EYジャパンがスタートアップを定額サポート、日経平均採用銘柄はBIG4が寡占、松井証券システム委託先で不正送金事件など3件:今月の会計士業界ニュース(2021年3月その4)



公認会計士業界時事ニュース

2021年3月の会計士業界ニュースをお届けします。

「EYジャパンがスタートアップを定額サポート」「日経平均採用銘柄はBIG4が寡占」「松井証券システム委託先で不正送金事件」の3本です。

EYジャパンがスタートアップ定額サポート

EY新日本監査法人は、2018年から3年連続でIPO件数で首位を独走しており、IPOと言えばEY新日本というイメージが定着してきました。

今回、EYジャパンのスタートアップ企業支援に関する記事が、日本経済新聞よりリリースされています。

大手監査法人グループのEYジャパンはこのほど、定額制でスタートアップ企業のサポートを始めた。創業間もない企業が対象で社内規定づくりや資金調達などについて、ひな型や外部支援先リストなどを用意して最低月額10万円で対応する。

引用元:EYジャパン、新興を定額支援(日本経済新聞 2021年3月20日付)

記事によると、5年後には50社の対応を目指すと伝えられています。

過去2013年には、EY新日本クリエーションが、月額1万円でベンチャー企業の経営支援事業を始めたとのニュースがありました。

また、直近の2020年11月には、EY Japanでスタートアップを支援する専門チーム「EY Startup Innovation」を設置するなど、スタートアップ支援にかなり力を入れているようです。

人手不足で資金需要が高い成長期に、低コストで専門家の支援を利用することで、スタートアップ企業の安定した成長が期待できると思います。一方で、資金のないスタートアップにとっては月額10万円も安くはない価格でもあります。

EYジャパンの今回のサービスと価格がスタートアップのニーズにうまくマッチしていくか、今後に注目です。

詳細は以下の記事をご参照ください。

日経平均採用銘柄がBIG4寡占

先日、英国の財務報告評議会が、BIG4の寡占状態を是正するため、監査と非監査の業務分離などの改革案を公表したばかりです。日本のBIG4も同様の寡占状態になっているのでしょうか。

今回、日本のBIG4のシェアに関する記事が、日本経済新聞よりリリースされています。

主要企業の監査で「ビッグ4」のシェアが高いのは日本でも同様で、公認会計士・監査審査会によると日経平均採用銘柄では96%にのぼる。

引用元:日経平均銘柄、大手利用96%(日本経済新聞 2021年3月20日付)

記事では、海外事業を手掛ける企業が、海外ネットワークが整ったBIG4に監査を依存している点を指摘する一方で、青山学院大学の八田進二名誉教授は、中堅中小の監査法人が合併し規模が大きくなれば企業にとって選択肢になると説明しています。

日本においては、現状ではBIG4の寡占状態を改革する策を政府が講じていませんが、今後、何か施策が行われることはあるのでしょうか。今後の動向に要注目です。

詳細は以下の記事をご参照ください。

松井証券システム委託先で不正送金事件

システムの運用管理を外部ベンダーに委託する場合、IT統制の評価を行っていると思うのですが、なぜこのような事件が起きてしまったのでしょうか。

今回、松井証券のシステム委託先による不正送金事件に関する記事が、日本経済新聞よりリリースされています。

松井証券の顧客口座から現金を不正に引き出したとして、システム管理を委託されていたSCSKのシステムエンジニア(SE)が逮捕された。日本企業はIT(情報技術)システムの外部委託率が8割を超える。

引用元:松井証券口座で不正送金容疑 システム委託、潜むリスク(日本経済新聞 2021年3月24日付)

記事によると、容疑者は松井証券の顧客情報にアクセスし、業務用パソコンに顧客約200人分のアカウントIDやログインパスワードを取り込んでおり、2017~2019年に15人の顧客口座から計約2億円の不正送金を繰り返していたと伝えられています。PwCコンサルティングの矢吹大介氏は、企業の中核部分のシステムは自社開発することも必要だとコメントしています。

外部委託での不正やトラブルが相次いでおり、外部委託先の評価をいかに行うべきか、問題は深刻さを増しています。

詳細は以下の記事をご参照ください。

(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧





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【大津留ぐみ:公認会計士・税理士/会計士・税理士専門ライター】 大学在学時にシェイクスピアを学んだことをきっかけに劇作家を目指すも挫折。編集プロダクションで編集やライティング業務に従事した後、公認会計士試験にチャレンジし合格。大手監査法人の東京事務所にて監査業務、財務デューデリジェンスなどに従事。 その後、フリーランスの公認会計士として非常勤監査、税理士法人の社員税理士として税務業務に従事しつつ、大津留ぐみのペンネームでライターとしての執筆活動にも従事。ライターとして、お金、社会保障、会計、税務などに関する記事を執筆。また、2児の母となったことをきっかけに、子どもの貧困や教育格差、子どものイジメに関する記事なども執筆。現在は、株式会社ワイズアライアンスの専属ライターとして会計・税務の記事を執筆しつつ、会計事務所にて内部統制業務にも従事するパラレルワーカー。公認会計士・税理士。

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