2020年4月の監査法人関連ニュースをまとめました。
2020年3月2日、4月6日、13日、15日にリリースされた「新型コロナ不況で会計士にリストラの影再び?週刊エコノミストが会計士特集」「Nuts帳簿残高8億円の現金実査したら50万円」「株主総会開催も延期容認」の3件のニュースをご紹介します。
新型コロナ不況で会計士にリストラの影再び?週刊エコノミストが会計士特集
- 新型コロナ不況で「会計士」にリストラの嵐が吹き荒れる理由(エコノミストOnline 2020年4月6日付)
新型コロナ不況の影響で、監査法人業界にも不況の波が押し寄せるのでしょうか?
今回、週刊エコノミストが2020年4月14日号で公認会計士と税理士の特集を行っており、その特集の一部がオンラインでも公開されています。
下記記事では、公認会計士のリストラに関して触れられています。
「監査法人でまた大量のリストラが始まるのでは」。新型コロナウイルスの感染拡大で景況感が急速に悪化する中、監査法人関係者の間でこんな観測が飛び交っている。
引用元:新型コロナ不況で「会計士」にリストラの嵐が吹き荒れる理由(エコノミストOnline 2020年4月6日付)
記事のタイトルは『「会計士」にリストラの嵐が吹き荒れる理由』とセンセーショナルになっていますが、記事の中ではその具体的な理由はまったく述べられておらず、「監査のデジタル化のための投資が監査法人の収益に重くのしかかっている」「コロナ不況が長期化すれば、監査先の企業も苦しくなり、監査報酬を引き上げづらくなる」と言及されている程度です。
エコノミストOnlineでは、今回の会計士特集に関してその他の記事も公開されていますので、ご興味のある方は以下をご参照ください。
- コロナ不況 残る会計士 消える税理士(エコノミストOnline 2020年4月6日付)
Nuts帳簿残高8億円の現金実査したら50万円
- Nuts代表ら強制調査 監視委、虚偽情報開示の疑いで(日本経済新聞 2020年3月2日付)
- ハコ系上場企業のNuts、8億円あるはずの現金が50万円しかないことが判明(市況かぶ全力2階建 2020年4月13日付)
- 会計監査人からの報告事項及び外部調査委員会の調査目的の追加に関するお知らせ(株式会社Nutsリリース 2020年4月13日付)
新型コロナウィルス関連のニュースが続く中、異色のニュースが飛び込んできました。
今回、虚偽の情報開示を行った疑いで行われているNutsの強制調査の経緯に関する記事が、日本経済新聞よりリリースされています。
ジャスダック上場で医療関連事業などを手がける「Nuts」(東京・港)が株価上昇などを目的に虚偽の情報開示を行った疑いが強まったとして、証券取引等監視委員会が金融商品取引法違反(偽計)の疑いで、同社代表取締役の男性や同社の株主など、複数の関係先を強制調査したことが2日、関係者への取材で分かった。
引用元:Nuts代表ら強制調査 監視委、虚偽情報開示の疑いで(日本経済新聞 2020年3月2日付)
記事によると、証券取引等監視委員会は19年2月の開示内容が虚偽だった疑いがあるとみて、今年2月下旬、同社など複数の関係先を強制調査しているということです。
その後、3月12日付けで外部調査委員会を設置して、事実関係の解明及び原因の究明に関する調査が行われていますが、Nutsのその後の調査について、ネット上でも話題に。市況かぶ全力2階建にもまとめられるなど話題となっています。
- ハコ系上場企業のNuts、8億円あるはずの現金が50万円しかないことが判明(市況かぶ全力2階建 2020年4月13日付)
この件については、Nutsが適時開示情報「会計監査人からの報告事項及び外部調査委員会の調査目的の追加に関するお知らせ」をリリースしています。
監査法人元和が、2020 年4月3日、当社が保有する現金の実査を実施したところ、2020 年3月 31 日時点における当社が保有する現金は 0.5 百万円であるにもかかわらず、当社の帳簿上の現金の残高が 809 百万円と、両者の間に差異が存在することが発見されたとの報告を4月7日に受けました(以下この差異を「本件現金差異」といいます。)。
引用元:会計監査人からの報告事項及び外部調査委員会の調査目的の追加に関するお知らせ(株式会社Nutsリリース 2020年4月13日付)
リリースでは、帳簿上では 809 百万円あるはずの現金の残高が、現金はわずか50万円、預金を合わせても250万円しかなく、正常な事業活動を行うことが困難であるほど資金が不足していると伝えています。監査を行った監査法人もこの事実には驚いたのではないでしょうか。
外部調査報告を待たなければ事件の全貌は分かりませんが、いずれにせよ上場企業ではあってはならないことが起きてしまいました。詳細は下記をご参照ください。
- Nuts代表ら強制調査 監視委、虚偽情報開示の疑いで(日本経済新聞 2020年3月2日付)
- ハコ系上場企業のNuts、8億円あるはずの現金が50万円しかないことが判明(市況かぶ全力2階建 2020年4月13日付)
- 会計監査人からの報告事項及び外部調査委員会の調査目的の追加に関するお知らせ(株式会社Nutsリリース 2020年4月13日付)
株主総会開催も延期容認
- 株主総会の開催、柔軟に 政府が2段階実施や延期を容認(日本経済新聞 2020年4月15日付)
- 会計士協会会長、政府方針に賛同(日本経済新聞 2020年4月16日付)
- 新型コロナウイルス感染症に関連する監査上の留意事項(その3)(日本公認会計士協会Webサイト 2020年4月15日付)
新型コロナ感染拡大の影響を受けて、有価証券報告書の提出期限が9月末まで延期されましたが、株主総会についても大筋が決まったようです。
今回、株主総会の柔軟な開催を認めるとした政府方針に関する記事が、日本経済新聞よりリリースされています。
新型コロナウイルスの感染拡大で決算のとりまとめが遅れる上場企業が相次ぐなか、政府は株主総会の柔軟な開催を認める方針だ。金融庁や経団連などでつくる協議会は15日、開催日程の延期に加え、配当金の決議と決算の承認を別の日に行う2段階実施も可能だとの声明文を出す。
引用元:株主総会の開催、柔軟に 政府が2段階実施や延期を容認(日本経済新聞 2020年4月15日付)
記事では、株主総会を延期することもできるし、当初予定した時期に株主総会を開いた上で監査報告などは改めて「継続会」で実施することもできると伝えています。
これに対して、日本公認会計士協会の手塚会長がコメントを出しています。
日本公認会計士協会の手塚正彦会長は15日に声明を発表し、株主総会の延期などを容認する政府の協議会の方針に賛同する意向を示した。
引用元:会計士協会会長、政府方針に賛同(日本経済新聞 2020年4月16日付)
公認会計士協会から、会社法の計算関係書類の定時株主総会における報告スケジュールについて、留意事項が発出されていますので、詳細はこちらをご覧ください。
- 新型コロナウイルス感染症に関連する監査上の留意事項(その3)(日本公認会計士協会Webサイト 2020年4月15日付)
会員及び準会員の皆さんの多くは自宅待機されていることと思いますが、ご自身の健康を第一に考えて、命を守る行動をしましょう。詳細は下記をご参照ください。
- 株主総会の開催、柔軟に 政府が2段階実施や延期を容認(日本経済新聞 2020年4月15日付)
- 会計士協会会長、政府方針に賛同(日本経済新聞 2020年4月16日付)
- 新型コロナウイルス感染症に関連する監査上の留意事項(その3)(日本公認会計士協会Webサイト 2020年4月15日付)
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)