日本公認会計士協会が、令和2年度修了考査受験生に向けて、メッセージ動画を公開しました。
後進育成担当常務理事の後藤紳太郎氏から、修了考査受験生に向けてのメッセージとなっていますが、受験生にエールを送るといった、ありきたりな内容ではありません。
この動画が作成されたきっかけは、2020年4月の令和元年度公認会計士試験修了考査の合格発表にあります。
- 合格者数は854名(前年比16名増)で過去3番目に少ない
- 対受験者数合格率(以下、合格率)は48.8%、修了考査制度を運用して以来の過去最低
合格率低迷に危機感を持った日本公認会計士協会が、公認会計士試験修了考査の合格状況を改善するために作成したのが、今回の動画です。
2年前から合格率が低迷し始める
過去に修了考査を受験した方には、しっかり勉強の時間がとれていればおおむね合格する試験というイメージをお持ちの方もおられるのではないでしょうか。
ところが、平成30年度の合格率は56.1%、令和元年は48.8%と、試験制度を運用して初めて50%を割り込む異常事態となってしまったのです。
※令和元年の修了考査結果の詳細な分析を知りたい方は、下記の記事をご参照ください。
修了考査の合格者数は、公認会計士の需給に左右される(合格者数が調整されている)と考える方もおられるかもしれませんが、動画によると、修了考査は絶対的評価なので、会計士の需給の状況で合格率が変動することも、受験の年度で運不運があることも基本的にないということです。
科目別の勉強スタンスを解説。実務で培った論理的思考を問う
試験勉強に真面目に取り組んだけど合格できなかった受験生は、次の試験に向けて、どのような対策を取るべきなのでしょうか。
令和2年の修了考査を再受験するという方も多いと思いますが、動画の中では、修了考査の趣旨や出題範囲に関しても解説しており、修了考査合格で求められる水準やポイントについて、以下の各試験分野ごとに解説しています。
- 会計に関する理論及び実務
- 監査に関する理論及び実務
- 税に関する理論及び実務
- 経営に関する理論及び実務(コンピュータに関する理論を含む。)
- 公認会計士の業務に関する法規及び職業倫理
修了考査に向けての5つのメッセージ
動画の中では、過去問についての具体的なアドバイスに加えて、受験生の皆さんに向けた下記の5つのメッセージも届けられています。
- 修了考査合格だけを目標としないで、本質的な勉強をしてください。
- 山を張らないで勉強をしてください。
- 記憶することより、理解することに重点を置いて勉強してください。
- 受験勉強だけではなく、実務の中でも勉強してください。
- インプットだけでなくアウトプットする勉強をしてください。(計算、演習問題を解いてみる。口に出してみる。)
公認会計士になったとき、1人でクライアントに対応できて、なおかつ、自分で考えて答えを出せる力を身に付けて欲しいという期待が、5つのメッセージから伝わってきます。
公認会計士となり理想のキャリアを実現するために、この動画から合格のヒントをつかみ取り、令和2年12月12日、13日に行われる修了考査に合格されることをご祈念致します。
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)