2022年3月の会計士業界ニュースをお届けします。
「三菱UFJ銀残高確認を電子化」「50年以上同一監査法人が1割」「PwC税務リスク向けデータ可視化・分析ツールリリース」の3本です。
三菱UFJ銀残高確認を電子化
2019年12月からサービスを開始している「Balance Gateway」。電子確認状の発送回答を行うプラットフォームサービスとして、監査の電子化と効率化に貢献しています。多くの企業が回答を入力するほど使いやすくなる仕組みになっており、金融機関の参加も切望されていました。
今回、三菱UFJ銀行の残高確認書電子化に関する記事が、日本経済新聞からリリースされています。
三菱UFJ銀行は企業の会計監査に欠かせない「残高確認書」を電子化する。
引用元:三菱UFJ銀、企業の監査資料を電子化 邦銀初(日本経済新聞 2022年3月8日付)
記事によると、電子化によって、発行までの期間を約3分の1に短縮できるようになると伝えられています。また、「会計監査確認センター合同会社」のプラットフォームサービス「Balance Gateway」に、邦銀として初めて参加することになりました。
銀行が参加することで利便性が向上し、Balance Gatewayを利用する企業も増えそうです。
詳細は以下の記事をご参照ください。
50年以上同一監査法人が1割
最近では、監査法人との馴れ合い防止を目的として、監査法人を交代する企業も出始めています。
今回、監査の長期化に関する記事が、日本経済新聞からリリースされています。
上場企業の決算関係の書類が正しく作成されているかを確認する会計監査で、同じ監査法人に50年以上業務を依頼している企業が全体の1割あることが分かった。
引用元:50年以上同じ監査法人、上場企業の1割 なれ合い懸念(日本経済新聞 2022年3月12日付)
記事によると、2021年3月期~21年8月期決算の約2,800社について日本経済新聞が集計した結果、その1割強の295社は50年以上同じ監査法人に依頼しており、監査期間の平均は22年だったと伝えられています。
監査報酬を理由として監査法人を変更する企業が増えていますが、今後は、監査期間の長期化を理由とした交代も増えていくのでしょうか。
詳細は以下の記事をご参照ください。
PwC税務リスク向けデータ可視化・分析ツールリリース
国税庁は、企業の自発的な適正申告を促すために、税務に関するコーポレートガバナンスの充実に向けた取り組みを進めています。その一環として調査部所轄法人のうち特別国税調査官所轄法人約500社に対して、リスク・ベース・アプローチに基づく税務調査の重点化も行われており、企業は税務処理の発生リスクを軽減することが求められています。
これを受けて今回、PwCジャパングループの新事業に関する記事が、日本経済新聞からリリースされています。
PwCジャパングループは、企業の税務リスクのうち発生頻度の高いものを可視化し分析する事業を始める。
引用元:PwC、企業の税務リスクを自動分析 調査の負担軽減(日本経済新聞 2022年3月15日付)
記事によると、PwCジャパングループが提供する新サービス「Tax Risk Data Analyser」は、会計システムや稟議書のデータなどを分析し、税負担の軽減を意図した不適切な売り上げの繰り延べや子会社の損失補塡が疑われる事例を発見しやすくするサービスだということです。
PwCから、新サービスについてリリースが出されています。
リリースによると「Tax Risk Data Analyser」は、税務当局出身者による調査官の視点や考え方、判断基準を踏まえた検証を実施することが可能になるそうで、3月15日からサービスが発表されています。
企業の負担を軽減し、税務リスクの防止策として、効果的なツールなのではないでしょうか。
詳細は以下の記事をご参照ください。
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)