2019年11月の会計士業界の時事ニュースをお届けします。
11月19日、20日、21日にリリースされた「会計士協会会長が監査法人ローテ制のリスク指摘」「デロイトトーマツコンサルティング記事で波紋」「受験生の人気は公認会計士試験に軍配」の3件のニュースをご紹介します。
会計士協会会長が監査法人ローテ制のリスク指摘
- 会計士協会会長 ローテ制導入に慎重姿勢(日本経済新聞 2019年11月19日付)
2003年に公認会計士法が改正され、パートナーローテーション制度が法定化されました。その一方で、パートナーローテーション制度実施後も不正会計事案が続き、監査法人のローテーション制度の導入が検討されているところです。
今回、日本公認会計士協会の手塚会長の監査法人ローテーション制度に関するコメント記事が、日本経済新聞よりリリースされています。
企業監査を複数の監査法人が交代で担うローテーション制度について「担当企業についての知見の蓄積が不十分となり、問題が生じかねない」と慎重な姿勢をみせた。
引用元:会計士協会会長 ローテ制導入に慎重姿勢(日本経済新聞 2019年11月19日付)
記事によると、手塚会長は、監査法人ローテーション制度では交代直後に重大な不正を見逃すリスクがあることから、パートナーだけではなく監査チーム全員を入れ替えるという案を示したそうです。
監査法人のローテーション制度に関する調査報告について、金融庁より報告書がリリースされています。
- 監査法人のローテーション制度に関する調査報告(第二次報告) の公表について(金融庁 2019年10月25日付)
日本版ローテーション制度の仕組み作りについて、もうしばらく議論が続きそうです。記事では詳細が述べられていますので、ご参照ください。
- 会計士協会会長 ローテ制導入に慎重姿勢(日本経済新聞 2019年11月19日付)
デロイトトーマツコンサルティング記事で波紋
- デロイトトーマツ系コンサル異常な退職引き留めで軋轢(FACTA ONLINE 2019年12月号)
衝撃的なタイトルのニュースがリリースされ、波紋が広がっています。
今回、デロイトトーマツコンサルティングに関する記事が、FACTA ONLINEよりリリースされています。
4大監査法人の一角、デロイトトーマツ系のデロイトトーマツコンサルティング合同会社で「プロジェクトオメガ」と呼ばれる、役員や社員の退職引き留めを行うチームプロジェクトが進められている。
引用元:デロイトトーマツ系コンサル異常な退職引き留めで軋轢(FACTA ONLINE 2019年12月号)
記事では、デロイトトーマツコンサルティングでは想定を超える退職者が出ており、退職者の引き留めを行う「プロジェクトオメガ」が進められていると報じられています。
この記事に対して、デロイトトーマツは、退職者が例年に比較して増加しているという事実やプロジェクトオメガ自体が存在しないということ、また、記事が事実に反する憶測や悪意ある情報提供に基づくものとし、「月刊FACTA」の出版社であるファクタ株式会社に対し、撤回と謝罪を求める申し入れを行ったということです。
デロイトトーマツの毅然とした対応で、事態は収束に向かうのでしょうか。
詳細は、下記Webサイトでご確認ください。
- デロイトトーマツ系コンサル異常な退職引き留めで軋轢(FACTA ONLINE 2019年12月号)
- 「月刊FACTA」における当グループに関する記事について(デロイトトーマツ 2019年11月20日付)
受験生の人気は公認会計士試験に軍配
- 司法試験と公認会計士試験、明暗分かれた“士業”どちらが生き残るか(マネー現代 2019年11月21日付)
令和元年11月15日、令和初の公認会計士試験の合格発表がありました。合格者数は4年連続で増加し、願書提出者も4年連続で増加と、会計士試験は人気回復傾向です。
- 【速報】令和初の会計士試験の合格者は1,337名!令和元年(2019年)公認会計士試験合格発表!とその考察(公認会計士ナビ 2019年11月15日付)
今回、公認会計士試験と司法試験を比較する記事が、現代マネーよりリリースされています。
いずれも難関な試験で知られる弁護士と公認会計士の試験の結果が大きく明暗を分けた。会計士の合格者が4年連続の増加となる一方、弁護士資格を得るための司法試験の合格者は4年連続の減少となった。合格者数に対する業界の姿勢が反映されている。
引用元:司法試験と公認会計士試験、明暗分かれた“士業”どちらが生き残るか(マネー現代 2019年11月21日付)
記事によると、司法試験は受験生増加による質の低下や仕事がなくなるという危惧を受けて合格者数を抑えたため、2013年は1万人を超えていた出願者が、2019年は4,930人まで急速に減少してしまったそうです。これに対して公認会計士試験は、合格者数増加や、会計士の活躍の場が広がっており学生の間で役に立つ資格という見方が広かったことを受けて、人気が高まっているということです。
より多くの方が会計士資格に興味を持ち、会計士試験の受験生が増えることは、公認会計士ナビにとっても嬉しい限りです。記事では詳細が述べられていますので、ご参照ください。
- 司法試験と公認会計士試験、明暗分かれた“士業”どちらが生き残るか(マネー現代 2019年11月21日付)
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)