2021年12月の会計士業界ニュースをお届けします。
「元 公認会計士・監査審査会事務局長が明かす問題監査法人の実態」「会計士泥酔で通りすがりの女性にラリアット」「税理士相次ぐ懲戒処分逃れで税理士法改正」の3本です。
元 公認会計士・監査審査会事務局長が明かす問題監査法人の実態
公認会計士・監査審査会は、監査法人の行政処分その他の措置を講ずるよう金融庁へと勧告を行っていますが、勧告書からは審査及び検査の結果しか知ることができません。一体、どのような手法で問題監査法人を特定し、追及しているのでしょうか。
今回、『金融庁戦記 企業監視官・佐々木清隆の事件簿』(講談社)を一部抜粋しながら問題監査法人の実態に迫る記事が、文春オンラインよりリリースされています。
朝日新聞記者の大鹿靖明氏が、佐々木氏の奮闘に迫った著書『金融庁戦記 企業監視官・佐々木清隆の事件簿』(講談社)の一部を抜粋。不公正なやり取りに手を染める企業・監査法人を監視するために設置された「公認会計士・監査審査会」でみた、札つきの問題監査法人によるあくどいやり口の実態に迫る。
引用元:《不公正に操作される株価》怪しい企業の裏に必ずセットで付いてくる…“札つき”の問題監査法人による“あくどいやり口”の実態(文春オンライン 2021年11月11日付)
記事では、大鹿氏が佐々木氏へ取材した著書『金融庁戦記 企業監視官・佐々木清隆の事件簿』(講談社)より、佐々木氏が着任した当時の審査検査室の体制や、”札つき”の問題監査法人を解散に追い込んだ話、金融商品取引法の通知制度を活用した違法行為の差止めの手法などが伝えられています。
監査法人で働いた経験がある人なら一度は読んでみたいと思う内容です。
詳細は以下の記事をご参照ください。
会計士泥酔で通りすがりの女性にラリアット
12月と言えば忘年会シーズンですが、コロナウィルスの感染拡大防止の観点で、昨年に引き続き忘年会を自粛する企業は多いのではないのでしょうか。そのような風潮の中、会計士の飲酒による傷害事件が起きてしまいました。
今回、会計士が傷害容疑で逮捕された事件に関する記事が、讀賣新聞オンラインよりリリースされています。
通行人の女性を暴行し、けがをさせたとして、警視庁池袋署は2日、東京都豊島区池袋、公認会計士の男(23)を傷害容疑で逮捕したと発表した。逮捕は11月30日。
引用元:すれ違いざま女性にラリアット、公認会計士の男を逮捕…「酔っていてわからない」(讀賣新聞オンライン 2021年12月2日付)
記事によると、11月21日午前0時半ごろ、東京メトロ池袋駅の地下通路ですれ違いざまに女性の顔に「ラリアット」の暴行を加えたが、酔っていてわからないと容疑を否認しているということです。また、余罪も調査していると伝えられています。
歩いているだけで、見知らぬ男性からいきなり暴力を受けた被害者の心境を思うと、いたたまれない気持ちになります。
詳細は以下の記事をご参照ください。
税理士相次ぐ懲戒処分逃れで税理士法改正
今年9月にも国税OB税理士が国税当局の調査中に廃業し、懲戒処分逃れを行うという事件が起き話題となりました。同様の懲戒処分逃れの事案が相次いでおり、制度改正が待たれていました。
今回、税理士法改正に関する記事が、日本経済新聞よりリリースされています。
脱税などの不正に関与した税理士が国税当局の調査中に自主廃業して処分を免れる懲戒逃れが相次いでいた問題で、政府・与党は、廃業後でも調査や事実上の処分を可能とする税理士法改正を行う方針を固めた。
引用元:税理士の懲戒逃れ、法改正で阻止へ…廃業後も調査や事実上の処分可能に(讀賣新聞オンライン 2021年12月9日付)
記事によると、法改正では調査対象に「元税理士」を加え、調査を拒否すれば罰則の対象となり、2年間の業務停止や、期間中の税理士復帰の禁止、氏名や不正の概要を国税庁のホームページや官報で公表するそうです。
改正後は、懲戒処分逃れの手段として廃業を考える税理士はいなくなりそうですが、そもそも税理士は法律家として法の趣旨を理解し指導する立場であることを考えると、なんとも情けない話です。
詳細は以下の記事をご参照ください。
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)