2022年2月の会計士業界ニュースをお届けします。
「廃業後も処分で税理士の懲戒逃れ防止」「PwCあらた代表が非財務情報の開示リスクに言及」「監査のプロなら粉飾を見破れ」の3本です。
廃業後も処分で税理士の懲戒逃れ防止
廃業して処分を逃れようとする税理士が相次ぎ、税理士法の改正が待たれていました。
今回、税理士法改正に関する記事を、日本経済新聞がリリースしています。
政府は脱税など不正に関わった税理士が廃業したあとも国税庁が調査して懲戒処分できる制度を新たに設ける。
引用元:不正行為の税理士、懲戒逃れを防止 税理士法を改正へ(日本経済新聞 2022年1月31日付)
記事では、2023年4月以降から、廃業した税理士も調査の対象となり、現役税理士と事実上同じ処分ができるようになると伝えられています。処分内容として、業務の停止や禁止のほか、氏名や不正の概要も公表されるということです。
令和4年度税制改正の大綱で、税理士制度の見直しについて触れられています。
制度の不備を悪用した事件が跡を絶たず、もっと早く制度改正ができなかったのかという気がしてなりません。
詳細は以下の記事をご参照ください。
PwCあらた代表が非財務情報の開示リスクに言及
2022年4月より東京証券取引所は市場再編を行います。これにともない、最上位となるプライム市場の企業は、2022年6月の株主総会後に提出するコーポレート・ガバナンス報告書から、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言にそった開示が求められることになりました。
今回、PwCあらた有限責任監査法人代表執行役の井野貴章氏へのインタビュー記事が、日本経済新聞よりリリースされています。
4月に東京証券取引所の市場区分が再編され「非財務情報」の開示も本格化する。業績データにとどまらない非財務情報の中心はESG(環境・社会・企業統治)関連の指標だ。特に最上位の「プライム市場」に上場する企業は、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に基づく対応が求められる。
引用元:非財務情報、開示リスクに備えよ(日本経済新聞 2022年2月8日付)
記事の中で、井野代表は、今までは非財務情報は企業が自由に開示していましたが、今後は、不正や誤謬で投資家が損害を被れば訴訟を提起される恐れがあると警鐘を鳴らします。
非財務情報の重要性が高まるにつれて、監査人が果たす役割と責任はますます重くなっていきそうです。
詳細は以下の記事をご参照ください。
監査のプロなら粉飾を見破れ
週刊エコノミスト2022年2/22号では、【特集:これから勝てる 税理士 会計士】と題して、中小企業オーナーへのインタビュー、会計ソフト勢力図、監査法人が見逃した不適切会計など、公認会計士と税理士が気になるトピック21本が特集されています。
今回その中のひとつ、元公認会計士細野祐二氏へのインタビュー記事をご紹介します。
私に言わせば、今の監査法人は監査なんてしていない。決算書類、有価証券報告書を監査先から出される資料をもとに作成するだけ。
引用元:監査のプロなら粉飾を見破れ=細野祐二(エコノミストOnline 2022年2月14日付)
記事の中で、細野氏は、架空売上や循環取引の見破り方や、日本が欧米主要国と比較して不正が疑われる件数が少ない理由を指摘しています。
有価証券虚偽記載罪で逮捕、起訴され、無罪を主張しながらも懲役2年執行猶予4年となった細野氏。公認会計士登録を抹消された現在も、監査業界への低減を行っています。
詳細は以下の記事、週刊エコノミスト2022年2/22号をご参照ください。
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)