独立・開業は公認会計士の多くが憧れる夢のある選択肢です。一方で、実際に独立するとなると、資金やオフィス・備品の準備、営業、マーケティング、人材採用など様々な課題をクリアする必要があり、また、独立後の継続的な成長も実現していく必要があります。
そこで、公認会計士ナビでは、トップファームを経営するベテランの公認会計士の方々に5つのポイントに絞ったインタビューを行うことによって、「彼らは独立する際に何をしていたのか」「独立には何が必要なのか」「独立後、事務所を成長させるために何が重要なのか」といった、公認会計士が独立して会計事務所を成長させていく際にキーとなるノウハウを明らかにしていきたいと思います。
第2回は、クリフィックス税理士法人の山田徳昭先生にインタビューさせて頂きました。
クリフィックス税理士法人とは?
設立 | 1997年7月1日 |
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従業員数 | 70名(2014年9月現在) |
事業内容 | 税務・会計顧問、M&A/企業再生、ストラクチャードファイナンス、事業承継対策、外資系企業支援、株式公開支援、連結納税コンサルティング、IFRS対応支援、アウトソーシング業務 |
URL | http://www.clifix.or.jp/ |
クライアント | 大手金融機関・総合商社から著名なIT企業やベンチャー企業など、クライアントの半数以上が上場会社およびそのグループ会社 |
クリフィックス税理士法人は、税務・会計顧問を始め、M&Aや企業再生、IPO支援、事業承継、ストラクチャードファイナンスなどの税務・会計・ファイナンス関連サービスをワンストップで提供し、顧客には大手金融機関、総合商社、上場企業やそのグループ会社などが名を連ねる全国でも屈指の優良会計ファームです。
会計事務所業界では、同社と同規模(もしくは、同規模以上)の会計事務所や、上場企業などをクライアントに有する会計事務所は他にも見受けられますが、クリフィックス税理士法人には、上場企業や金融機関、商社といったクライアントを営業やPRを積極的に行うことなく、紹介を中心に獲得してきているという特徴があります。同社が「高い品質」と「クライアントからの信頼」を実現し、紹介を中心に顧客を獲得してきた背景にはどのような経営方針や戦略があったのでしょうか?
代表の山田徳昭先生にお話を伺いしました。
山田徳昭先生とは?
山田 徳昭(やまだ のりあき)
クリフィックス税理士法人
代表社員 公認会計士・税理士
経歴
- 1988年(23歳)慶応義塾大学商学部 卒業
- 1990年(25歳)慶応義塾大学大学院商学部研究科修士課程 修了、公認会計士2次試験合格
- 1990年(25歳)中央監査法人 入所
- 1993年(28歳)公認会計士開業登録
- 1997年(32歳)公認会計士山田徳昭事務所(現クリフィックス税理士法人)設立
今回、インタビューさせて頂いた山田先生は、慶応義塾大学大学院在学中に公認会計士2次試験に合格し、中央監査法人に入所。その後、約8年の勤務を経て独立されておられます。
会計事務所の創業者にはパワフルでカリスマ性溢れる方も多く見受けられますが、山田先生はそういった方々とは良い意味で好対象であり、自らが積極的に前に出ることのない穏やかでソフトなタイプの方です。
今回のインタビューでは、そのようなお人柄の山田先生がどのようにしてクリフィックス税理士法人を創業し拡大させてきたのか、その秘訣に迫ってみたいと思います。
山田先生に5つの質問!
では、山田先生は、クリフィックス税理士法人をつくるために何をされてきたのでしょうか?5つの質問をしてみました!
本シリーズでは下記の5つの質問にご回答頂きます。
- 勤務会計士時代はどんな公認会計士でしたか?
- 独立するための準備として何を行いましたか?
- 事務所が大きく成長するきっかけとなったことはありますか?
- 独立から今までで苦労したことや大変だったことは何ですか?
- 会計事務所を経営するにあたって重視してきたことは何ですか?
既に成功を納めているファームの所長のお話はこれから独立を志すみなさんにとっては遠い存在かもしれませんが、勤務会計士時代など、独立前後にも迫ってみたいと思います。
1:勤務会計士時代はどんな公認会計士でしたか?
最初はごく普通の会計士。独立もまったく考えていなかった。
公認会計士になった当初は独立するイメージはまったくありませんでした。私も、会計士試験に合格した人の多くが考えるように、大きな監査法人で大企業の監査をすることがやりがいだと思っていました。
会計士試験の合格後は、中央監査法人(後の中央青山監査法人)に入所し、大手金融機関やベンチャー企業など、様々な企業の監査を担当しました。メガバンクなどの監査を経験して、巨大な組織というものを肌で感じることができたのはいい経験でしたし、ベンチャー企業を支援する業務などでは、仕事にやりがいを感じながら働いていました。また、今、振り返ってみると、周りに優秀な人が多かったので、得られるものも多かったと思います。
徐々に監査に違和感が…
監査では様々な企業を見ることができ、たくさんのお客様との出会いもあるなどやりがいはあったのですが、一方で、心の片隅には違和感もありました。
お客様が必ずしも監査を歓迎していない状況でも仕事をしなければならないということに違和感があったのです。
例えば、監査ではクライアントの方から資料を頂いたり、会計処理について説明してもらうことがありますが、期末監査の時期は担当者の方々も忙しく、質問への回答がなかなか返ってこなかったり、呼んでもなかなか来てくれなかったりといったことがあります。そういった際、躊躇せずにどんどん質問ができる人もいるのですが、私はそれを気まずく感じてしまうタイプでしたので、本当に監査が自分にあった仕事なのかという考えも頭に浮かびました。
また、ある程度、監査に慣れ、監査法人の全体像も見えるようになると、上のポジションになると将来どんな仕事をするようになるかもわかるようになり、何かに新しいことにチャレンジしているという感覚も薄れてきました。
そのような流れから、監査以外のことにチャレンジしてみようという気持ちが少しずつ強くなっていきました。
2:独立するための準備として何を行いましたか?
準備なしでも独立できた良い時代だった
その後、監査法人を退職したのですが、すぐに「公認会計士山田徳昭事務所」を設立し、独立することにしました。独立したいと思い続けていたわけではなかったので、準備らしいことは特にしないままの独立でした。ただ、それまでのビジネス経験の中から、会計士として監査以外で安定的に収入を得られるのは、コンサルなどではなく、税務しかないという思いを強く持っていました。
また、監査法人を辞めたのは32歳の時なのですが、ちょうど結婚するタイミングでもありました。
こういった話をすると、「結婚するのに仕事を辞めたの!?」「準備なしで辞めても大丈夫なの!?」と驚かれる方もおられるかもしれませんが、当時は時代がよかったこともあり、退職しても在籍していた監査法人から非常勤の仕事を貰えましたし、出戻りもする人もいました。そのため、多少の不安はあったものの、収入がゼロになるといった大きな不安はないまま独立することができました。
最初はコツコツと …監査法人での非常勤での勤務と税務の勉強から
独立当初は、年間の半分程度、監査法人の非常勤の業務をやっていたと思います。空いた時間はずっと税務の勉強をしていました。税務に関しては、実務経験が少なく、最初はわからないことばかりでしたし、わからないことをどの専門書や雑誌で調べれば良いのかもわかっていない状態でしたので、大変、苦労したのを覚えています。
3:事務所が大きく成長するきっかけとなったことはありますか?
最初はことごとく空振り
独立当初はクライアントを獲得するためにいろいろなことにチャレンジしていました。セミナーの話があれば講師を無料で引き受け、税理士会主催の無料相談会があれば相談員として参加するなど、そこから1社でもクライアントを獲得できないかと積極的に活動をしていました。
けれども、残念ながらその頃のチャレンジはほぼすべてが空振りに終わりました。
私は、セミナーや無料相談会に相談に来る人たちに対して、真摯に、親身に対応さえすれば、その中の一部の人は、自分を認めてくれて、顧問契約をしてくれるのではないかという淡い期待を持っていました。ただ、現実は、そう甘いものではなかったということです。自分なりに、誠心誠意、尽くしたつもりだったのですが、実際には、「(あくまでも)無償の範囲で相談したい」、「(既に顧問税理士がいて)セカンドオピニオンを聞きたい」などという人が多く、自分の力不足ともあいまって、結局、1件も顧問契約にはつながりませんでした。
転機は前職の監査法人からのクライアント紹介
独立当初は監査法人での非常勤の勤務で食べていけてはいたものの、自分自身の事業はあまり成果が出ず、2年目になっても同じ調子で、友人などの紹介で小規模な顧客が少し増えただけで、生計を立てられるような状態ではなく、徐々に不安や焦りもでてきました。
「このままでは安定して食べていくことは厳しいのかな…」と思い始めた頃、前職の監査法人の上司や同僚などから大手金融機関や上場しているIT企業の子会社などをご紹介頂いたのですが、ここが私のターニングポイントとなりました。
願ってもない良い話ですので、これらの企業の担当者のかたに満足していただけるよう、全力を尽くしました。休みは年間数日程度しかとらず、その時点でできることは、すべてやりきるという思いでした。結果、この努力を評価してもらい、同じグループの他の会社のご紹介をいただくようになりました。
ただ、クライアントが増えてくると、作業やクライアントとの対応を従業員にやってもらうことが多くなりますので、彼らの成長が重要な要素となります。会計事務所の成長は、「従業員のスキル向上」⇒「既存のクライアントの満足度向上」⇒「従業員のスキル向上」という循環だと思います。その循環を永続させるために、特別な秘訣があるとは思っていません。目の前の課題を1つずつ、つぶしていくという作業を、どれだけ地道にやり続けられるかどうかだと思っています。
こうした結果、最初はその企業グループに1社だけだったクライアントが、3社、5社、10社と増え、安定した収益基盤ができるようになりました。この頃から、12~13年が経ちますが、この成長モデルが、今でも続いています。従来は、金融やIT系のお客様が多かったのですが、現在では、総合商社、外資系企業なども増えてきています。
4:独立から今までで苦労したことや大変だったことは何ですか?
従業員の退職は自分でフォロー -お客様には絶対に迷惑をかけない
会計事務所の成長の源泉は従業員だと思っていますし、だからこそ、大切に考えています。そうしたこともあって、離職率は、他の事務所と比較して低い方なのですが、それでも時折、退職者が出ることがあります。事務所が10数名規模になるまでは、従業員が退職した際には、特に苦労していました。というのは、退職者がでると、その仕事の大部分を自分が引き継いでいたからです。
普通であれば、退職者がでた場合、その仕事を他のスタッフに振り分けると思います。ただ、お客様から見ると、担当者が退職するということ自体、印象がよくないのに、さらにほかのスタッフに代わったことによりサービスのクオリティが落ちてしまうと致命傷になりかねないと考えました。そのため、退職者の仕事の過半を、いったん、私自身が引き継ぐという方法をとっていました。
もちろん、自分の普段の仕事量は退職者が出ることを想定して決めていませんので、退職者の業務を引き継ぐと自分のキャパシティを超えてしまうこともあり、心身ともに、かなりつらいものがありました。その後、事務所の規模も拡大し、信頼できるメンバーが育ってくると、そうした負担も、少しずつ減ってきました。
やはり人こそが財産 -事務所を一緒に支えてくれているメンバーに感謝
また、3年ほど前にも、大変な時期がありました。
当法人では、それまでは毎年数名ずつコツコツと新卒に近い人の採用を続けていましたが、リーマンショックの後はさすがに楽観的には増員できないと思い、採用をストップしました。2年間ほど、ほとんど人を採らなかったのですが、そのつけが、3年ほど前に、やってきました。採用を絞った時期のすぐ上の年次の者が数名、退職してしまい、中堅メンバーがかなり少なくなってしまったのです。
そのため、新規の受注があっても、マネージャーが中堅に仕事を振ることができず、マネージャーたちから「忙しいのに人手が足りない」「仕事が大変だ」と不満が出るようになりました。一方、若手スタッフの間では「マネージャーがきちんとした指示を与えてくれない」「管理ができていない」などの声が挙がり、社内の雰囲気が悪くなってしまったのです。
このままでは、さらに退職者が出てもおかしくない状況だと感じていました。ただ、直接、私が「全員で会社をよくしよう」などという精神論的な話をしても、空回りしてしまうだろうということも、わかっていました。
私は、まず、マネージャーの率直な思いを聞いてみようと思い、マネージャー7~8名と飲みに行く機会を作りました。彼らも、事務所の雰囲気がよくないことを、とても気にしてくれていました。そうした話をしているうちに、その場いるマネージャーのほぼ全員が
「厳しい状況だけど、ここは自分たちマネージャーが歯を食いしばるべきじゃないだろうか」
「雰囲気をよくするには、もっとスタッフとのコミュニケーションが必要だと思う」
ということを口にしてくれました。彼らは、自分自身の仕事も大変なのに、事務所のことを考えてくれる姿勢には、本当に頭が下がりました。
こうしたことがあり、徐々に事務所の雰囲気も改善し、今では、離職率の低い以前の状態に戻ってきました。自分で言うのは少し恥ずかしいですが、今、一緒に働いているメンバー(パートナーやスタッフ)は、スキルの面はではもちろんですが、人間性の面でも素晴らしい人間ばかりだと思っています。独立して十数年になりますが、あらためて、自分にとって一番の財産は、事務所を一緒に支えてくれているメンバーだと感じています。
5:会計事務所を経営するにあたって重視してきたことは何ですか?
クライアント視点からの組織体制 -クリフィックスの“クライアントファースト”
当法人のClifix(クリフィックス)という名称は“クライアントファースト”からつけたものです。その名の通り、当法人のサービスや組織はお客様のニーズ・目線を意識したものにしています。
例えば、当法人の組織で特徴的な部分として、
- 担当者は「税務」と「会計」の両方の知識を身につけるようにしている
- サービスラインで部門を分けず、ひとつのチームが複数のサービスを提供することができる
という点があります。
前者に関しては、上場企業の会計処理では、税務と会計の両方を考慮した判断が求められますが、会計事務所(or監査法人)とクライアントの間では、「税務面はこれでOKなので、後は監査法人に確認して下さい」、もしくは、その逆のやりとりが行われることがあります。これはお客様からすると非常に不便であり、使い勝手が悪いと言えます。当法人では従業員が税務と会計の両方を考慮したアドバイスを提供できるようにしています。公認会計士であれば会計に加えて税務の知識を、税理士であれば税務に加えて会計の知識を持った上でお客様に対応していくわけです。
もちろん、税務と会計の両方の知識をつけるのは大変ですが、それがお客様の求めているものでありますし、身につけるのが大変だからこそ、それが当法人の大きな付加価値となっていると思います。
また、他の会計事務所では、規模が大きくなると「M&A」「事業承継」「IPO」などサービスラインによって部署を分けているところもありますが、当法人の場合、原則としてサービスで部署は分けず、その企業を担当しているチームがワンストップでサービスを提供する体制をとっています。
たとえば、上場会社のお客様から税務・会計顧問とオーナーの事業承継をセットでご依頼頂くケースでは、同じ担当がつくことで、お客様にとってスムーズなサービス提供を行うことができると考えています。もちろん専門性だけ見ると専門チームを作ったほうが良いという考えもあると思います。その点については、その業務(たとえば事業承継)に詳しいスタッフにアドバイザーとして加わってもらうなどの方法により、対応しています。
従業員の視点に立ってみても、税務・会計、M&Aや事業承継、IPOなど、若いうちから様々な経験を積むことによって、自分が本当にやりたいことを知ることができます。また、例えば、デューデリジェンスやバリュエーションの経験を積んでいることで、税務顧問の経験にプラスに働くこともあるなど、お客様に対してもプラスの効果もあります。
このように当法人では、お客様を重視した高品質なサービスを追求しつつ、その一方で、従業員がスキルアップし、やり甲斐を持って働くことができる環境を実現することにより、従業員の意識が高まり、さらにサービスの質も向上する…というサイクルを大切にしています。
クライアント対応の基本 -お客様の期待を少しでも超えること
従業員にはよく話していますが、いくら一生懸命仕事をしたとしても、お客様から見ると“会計事務所はきちんと申告書を作って当たり前”ですし、“質問にしっかりと回答して当たり前”です。
言葉を換えれば、お客様は会計事務所の仕事ぶりに一定の期待を持っていて、その期待の範囲内の仕事しかしないのでは、数多くの会計事務所の中で埋もれてしまいます。そうならないためには、少しでもいいから、お客様の期待を超える仕事をし続ける必要があります。お客様から質問があった際には、それに回答するだけではなく、プラスαを心がける。
例えば、クライアントからの質問が、ある取引の税務上のリスクを確認するだけのものであったとしても、それに答えるだけではなく、その影響額を試算したり、さらに取引の形態を変えることによって、そのリスクを低減できないか、などなど、お客様に「ここまでやってくれるんだ」と思ってもらうことが、肝要だと考えています。
独立を目指す公認会計士のみなさまにひと言
これから独立を目指す公認会計士のみなさんにはふたつのことをお伝えしたいと思います。
ひとつは「人脈を大切にすること」、もうひとつは「経営者の視点を身に付けること」です。
1:人脈は有限。今まで出会った人たちを、より大切にして欲しい。
独立するうえで、当然、人脈は重要です。私も周囲の人達から、お客様や、仕事においてキーパーソンとなりそうな方々を紹介していただいたおかげで、今があると思っています。
「人脈作り」というと、交流会などで「新しい出会いや接点」を積極的に求める人もいますが、私はあまり賛成ではありません。高校や大学の友人、前職の同僚や上司、取引先の方々など、そういった既存の関係をしっかり保つことに力点を置くべきだと考えています。いくら新しい出会いを増やしたとしても、既存の関係が薄れていったり、場合によっては、迷惑をかけ信頼を損ねてしまったりしては、新しい出会いが増える以上に失うものがあるからです。
そういった意味で、私は人脈は有限だと思っていますし、だからこそ、既存の関係を大切にしていきたいと考えています。既存の人脈を大切にし、かつ、深い関係を維持していくためには、これまで関わりのあった人たちに対して誠実に対応し、そして、何かを与えてもらうだけではなくこちらから彼らのために何かをするということだと思います。また、数年間に渡って密な付き合いをしていた相手でも、直近で会っていないと記憶から落ちてしまいますので、そうならないように定期的に会う機会を設けて、コミュニケーションをとっていくことも意識すると良いと思います。
2:経営トップの視点を身に付けることが大切。
クライアント企業との付合いにおいては、やりとりする相手が経理マネージャー、経理部長、役員…と、現場から経営層へと上がっていくにつれて、税務会計の直接的な知識の重要性は下がり、その会社のビジネスや戦略、場合によって人事など、経営に関する知見が求められるようになります。
独立して、仕事を拡大しようと思っても、そういったトップの目線をわかってなければ現場のニーズも掘り起こせませんし、クライアントと話をするにしても優先順位を誤ってしまったりします。
私が実践しているのは、マスコミで報道される企業の戦略、たとえば、新規事業への進出、他社との事業提携、ディスカウント戦略などについて、その成否を自分なりに考えることです。2~3年後には、その事業戦略の成否と要因分析が新聞やビジネス雑誌に出てきます。その結論と当初の自分の予想をすり合わせ、自分の判断の過ち、甘さがあれば、自分の考えを修正していくという方法です。言ってみれば、経営判断の疑似訓練です。
社長や経営陣から事業に関する相談を受けた際に、常に感心してもらうということは難しくても、「あの人の意見も聞いてみたい」と思ってもらえるような会計士でいたいと考えています。
山田先生、ありがとうございました!