本日、令和5年11月17日(金)、令和5年(2023年)公認会計士試験(論文式試験)の合格者が発表されました。
合格者の皆様、おめでとうございます!
また、今年惜しくも合格とならなかった皆様に関しましては、次回はきっと良い結果となりますよう祈っております。
さて、本記事では、毎年恒例、合格発表の内容を速報していきます。
まず、今年度の合格者に関する概要は下記の通りです。
令和5年公認会計士試験 合格者の概要
【願書提出者数】 20,317名(昨年の18,789名から1,528名の増加)
【合格者数】1,544名(昨年の1,456名から88名の増加)
【合格率】 7.6%(昨年の7.7%から0.1%減少)
【合格者最高年齢】61歳
【合格者最低年齢】18歳
【合格者の平均年齢】24.5歳
【合格者性別】男性1,199名、女性345名(合格者の女性比率22.3%)
●30歳未満(20代・10代)の合格者比率:87.8%
●大学(および短大)在学中の合格者比率:42.2%
合格者数と合格率
合格者数は1,544名と増加、合格率は7.6%と昨年に続き低下
本年の公認会計士試験(論文式)における合格者数は1,544名となりました。また、合格率は7.6%でした。
この結果は、昨年と比較すると、合格者数は88名の増加となり、合格率は0.1%の低下となっています。
合格者数に関しては、平成27年(2015年)に1,051名で底を打って以来、徐々に増加し、近年は1,300名台で推移していましたが、昨年は1,456名、今年は1,500名を超える1,544名となりました。
また、合格率は以前は10~11%で安定的に推移していたものの、昨年は7.7%、今年は7.6%とダウンし、合格者数は増えているものの、合格率が下がり、ここ数年に比べ難易度が上がる結果となっています。
【図1:直近21年間の合格者数と合格率】
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願書提出者数
会計士人気も回復!願書提出者数も前年比でさらに増加!
本年の願書提出者の総数は20,317名でした。
願書提出者の総数は8年連続の増加となりますが、本年は昨年の18,789名と比較して1,528名の増加となっています。
ここ数年は、かつて減少トレンドにあった願書提出者数が継続的に増加しており、一時期低迷していた会計士人気もほぼ回復したと言っても良いのではないでしょうか。
一方で、志望者が大きく増えたものの、合格者数の増加は限定的であるため、合格率が近年より低くなり、試験の難易度が上がっている側面も見受けられます。
【図2:直近21年間の公認会計士試験 願書提出者数の推移】
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合格率と平均年齢
合格者の平均年齢は24.5歳!昨年に続き24歳台と低年齢化が継続
本年の合格者は、25歳未満が64.8%を占め、平均年齢が24.5歳、大学在学中の合格者の比率が42.2%となっています。
合格者の平均年齢は、本年は昨年、一昨年に続き25歳を切っており、また、合格者の半分近い42.2%が大学(および短大)在学中での合格でもあり、近年の公認会計士試験では、若い年齢での合格者が珍しくない状況となっています。
本年と昨年の比較
- 合格者の平均年齢:24.5歳 → 昨年度は24.4歳
- 合格者最高年齢:61歳 → 昨年度は58歳
- 合格者最低年齢:18歳 →昨年度は17歳
- 30歳未満の合格者比率:87.8% →昨年度は88.4%
- 大学(および短大)在学中の合格者比率:42.2% →昨年度は44.1%
近年は、若手の合格者が増加したことによって若い会計士の活躍や露出も増え、その影響もあり、会計士を目指す若者も増えている好循環となっていると思われます。
また、公認会計士試験は合格できなかった場合のリスクがありますが、大学在学中など早いタイミングからチャレンジすることで、合格できなかった場合に早期に軌道修正を行うことができるため、受験者側のリスク低減にもつながり、結果として若者がチャレンジしてみたい魅力的な資格となってきている側面もあるかもしれません。
こういった点からも合格者の平均年齢が下がることによって、若者が魅力を感じる資格、若者がチャレンジしやすい資格とのイメージがより強くなり、会計士試験のさらなる人気上昇にもつながっていくと思われます。さらには、受験者数が増える一方で合格率は一定水準を保っていますので、それによって合格者レベルの向上や、難関資格というイメージの高まりによって会計士資格自体の価値の高まりにもつながっていくかもしれません。
公認会計士業界関係者としては、こういった好循環が今後も維持されることを願います。
試験合格者に占める女性人数・比率
女性合格者数は今年は345名、女性比率は22.3%
試験合格者に占める女性人数と女性比率の推移は以下の通りです。
今年は、女性345名が合格、女性比率22.3%となりました。
今年は昨年の22.5%から0.2%減少し、22.3%となりましたが、長期トレンドで見ると、合格者に占める女性比率は10%台後半で推移していたのが、近年は20%台が定着してきています。
また、女性合格者の総数に関しては、345名と今年も300名を上回る結果となりました。合格者の総数が3,000名を超え、女性も600~700名が合格していた時期と比較するとまだまだ見劣りはしますが、近年は、300名前後は安定的に輩出される状況が続いています。
近年は、働き方改革が推進されたことによって、監査法人においても女性が勤務しやすい環境が以前よりも整ってきています。また、リモートワークの普及、出産・子育て環境の整備、上場会社の女性役員比率を高める動きなどから、女性会計士が活躍しやすい環境もより一層整備されてきています。
ただ、業界全体の状況を考えると、まだまだ女性会計士比率は低いと考えられますので、今後、より女性が活躍しやすい環境が整備され、活躍する女性会計士やその露出がさらに増えることによって、女性の受験者や合格者がさらに増えていくことが望まれます。
【図3:直近18年間の合格者に占める女性人数と女性比率の推移】
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監査法人の採用・合格者の就職活動
監査法人の就活市場、今年も大きな変動はなし!?合格者優位か!?
会計士試験に合格された方々は次は就職が気になるところかと思います。
ここ2~3年の監査法人の就活シーズンには、SNSなどで「大手監査法人の採用は以前より少し厳しくなる?」「関西は厳しくなった?」などの情報も一部見られました。一方で、中小~大手まで監査法人側の人手不足が緩和されている印象はあまりなく、今年もおそらく例年通りか、例年に近い形での売り手市場(合格者が優位)となることが予想されます。
そのため、合格者の皆様にとっても就職先を比較しやすい環境になる可能性も高いと思いますので、様々な監査法人や会計ファームなどの情報を収集して納得の行く就職活動を行っていただき、充実した会計士キャリアをスタートして頂ければと思います。
※本文中のデータは金融庁の「令和5年公認会計士試験 合格者調」「令和5年公認会計士試験の合格発表の概要について」を参考に作成。
※願書提出者数、合格者数、合格率等、本文中の数字は短答式試験みなし合格者、旧第2次試験合格者を含んだ数字で算出しています。