このコーナーでは、“くわえもん”こと高桑昌也氏が、厳しく、優しく、ユーモラスに公認会計士のみなさんのお悩みに答えます!
さあ、みんな!くわえもんに相談してみよう!
“くわえもん”とは?
高桑昌也 通称“くわえもん”
公認会計士・税理士
麻布高等学校・慶應義塾大学卒。大学在学中(2000年)に公認会計士2次試験合格、中央青山監査法人、金融庁、エスネットワークス取締役等を経て、現職。さそり座O型。秋田県男鹿半島出身。
趣味:写真、旅行、夜の麻布・六本木
今回のお悩み:本当に会計士になりたいのかわからなくなってしまいました
今回の相談者
及川さん、会計士受験生
※写真はイメージです。
相談内容
くわえもんさん、こんにちは。
中堅私立大学に落ちて、ネットとかみて会計士を目指そうと予備校に80万円と県外に引越しのため家賃とかでいろいろお金がかかりました。
会計士の勉強を始めてまだ2ヶ月ですけど、なんか自分がしたかったことと違う感じがするし予備校なので全然友達も作れないし寂しすぎて吐きそうで死にそうです。
そこまでして会計士なりたいかって考えたらそこまでなりたくないし、大学いって趣味のサークルに入りたいし、親に相談したら大学入って何の職業につくのかと言われてもう公務員とかでもいいのかなと思い始めてます。
どーすればいいでしょうか?
くわえもんからの回答
【親へのお返しのしかた】
相談内容を聞いて、自分の子供のことを考えていました。自分の子が大人になり進路になやみ、相談内容のように悩んでいたら、親としてとても心苦しい。仕事を選ぶという本来楽しいことなのに、逆になにやら重荷になってしまっている。
及川さんは両親へのお返しなども考えているとのことですが、そこはあまり気にしないでください。けれども、親からすればある程度しっかりした職業になりたいと言えば、それで安心してくれます。
「会計士になりたい」「公務員になりたい」「弁護士になりたい」「この業界で活躍したい」
「なぜなら理由はこれこれ、こうだから」
私は監査法人→金融庁→銀行→現職というキャリアなのですが、昔を振り返ってみると、会計士に合格したときは、親は喜んでくれた。特に父はとある企業のCFOをしていたので、身近な会計士という職業に親しみと誇りをもっていたらしく、大変よろこんでいてくれた気がする。
出向で公務員になったときは両親ともにふーん、という感じだった。会計士も公務員も無差別なのだろう。
監査法人を退職して銀行に入ったときは、父から”銀行はそれほど面白くないところだ”的な感想をうけたが、そのとおりだった。僕は6ヶ月で辞めてしまった。融資を通じて企業再生を、とかいう触れ込みだったのだが、入ってみると随分なトロイカ(※)硬直組織で、あまり会計士としての能力を発揮できるとは思えなかったからだ。
※つまり3つの銀行が統合してできた職場だった。ロシアの3頭立ての乗用馬車のことを言う。
余計なことも書いたけど、親御さんには上記のような表明をすればそれでいいとして、あとは自分で腹落ちできるような職業をいかに選び、その準備をするか。ここまですれば及川さんの気持ちも多少晴れるし、落ち着くのだと思う。
【職業をどう決めるか】
会計士については、専門学校で現在勉強しているとのこと。今は簿記・財務諸表論に加え、監査論などの勉強も始まるころだと思うけれども、機械的なところ、暗記も多く、何かつまらなさを覚えてしまったのかもしれない。受験勉強なので、つまらないところも出てくるのは、ある程度割り切る必要があるのかもしれない。
さて人は仕事を通じて人や顧客にありがたがられると、自分の職業の存在価値を再認識し、次の仕事に向かう元気がでてくる。一言で表現するといわゆる「やりがい」というものが生まれる。
このやりがいについて考えると、会計士の仕事も監査法人の監査だけでなく、コンサルティングを通じて企業の課題、経営者の悩みを解決したりと、人の役に立つ形はいろいろとある。自分が本当に会計士になりたかったのかどうか、やりがいがあるのかどうかは、一度監査法人の人に話を聞いたり、コンサルタントとして活躍している人、独立開業している人に話を聞いてみたりすると具体的だし、本当のところが分かる気がする。
コンサルの人は、それなりに明るく答えてくれるだろう。独立している会計士は、「この職業を選んで満足」と答えるのではないか。何より自由裁量が利くし、働きたいときに働き、休みたいときに休めるからだ。監査法人の人は、もしかすると多少暗い感じかも知れない。(昔は無かった規制が増え、裁量の幅が狭くなっているみたいだ)
ポジティブな人もいればネガティブな感じの人もいるので、ある程度の客観性を担保するには両方から意見を聞いてみるべきだ。
ただ公務員という選択肢もどうやらありそう。私は出向という形であるが一時期公務員として働いていた。公務員という社会は年功序列の根がしっかりと張っており、監査法人よりもさらに縦社会だった。仕事の自由度を求めるなら公務員はそれほどお勧めできない。
【まとめ】
まずはすでに仕事をされている2、3人の会計士と会ってみて、話を聞いてみる。もし先輩などがいなく、ツテがないということならこのコーナーの連絡先にメールをしてくれれば、私が適切に対応します。
仕事での実際の苦労話や、逆に顧客からありがたがられたことなどを聞いてみよう。聞いたことを踏まえ、自分なりに会計士を目指そうとした最初の動機が何だったのか確認し、それと照らし合わせる作業を一度してみましょう。
もしちょっと違うな、ということなら、一息いれ、別の職業も選択肢に入れてみましょう。いままでかけたお金のこともあるとのことですが、あまり気にせず、まずは楽に考えてみてください。
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