2021年3月の会計士業界ニュースをお届けします。
「あずさGPS監査導入」「将棋棋士が公認会計士試験合格」「あずさ不正受講で会計士協会処分発表」の3本です。
あずさ監査でGPSデータ導入
収益認識に関する会計基準が、2021年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から原則適用となります。この影響を大きく受ける事業の一つに、海運事業があります。従来会計慣行として適用してきた、積切出港基準や航海完了基準が認められないケースが増えて、航海の進捗度に応じて収益認識することになりそうです。
今回、あずさ監査法人が海運会社の監査でGPSデータを利用するという記事が、日本経済新聞よりリリースされています。
あずさ監査法人は全地球測位システム(GPS)で得られるデータを使った監査を始める。監査先の海運会社の船舶がどう運航しているかリアルタイムに把握し、関連する資産や収益が決算書に適切に計上されるようにする。
引用元:監査にGPSデータ あずさ、船の運航状況で資産評価(日本経済新聞 2021年3月7日付)
記事によると、あずさ監査法人は宇宙航空研究開発機構(JAXA)と提携し、GPSで運航状況をリアルタイムで把握できる手法を開発したと伝えられています。売上計上時期に関する新ルールでは航行の進捗に応じ段階的に計上する方式が主流になるとみられており、GPSを利用した監査はこのルールへの対応と見られています。
海運業以外でも、収益認識基準の導入は影響が大きく、間もなく始まる本格適用を前に急ピッチで準備が進められているところではないでしょうか。
詳細は以下の記事をご参照ください。
将棋棋士が公認会計士試験合格
公認会計士試験は学生時代から勉強する方が多いものの、経歴を問わず受験できるため、プロバスケットボール選手、お笑い芸人、元プロ野球選手など、様々なジャンルの才能を有する会計士の方がいます。
今回、将棋棋士の公認会計士試験合格に関する記事が、朝日新聞よりリリースされています。
将棋の現役プロ棋士が、難関の公認会計士試験に合格した。日本将棋連盟関西本部(大阪市)所属で、兵庫県加古川市在住の船江恒平六段(33)。将棋の公式戦の対局を重ねながら、専門学校に通い、試験勉強に取り組んだ1年8カ月の努力が実った。
引用元:将棋の棋士が難関の公認会計士試験に合格 船江恒平六段(朝日新聞 2021年3月7日付)
記事によると、船江恒平六段は2019年3月から専門学校に通い始めて、わずか2年間で合格したと伝えられています。
プロ棋士として鍛えられた洞察力でどのような監査を行うのか、会計士としてのご活躍も楽しみな方です。
詳細は以下の記事をご参照ください。
あずさ不正受講で会計士協会処分発表
あずさ監査法人所属会計士による、eラーニングを使用した不正受講問題が昨年9月に発覚し、その後、調査や処分決定の議論が行われていました。
今回、会計士協会が発表した処分に関する記事が、日本経済新聞よりリリースされています。
日本公認会計士協会は9日、会計士による不適切な研修受講の問題を巡り、対象者の懲戒処分を発表した。法令違反が認定された会計士と所属するあずさ監査法人の会員権を一時停止する。
引用元:あずさの会員権停止 不正受講で会計士協が処分(日本経済新聞 2021年3月10日付)
記事によると、不正単位の取り消しにより所定の単位数に達しなかった45人のうち43人に戒告し、会員権を1~3ヶ月停止するとともに、あずさ監査法人に対しては1ヶ月の停止処分としたと伝えられています。
これについては、会計士協会とあずさ監査法人からリリースが発表されています。
- 継続的専門研修の不適切な受講についてのプレスリリースの公表について(日本公認会計士協会Webサイト 2021年3月9日付)
- 日本公認会計士協会による処分について(KPMG Webサイト 2021年3月9日付)
会員権の停止処分は、監査業務を始めとした公認会計士業務を制限するものではないということですが、処分の重さが妥当なのか、今後議論を呼びそうです。
詳細は以下の記事をご参照ください。
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)