本日、令和3年2月16日(火)、令和2年(2020年)の公認会計士試験の合格者が発表されました。
合格者の皆様、おめでとうございます!
また、今年惜しくも合格とならなかった皆様に関しましては、次回きっと良い結果となりますよう祈っております。
※写真は本日午前10時の金融庁前。例年であれば合格発表の掲示で受験者や専門学校関係者で賑わいますが、今年はコロナ禍のため掲示はなし。人影もまばらで閑散としていました。
今回の公認会計士試験は、コロナ禍の影響で、試験日が変更になり合格発表も例年の11月から2月となりました。例年と違うスケジュールに苦労された受験生、専門学校の方々や、採用活動を行う監査法人の方など業界関係者も少なくないかと思います。(余談ですが、この影響で今年の合格者の方は、令和2年・2020年の会計士試験合格ですが、合格したのは令和3年・2021年という現象も発生しています。)
さて、それでは本題に移りましょう。今年度の合格者に関する概要は下記の通りです。
令和2年公認会計士試験 合格者の概要
【願書提出者数】 13,231名(昨年の12,532名から699名の増加)
【合格者数】1,335名(昨年の1,337名から2名の減少)
【合格率】 10.1%(昨年の10.7%から0.6%の減少)
【合格者最高年齢】61歳
【合格者最低年齢】18歳
【合格者の平均年齢】 25.5歳
【合格者性別】男性1,007名、女性328名(合格者の女性比率24.6%)
●30歳未満(20代・10代)の合格者比率:82.8%
●大学(および短大)在学中の合格者比率:41.6%
合格者数と合格率
合格者数は微減の1,335名!合格率はわずかに減少も10%台をキープ
本年の公認会計士試験(論文式)における合格者数は1,335名となりました。また、合格率は10.1%でした。
この結果は、昨年と比較すると、合格者数は2名の減少となり、合格率は0.6%の減少となっています。
合格者数に関しては、平成27年(2015年)に1,051名で底を打って以来、4年連続増加していましたが、今年は昨年の1,337名からわずかに減少し1,335名となりました。
また、合格率は昨年の10.7%より0.6%のダウンとなりましたが、ここ7年は10~11%で安定的に推移しています。
【図1:直近18年間の合格者数と合格率】
願書提出者数
会計士人気も回復!?願書提出者数も順調に増加!
本年の願書提出者の総数は13,231名でした。
これは昨年の12,532名と比較すると699名の増加であり、5年連続の増加となります。
減少トレンドにあった願書提出者数が5年連続で増加していることで、一時期低迷していた会計士人気も再び高まりつつあると言って良いでしょう。
【図2:直近18年間の公認会計士試験 願書提出者数の推移】
合格率と平均年齢
合格者の平均年齢は25.5歳!学生合格者の増加と下がる平均年齢
一時期難化していた公認会計士試験の合格率ですが、前述の通り、ここ数年は10~11%で安定的に推移するようになりました。
また、本年の合格者は、82.8%が30歳未満での合格、平均年齢が25.5歳、大学在学中の合格者の比率が41.6%ということで、ここ数年は若い年齢の合格者比率が高くなっています。
特に合格者の平均年齢は一昨年の25歳から昨年は25.2歳、今年は25.5歳と25歳前後で推移しており、若い年齢での合格者も珍しくない状況になりつつあります。
本年と昨年の比較
- 合格者の平均年齢:25.5歳 → 昨年度は25.2歳(一昨年度は25歳)
- 合格者最高年齢:61歳 → 昨年度は62歳
- 合格者最低年齢:18歳 →昨年度は18歳
- 30歳未満の合格者比率:82.8% →昨年度は82.3%(一昨年は84.1%)
- 大学(および短大)在学中の合格者比率:41.6% →昨年度は39.6%(一昨年は43.1%)
このように若手の合格者が増えることによって、若い会計士の活躍や露出も増え、公認会計士という存在が若者へ身近になるという好循環ができれば、会計士業界全体へのプラスにもなると考えられます。
また、公認会計士試験は合格できなかった場合のリスクがありますが、大学在学中など早いタイミングからチャレンジしていれば、合格できなかった場合にも早期に軌道修正を行うことができるため、受験者側のリスク低減につながる側面もあるかと思います。
そういった点からも合格者の平均年齢が下がることによって、若者がチャレンジしやすい資格とのイメージが今後より強くなっていくかもしれません。
試験合格者に占める女性人数・比率
女性合格者数が今年も300名超え、24.6%と高い女性合格者比率
試験合格者に占める女性人数と女性比率の推移は以下の通りです。
今年は、女性328名が合格、女性比率24.6%と近年でも高い数字となりました。
長期トレンドでは、合格者に占める女性比率は10%台後半で推移し、直近では20%前後でしたが、今年は24.6%と過去15年で最も高い比率となっています。また、女性合格者数に関しては、近年は200名強で推移しておりましたが、今年は328名と昨年に引き続き300名を超える数字となりました。
合格者の総数が3,000名を超え、女性も600~700名が合格していた時期と比較すると合格者数ではまだまだ見劣りはしますが、6年連続での増加、また、比率も高まるなど女性の存在感が高まりつつあります。
近年は、監査法人での働き方改革の推進など、女性も勤務しやすい環境が以前よりもさらに整ってきていますので、今後、女性の受験者や合格者がさらに増えていくことも期待されます。
【図3:直近15年間の合格者に占める女性人数と女性比率の推移】
監査法人の採用・合格者の就職活動
コロナ禍でも合格者優位の売り手市場、会計士資格の強さが見える年に!?
会計士試験に合格された方々は次は就職が気になるところかと思います。
監査法人等の採用ニーズを総合すると、本年も監査法人業界では引き続き人材ニーズは高い状況であり、今年も合格者(就職希望者)優位の売り手市場と言えるでしょう。
公認会計士の就職・転職市場に関しては、1年前からのコロナ禍にも関わらず大きな落ち込みは見られず(株価が高く、M&AやIPO市場が活況であることも要因のひとつだと考えられます)、公認会計士資格の強さが見られる市場となっています。
また、業界全体がやや人不足の中、合格者数はここ数年ほぼ横ばいに近い状況で推移しており、需給バランスが売り手(合格者)に優位な状態で維持されたことが、公認会計士の市場価値の維持にもつながっていると言えるでしょう。
ここからの数年は、新型コロナのワクチンの普及、コロナ禍によって落ち込んだ景気の動向、世界的に上昇している株価の動向など、予測がしづらい環境が続きますが、合格者の皆様が充実した会計士キャリアを歩まれることを祈念しております。
※本文中のデータは金融庁の「令和2年公認会計士試験 合格者調」「令和2年公認会計士試験の合格発表の概要について」を参考に作成。
※願書提出者数、合格者数、合格率等、本文中の数字は短答式試験みなし合格者、旧第2次試験合格者を含んだ数字で算出しています。