2020年8月の、監査法人、AI、決算関連のニュースをまとめました。
2020年7月20日、31日、8月4日にリリースされた「EY全従業員28万人に無料MBA講座」「EYによるリモート決算・監査の課題解決例」「KAM早期適用での開示内容は?」の3件のニュースをご紹介します。
EY全従業員28万人に無料MBA講座
- 会計事務所大手EY、従業員に無料MBA講座 オンライン、世界28万人に(日本経済新聞 2020年7月20日付)
大手監査法人ではIT監査への取り組みが進んでおり、使いこなす側の会計士のITスキル習得の研修なども、活発に行われているところです。
そのような中、今回、EYが提供する無料のMBA研修制度に関する記事が、日本経済新聞よりリリースされています。
大手会計事務所のアーンスト・アンド・ヤング(EY)は、全従業員28万人を対象にオンラインで経営学修士(MBA)を取得できる無料の研修制度を始めた。経営学に加えてブロックチェーンなど最新技術を学び、監査やコンサルティングの能力を高めてもらう。
引用元:会計事務所大手EY、従業員に無料MBA講座 オンライン、世界28万人に(日本経済新聞 2020年7月20日付)
記事によると、米ハルト・インターナショナル・ビジネススクールとEYが共同で設けた講座で、ブロックチェーンやAIなどを中心に学ぶことができると伝えられています。
休職をせずに無料でMBAを取得できるEYの研修制度は、キャリアアップを目指す会計士の方にとって、かなり魅力的に感じられるのではないでしょうか。すでにEYに在籍する従業員のスキルアップに役立つのみならず、採用活動でEYを選ぶ人が増えるきっかけにもなりそうです。ご興味のある方は以下をご参照ください。
- 会計事務所大手EY、従業員に無料MBA講座 オンライン、世界28万人に(日本経済新聞 2020年7月20日付)
EYによるリモート決算・監査の課題解決例
- リモート決算・監査から始める経理部門のDX、危機への対応、学び、そして乗り越えるために(EnterpriseZine 2020年7月31日付)
新型コロナウィルスの感染が拡大した3月頃より、デジタル化の環境整備も完全に整わない状態で、多くの企業でテレワークがスタートしました。
今回、6月12日にSAPが開催した、経理部門を対象とするオンラインセミナー(EY 新日本有限責任監査法人とブラックラインによる共同開催)に関する記事が、EnterpriseZineよりリリースされています。
最初に登場したEY 新日本有限責任監査法人の工藤陽子氏は、「監査の現場から見た2020年3月期決算遅延では、情報収集や立ち会いができないこと、不正リスクに関連する重要な証跡の現物確認が問題になった」と指摘した。
引用元:リモート決算・監査から始める経理部門のDX、危機への対応、学び、そして乗り越えるために(EnterpriseZine 2020年7月31日付)
記事によると、このセミナーでは、EY新日本監査法人の工藤陽子パートナーが、リモート決算・監査の課題に対して、「組織・人」「プロセス」「ルール」「システム」の4つの視点で対応する「四位一体」の変革を提案し、「四位一体」のファイナンストランスフォーメーションを実践しているSAPと、クラウドベースソリューションを提供するブラックラインより、リモート決算・監査での有用性について説明があったと伝えられています。
往査先企業ではリモート決算のためのデジタル化が始まっていると思いますが、クライアントとのコミュニケーションの基礎知識として、最新のソリューションを知っておくと役立つかもしれません。ご興味のある方は以下をご参照ください。
- リモート決算・監査から始める経理部門のDX、危機への対応、学び、そして乗り越えるために(EnterpriseZine 2020年7月31日付)
KAM早期適用での開示内容は?
- 企業、損失リスク積極開示 のれんや引当金(日本経済新聞 2020年8月4日付)
2021年3月期から「監査上の主要な検討事項(KAM)」の強制適用が開始します。
今回、KAMを早期適用した企業の開示内容に関する記事が、日本経済新聞よりリリースされています。
企業が将来の損失につながる情報を積極的に開示する動きが広がる。トヨタ自動車や住友商事などは、見積もりが入るのれんや引当金について、経営者の判断内容などを監査報告書に記載した。新型コロナウイルスで業績に不透明感が出るなか、来年から全上場企業で開示が義務化される。
引用元:企業、損失リスク積極開示 のれんや引当金(日本経済新聞 2020年8月4日付)
記事によると、住友商事はニッケル事業関連の固定資産の価値について高度な不確実性を伴うと記載、また、AOKIホールディングスでは在宅勤務拡大で需要の落ち込みに伴いファッション事業の固定資産価値の見積もりの前提を開示したと伝えられています。
早期適用の事例を見ると、投資判断に有用な情報が積極的に開示されているという印象を受けます。2021年3月期からの強制適用では約4,000社の上場企業がKAMを開示します。コロナ禍で経営者の判断が難しくなる状況の中、今回の早期適用を参考に、さらに多くの情報開示がされることを期待します。ご興味のある方は以下をご参照ください。
- 企業、損失リスク積極開示 のれんや引当金(日本経済新聞 2020年8月4日付)
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)