力するといった形で、とても非効率でした。そのため、管理部長に就任したタイミングで、チーム間の組織の壁を取り払い、バックオフィス全体でデータ連携できる体制にしたいと考えていました。
そのために、経理チームと総務チームそれぞれの業務フローを洗い出し、重複している業務はないか、削減できる業務はないかなど、両チームで擦り合わせを行いました。そのような形で見直しを行う中で、やはり同じメーカーのシステムを導入した方が、シームレスな連携が可能になり、より効率化できるのではないかと考えました。そのため、比較検討を開始する段階から、経理財務領域も人事労務領域もどちらのシステムも提供しているメーカーを導入したいという希望がありました。
井戸様:マネーフォワード クラウド導入前はオンプレミス型のシステムを利用していたため、コロナ禍においてもリモートワークに対応が難しいという課題がありました。リモートワーク中に会計システムに接続するには、わざわざリモートデスクトップ経由で会社のパソコンにつなぐ必要があり、非効率さを感じていました。また、サーバーの維持管理が属人化しており、経理チームの中でも特定のメンバーしか対応できない状態だったため、クラウド化することで、この2点を一気に解消したいと考えていました。会社としてもリモートワークが中心の働き方になり、会計まわりだけでなく社内のサーバーを減らしていくという全体方針があったため、バックオフィスもクラウド化することを決めました。
価格と機能、UI/UXを比較し、マネーフォワード クラウドを導入。開発ロードマップが提示されていることで、他社にはない安心感が決め手に。
――システム導入にあたって、比較検討はされましたか。また、マネーフォワード クラウドを導入いただいた決め手となったポイントを教えてください。
井戸様:最初はマネーフォワードを含めて4社で比較検討を開始し、価格や機能、UI/UXを比較しながらマネーフォワードともう1社に絞りました。最終的にはとてもわかりやすいUI/UXが決め手となり、経理チームではマネーフォワード クラウド会計Plusとマネーフォワード クラウド債務支払を導入することに決めました。どこになにがあるのか、このボタンを押したらどういう動きをするのかなど、システム全体としての流れがわかりやすく、直感的に操作できる点がとてもよかったです。
山﨑様:経理チームのメンバーからは開発ロードマップが提示されていたことで、安心感があったという声もありました。開発ロードマップを提示していただいたことで、現時点で不足している機能も将来的にはつくことがわかりましたし、積極的に機能をアップデートしていることもわかったので、他社にはない安心感を持って導入を決めることができました。
また、複式簿記に則ったシステムの仕様であることも大きなポイントになりました。経理チームのメンバーは簿記をしっかり勉強してきている人が多いため、複式簿記に則っていないとなかなか理解が難しく、浸透していかないだろうと感じました。その点、マネーフォワード クラウドは紙の伝票と同じように仕訳を切ることができますし、それぞれの項目もわかりやすい仕様だったため、メンバー全員が受け入れられるシステムだったと思います。
APIを活用し、経理財務領域の業務をほぼ自動に。業務にかかる時間を1/6まで短縮することに成功。
――マネーフォワード クラウドを導入したことによる具体的な効果をお教えください。
井戸様:様々な業務にAPIを活用し、経理財務領域の業務はほぼ自動化することができています。例えば、マネーフォワード クラウド以外の周辺システムからのデータの流し込みや業績情報の開示など、これまで複雑で時間のかかっていた業務の効率化を実現しています。予算実績の対比表を作成するにあたっても、実績情報を細かく条件指定して取得することができるため、対比表を出すところまでをほぼ自動化しています。予算実績対比表の作成については、今までは半日程度かかっていたところから、今は数分でできるようになっており、業務全体では1/6程度短縮できていると思います。
山﨑様:マネーフォワード クラウド導入前は、まずリモートデスクトップで会社のパソコンにアクセスして・・など余計な時間がかかっていたため、そもそもクラウド化したことで大幅に工数を削減できたというのもありますが、APIを活用することでさらに効率化を加速させることができたと思っています。オンプレミス型のシステムでは実現できなかったことが、クラウド化したこと、そしてAPIを公開してもらっていることで実現できていますね。
井戸様:APIを使用した連携機能はわたしが独学で勉強して作成しました。これまで業務でAPIを利用した自動化の経験はありませんでしたが、業務の自動化と効率化を実現したい一心で取り組みました。最初は連携機能の実装に1〜2ヶ月かかりましたが、だんだん慣れてきて、直近の機能追加は早ければ数日〜数週間で実装できるようになっていきました。クラウド化するという話しになったときからAPIを活用していくことは目指していたので、マネーフォワード クラウド導入から1年足らずで、今のような形にできてよかったです。
山﨑様:これまでは手作業が非常に多く、ヒューマンエラーも発生しがちでした。そういったことを極力減らしたいという意向が経理チーム内で一致していたため、スピード感を持って進められたのかなと思っています。
また、ペーパーレス化という観点でも、改善されました。3年前は立替経費の処理は紙とハンコで対応していましたし、振替伝票も印刷して、確認して、ハンコをして・・という業務フローで対応していましたが、クラウド化したことで、紙の伝票での業務は大幅に削減できました。受け取り書類は、一部紙のものがありますが、そこもスキャナ保存制度を活用して、できる限り保管資料を減らす方向で動いています。
期初のタイミングに合わせて、人事労務領域のシステムも導入。バックオフィス全体の連携が可能に。
――マネーフォワード クラウド会計Plusとマネーフォワード クラウド債務支払を導入後、人事労務領域のシステムを拡張していただきました。導入の背景についてお聞かせください。
新関様:経理チームでは年次決算に間に合うタイミングでの導入を希望していました。一方で、総務チームは組織変更の影響もあるため、期初のタイミングでの導入を希望していました。マネーフォワード クラウドは必要なシステムを必要なタイミングで導入することができるため、希望通りのベストな形で導入することができました。
――マネーフォワード クラウドを実際に利用してみていかがでしたか。
井戸様:システムの機能面においても、営業やサポートの対応面においても非常に満足しています。新機能の開発も早く、プロジェクト管理機能や消費税額の手入力の迅速な対応はとても助かりました。税額の手入力ができない期間は売上の税額を合わせるために、複雑な計算をする必要があったため、とてもラクになったと感じています。APIに関する問い合わせをしたときも、迅速かつ丁寧なレスポンスでしたし、実装も2〜3日と短期間で対応していただきました。
新関様:経理チームと総務チームの連携がとてもスムーズになり、業務効率化を実現できています。今後も新しい機能をどんどんリリースしてもらえると嬉しいなと思っています。複数システムを導入しているメリットを最大化するためにも、仕訳や項目の連携性と柔軟性がさらによくなることを期待しています。
さらなる自動化を行い、会社にプラスαの貢献ができるバックオフィス体制を構築していきたい。
――今後の展望についてお教えください。
山﨑様:経理チームでは業務の自動化もペーパーレス化もさらに促進したいと考えています。まだ一部の業務で課題が残っているため、そこを早くクリアし、最終的には「手作業の業務はゼロ、紙を使用する業務もほぼゼロ」という形を目指していきたいです。そして、空いた時間で会社にプラスαの貢献ができるようなバックオフィス体制を構築したいと思います。
新関様:総務チームではペーパーレス化の課題がまだ残っているため、まずはその改善に取り組む予定です。業務内容的に出社する必要のある業務もありますが、給与計算や労務管理の業務については、フルリモートで対応できる形を目指していきたいと思っています。
――最後にマネーフォワード クラウドの導入を検討されている方々に向けて、メッセージをお願いいたします。
井戸様:これからマネーフォワード クラウドを導入する企業も、すでに導入されている企業もAPIの活用をおすすめします。経理チーム内でAPIを使用した連携機能を作成するのは技術的な壁が高いかもしれませんが、社内のエンジニアもしくはお付き合いのあるSIer様と協力することで実現できるのではないでしょうか。
山﨑様:マネーフォワード クラウドは開発のスピードが早く、どんどん新しい機能が追加されていきます。一度、導入すると「あとは運用でカバーしてください」というシステムもありますが、マネーフォワード クラウドは違います。一緒に成長していくことのできる、安心感のあるシステムだと思います。
新関様:ある程度の規模の会社になると、バックオフィスは縦割りな組織になりがちですが、縦割りの壁を破り、チーム間での連携を強化することで、業務効率化などのメリットがたくさん見えてくると思います。そのようなバックオフィス体制を構築するためにはという視点でシステム検討することをおすすめします。
※掲載内容は取材当時の情報です。
今回の導入サービス
引用元:APIをフル活用し、バックオフィス業務の自動化と効率化を実現。 – 「マネーフォワード クラウド会計Plus」導入事例