このコーナーでは、“くわえもん”こと高桑昌也氏が、厳しく、優しく、ユーモラスに公認会計士のみなさんのお悩みに答えます!
さあ、みんな!くわえもんに相談してみよう!
“くわえもん”とは?
高桑昌也 通称“くわえもん”
公認会計士・税理士、株式会社イーエスリサーチ 代表取締役社長
麻布高等学校・慶應義塾大学卒。大学在学中(2000年)に公認会計士2次試験合格、中央青山監査法人、金融庁、エスネットワークス取締役等を経て、現職。さそり座O型。秋田県男鹿半島出身。
趣味:写真、旅行、夜の麻布・六本木
今回のお悩み:会計士なんて目指さなければよかったかも…自分に自信が持てません
今回の相談者
J太郎さん、男性、30歳、公認会計士試験合格
※写真はイメージです。
相談内容
くわえもん先生、初めまして。
先生の相談録、毎回拝見しておりますが、まるで兄貴のような厳しくもあり、優しくもある先生の言葉、いつも楽しみにしております。
過去の皆様のような立派で前向きなものでなくて恐縮なのですが、私の相談事を聞いて頂けますでしょうか。
それは、今の自分に自信が持てないということです。
簡単に自己紹介しますと、現在30歳独身、東京の中小監査法人から、今年の2月北関東にある大手監査法人の地方事務所に移りました。
大学在学中から公認会計士試験を勉強し、監査法人に勤務しつつ勉強し、合格することができました。 しかし、修了試験には3度落ち、4度目でやっと合格することができましたが、劣等生の烙印を押された日々と疲労がピークに達し、精神的に限界が来て、退職致しました。
半年くらい休んで、体調も上向きになってきましたので、都内よりかは比較的ゆっくりできそうかな、と思い地方事務所を再スタートの場所としたのですが、慣れないことも多く、上司にケツをふいてもらっている毎日です。
元々私は目指した動機が、友達が目指してるから一緒にやってみようかな、という決して前向きなものではありませんでしたので、嫌いではないのですが、例えれば、昔ゲームの新作ソフトが発売された日のように、この仕事に対して夢中になれないでいます。
また、都内の監査法人時代に劣等生扱いされてきたこともあり、どうせ自分はダメなやつなんだと思ってしまうことが多々あります。そして、今も上司にケツをふいてもらっている状態ですので、俺って役にたてているのかな、という自己嫌悪に陥ってしまってます。
そんな日々の中、北関東には友達もいないため、淋しさを紛らわすため、人肌の温もりを感じるため、夜の繁華街に足しげく通ってしまっています。
でも、それも時間が過ぎれば、また一人になって、、、
こんな毎日に、会計士試験なんてはじめから受けないほうが良かったのかな、と思ってしまっております。
先生から見れば、尻が青い小僧の戯れ言に感じるかと思いますが、何か言霊を頂けますと幸いでございます。
くわえもんからの回答
君の旗のもとに、君は自由に生きればいい
悩みはみんな同じ
J太郎さん、こんにちは。
悩まれているようですね。
「仕事に夢中になれない」とのことですが、
結構世の中の人も、仕事が嫌になるものです。
私のクライアントの社長でも、声に出して言うかどうかは別として、
「会社を続けるのがしんどい。いっそのこと会社を誰かに譲ってしまいたい」
「何か別のことをやりたい」
「会社に行くのが億劫だ。もっと布団で寝ていたい」
と思っているものです。
たまに私もクライアントの社長から、そう告白されます。
それで会社の売却(言い換えればM&Aです)の相談に乗ったりします。
経営者の立場と監査法人勤務のJ太郎さんの立場、違いこそあれ、
仕事に夢中になれない、仕事をしたくない、という悩みは、同じような気がします。
男はみな悩むことだから、まずは安心してください。
そもそも監査に夢中になんてなれない
あと、「監査に夢中になれない」とありましたが、そもそも「現代の監査に夢中になる人などいない」というのが私の考えです。
むかしむかし、公認会計士は監査をする傍ら、クライアントに対するコンサルティングも積極的に受けていました。
アーサーアンダーセンという会計事務所がありましたが、監査を行う傍ら「飛ばし」系のスキームもコンサルし、潰れてしまったのは知っているかもしれません。ここまで行くと多少極端な例ですが、昔は公認会計士は監査のみならず財務コンサルも並行してやっていたのです。
それがアメリカのエンロン事件や国内でももろもろあり、「公認会計士は監査だけ、アドバイスの同時提供はまかりならん」という形になったのです。
(この頃から某当局に公認会計士は統制されるようになる。詳細は書けない)
- 監査・・・財務諸表に表現される「過去」の確認作業
- 財務コンサル・・・クライアントの「将来の」企業価値をあげるための作業
悪い表現をすると、監査は基本的に、クライアントの作った書類の後追いチェック。この作業にむしろ誰が夢中になれるのか?などと私は思っています。
私が公認会計士試験に合格した2000年頃は、コンサルも結構できたのですが、今は監査のみ。J太郎さんのやる気がでないのは、むしろ外部環境のせいじゃないかと思いますね。
嫌いなことを無理してやり続ける必要はない
J太郎さんは現在30歳独身とのことですが、人生において元気に働けるのはあと30年、せいぜい40年くらいです。
そんな有限の人生の中で、嫌いな仕事を無理してやり続ける必要は、ありません。
そもそも、「やりたいこと」は何なのか?
じっくり考えてみるのがいいでしょう。1ヶ月くらい休んで、国内外を放浪するのもいいかも知れません。
別に公認会計士にこだわらなくてもいい。
(「公認会計士です」と言うと、世間で多少信用が高まるくらいのこと)
子供の頃にパイロットになりたかったなら、それを追いかけてもいい。専門学校に行って、ANAとかJALに入ればいい。
(パイロットになれるかは知らない)
宇宙飛行士になりたかったのなら、NASAかJAXAに就職すればいい。難しいようなら、今は2500万円くらい出せば、アフリカのどこかでロケットに乗れるらしいので、貯金してトライしてもいい。
(知人はそれでアフリカに行き、宇宙に行った。らしい)
政治家になりたかったら、毎日駅で演説し、お金をためて選挙に出ればいい。
(そして知人はみごと議員になった)
女性になりたかったら、性転換も可能だ。
(知人は美しい女性になった)
無論、会計士として監査法人に勤務し続けてもいい。
独立したければ、独立すればいい。資格があれば、日本政策金融公庫から1000万くらいは運転資金を調達できる。
(あなたは1国1城の主となる)
某プロレスラーではないですが、人間たるもの体が健康で、元気があれば何でもできます。
とりあえず自分のやりたい事が何なのか、考える時間を持ちましょう。
そしてちょっと気分を変えてみて、自分の人生、自由に生きればいいのです。
もちろん「自由にやれ」なんて、覚悟がいることです。
私も無責任なことを言っていますが、1つはっきりしていることがあります。
それはやりたいようにやったほうが、のちのち後悔はない、ということです。
俺の旗のもとに 俺は自由に生きる(キャプテンハーロック)
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