2021年8月の会計士業界ニュースをお届けします。
「IPO中小監査法人の受託増加顕著」「CPE不適切受講の処分は個人と2法人」の2本です。
IPO中小監査法人の受託増加顕著
IPO監査を希望する企業が増える一方で、大手監査法人で契約できる件数は限られています。
今回、IPO監査の受託件数に関する記事が、日本経済新聞よりリリースされています。
新規株式公開(IPO)に向けた会計監査で、主要な中小監査法人が5月時点で受託中の件数は、前年同期に比べ9割近く増えたことが分かった。
引用元:中小法人 IPO監査受託、9割増(日本経済新聞 2021年8月4日付)
記事によると、日本経済新聞社が、日本公認会計士協会が「IPOを目指す企業の監査の担い手となる中小監査事務所リスト」で挙げた65法人を対象にアンケート調査を実施した結果、前年同期より80件(86%)増えたと伝えられています。
昨年、監査難民問題に対して、日本公認会計士協会が『IPO を目指す企業の監査の担い手となる中小監査事務所リスト』を公表するなど、解消に向けた対策を打ち出しています。中小監査法人の受託件数が大幅に増加して、IPOを目指す企業が増えたことは、日本経済にとって非常に喜ばしいことではないでしょうか。
詳細は以下の記事をご参照ください。
CPE不適切受講の処分は個人と2法人
- 会計士協会、A&Aパートナーズ処分 研修の不適切受講で(日本経済新聞 2021年8月12日付)
- 公認会計士50人を懲戒処分 研修不正受講で新たに―会計士協会(JIJI.COM 2021年8月12日付)
eラーニング研修の不適切受講を巡り、今年3月に、CPE単位の取り消しと法令違反を行った会員及び会員監査法人に対する懲戒処分が行われました。
今回、他の会員監査法人に対しても行われた調査結果に関する記事が、日本経済新聞よりリリースされています。
日本公認会計士協会は12日、会員会計士が研修を不適切に受講していた問題を巡り懲戒処分を発表した。個人会員50人に対し会員権の1~3カ月停止や戒告を実施した。
引用元:会計士協会、A&Aパートナーズ処分 研修の不適切受講で(日本経済新聞 2021年8月12日付)
記事によると、これまでの合計で、個人93名、ならびに、2つの監査法人が処分対象になったと伝えられています。
JIJI.COMからも、記事がリリースされています。
日本公認会計士協会は12日、法律で義務付けられた専門研修を不適切に受講していたとして、会計士50人に会員権の一時停止などの懲戒処分を行ったと発表した。
引用元:公認会計士50人を懲戒処分 研修不正受講で新たに―会計士協会(JIJI.COM 2021年8月12日付)
記事では、処分対象のうち21人が同時に複数の研修にログインしていたとして、戒告または会員権を1~3カ月停止したと伝えられています。
日本公認会計士協会からは、個人会員及び会員監査法人の懲戒処分について、懲戒処分事由や処分内容、今後のCPE制度の運営についてコメントしたリリースを発表しています。なお、処分によって監査業務をはじめとした公認会計士業務は制限されていません。
また、処分を受けた監査法人も、今回の処分を重く受け止めて声明を公表しています。
毎年、年度末になると取得単位不足で気が重くなる方というもおられると思いますが、コロナ禍に伴うeラーニングの無料受講の提供も続いていますので、今のうちにCPE制度で求められる必要な単位を取得して、繁忙期に備えてみてはいかがでしょうか。
詳細は以下の記事をご参照ください。
- 会計士協会、A&Aパートナーズ処分 研修の不適切受講で(日本経済新聞 2021年8月12日付)
- 公認会計士50人を懲戒処分 研修不正受講で新たに―会計士協会(JIJI.COM 2021年8月12日付)
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)