2020年1月の監査法人関連ニュースをまとめました。
2020年1月18日、19日、15日にリリースされた「監査契約長期化の実態が判明」「東芝、再び不適切会計発覚で1部復帰に暗雲」「KPMGジャパンが日本ブラインドサッカー協会とスポンサー契約」の3件のニュースをご紹介します。
監査契約長期化の実態が判明
- 監査法人、10年超継続が7割 交代で質の低下を懸念 味の素68年、三井不58年(日本経済新聞 2020年1月18日付)
数日前に、監査法人ローテーション制度見送りのニュースが配信されました。監査法人を交代した場合の監査品質の低下を懸念する意見が多く、このニュースを見て安堵した方も多かったと思います。
- 12月~1月の監査法人関連ニュース(業務増加で会計士の監査法人離れ進む、IPO監査難民増に金融庁が歯止め策、監査法人ローテーション制度実施は時期尚早):今月の会計士業界ニュース(2020年1月その1)
一方で、自主的に監査法人を変更するケースも増えつつあります。上場企業の監査契約期間はどのぐらいなのでしょうか。
今回、7割の企業が10年以上監査法人を変えていないという記事が、日本経済新聞よりリリースされています。
上場企業のうち、監査法人を10年以上変えていない企業が、継続年数を開示した企業の中で7割にのぼることがわかった。味の素は68年、三井不動産は58年と超長期にわたるケースも多い。
引用元:監査法人、10年超継続が7割 交代で質の低下を懸念 味の素68年、三井不58年(日本経済新聞 2020年1月18日付)
記事で紹介されている税務研究会の調べによると、19年3月期の有価証券報告書で監査人が継続して監査している期間を開示した83社のうち、57社が10年以上監査人を変えておらず、40年以上の企業も10社あったということです。
この調査から、監査法人の交代にリスクを感じている企業が多い現状が読み取れます。監査法人ローテーション制度は今後も継続して議論が続けられますが、企業と監査法人双方の負担が軽くなるような交代方法を考えない限り、実現は難しそうです。記事では詳細が述べられていますので、ご参照ください。
- 監査法人、10年超継続が7割 交代で質の低下を懸念 味の素68年、三井不58年(日本経済新聞 2020年1月18日付)
東芝、再び不適切会計発覚で1部復帰に暗雲
- 東芝、東証1部復帰に影 子会社で不適切会計発覚(日本経済新聞 2020年1月19日付)
東証の1部市場への移行基準見直しで、早ければ2020年中にも東芝が1部市場へと復帰すると目されていた最中に、再び不適切会計が発覚してしまいました。
今回、東芝子会社である東芝ITサービスの売上過大計上に関する記事が、日本経済新聞よりリリースされています。
東芝で再び不適切会計が発覚し、企業統治に疑念が生じている。18日、連結子会社が2019年4~9月期に売上高で約200億円を過大計上していたと発表した。
引用元:東芝、東証1部復帰に影 子会社で不適切会計発覚(日本経済新聞 2020年1月19日付)
記事によると、東証が20年2月から1部への移行基準を緩和するため、2年分の適正意見を得ている東芝は年数についての移行基準をクリアできることになりました。ところが子会社の会計不祥事の発覚で、企業統治の改善実績が十分でないことが浮き彫りになってしまい、今後の審査に悪影響を及ぼす可能性が出てきたということです。
1部復帰を目前に控えての今回の会計不祥事発覚に、投資家の冷ややかな反応が予想されます。記事では詳細が述べられていますので、ご参照ください。
- 東芝、東証1部復帰に影 子会社で不適切会計発覚(日本経済新聞 2020年1月19日付)
KPMGジャパンが日本ブラインドサッカー協会とスポンサー契約
- KPMG、ブラインドサッカー男子日本代表をスポンサー支援(KPMG Webサイト 2020年1月15日付)
あずさ監査法人といえば「スポーツアドバイザリー室」という専門部署を設置し、スポーツ科学修士を持つ公認会計士が経営コンサルティングを行うなど、スポーツチームと繋がりが深いイメージがあります。
今回、KPMGジャパンとNPO法人日本ブラインドサッカー協会のスポンサー契約に関するニュースが、KPMG Webサイトよりリリースされています。
KPMGジャパンは2020年1月1日に、ブラインドサッカー男子日本代表のスポンサー契約をNPO法人日本ブラインドサッカー協会(以下、JBFA)と締結しましたので、お知らせします。
引用元:KPMG、ブラインドサッカー男子日本代表をスポンサー支援(KPMG Webサイト 2020年1月15日付)
記事によると、KPMGメンバーファームのあずさ監査法人が2014年9月から経理ボランティアとして社員を派遣したり、2016年からJBFAとパートナーシップ契約を締結するなど、ブラインドサッカー普及発展のために支援を続けてきたそうです。
アイマスクを着用した選手、転がると音が出るボール、ガイドによる声での伝達を邪魔しないように静かにプレーを見守る観客たち。普段のサッカー観戦との違いに最初は戸惑うかもしれませんが、ハンデがありながらも自由にピッチを走りドリブルする姿に、新たなサッカーの魅力が見つけられそうです。記事では詳細が述べられていますので、ご参照ください。
- KPMG、ブラインドサッカー男子日本代表をスポンサー支援(KPMG Webサイト 2020年1月15日付)
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)