2019年5月の会計士業界の時事ニュースをお届けします。
4月20日、5月3日、8日にリリースされた「若手女性会計士がJリーグ改革」「EY Japanにサウナ&スパ部」「問題なくても監査報告書に明記」の3件のニュースをご紹介します。
若手女性会計士がJリーグ改革
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「Jリーグを使い倒せ!」若き女性理事が熱狂を生み出す(Forbes 2019年5月3日付)
若手会計士が会計以外の分野で活躍しているニュースを最近多く目にしますが、女性会計士のニュースは珍しいかもしれません。
今回、Jリーグの理事に就任した女性公認会計士、米田惠美氏に関する記事が、Forbesよりリリースされています。
この日の立役者こそが、35歳の若き理事、米田惠美だ。現在、彼女はJリーグで、経営改革とともに社会連携の推進を担っている。自身の思い入れを示すように、熱を帯びた言葉でこう振り返る。
「“Jリーグが”という主語でやってきた地域活動を、“地域の人たちが”Jリーグと、という形に変えたかったんです。自分の興味や関心のためにJリーグをつかおうと呼びかけることで、皆が当事者に変わる。このイベントはその第一歩でした」
引用元:「Jリーグを使い倒せ!」若き女性理事が熱狂を生み出す(Forbes 2019年5月3日付)
記事によると、米田氏は、監査法人退所後に人材、組織開発コンサルティング会社『知惠屋』の共同経営者に就任。その縁でJリーグ村井満チェアマンと知り合い、Jリーグの風土改革を打診され、社外フェローを経て理事に就任されています。経営ビジョンの策定、事業・経営基盤を強化するための仕組みづくりを終えた現在は、社会連携のプロジェクトを軌道に乗せて仕組みの運用を本格化させるミッションに取り組んでいるそうです。
会計士は資格があるがゆえに、監査法人で働くべき、会計知識を生かすべきなど固定観念にはまりがちで、米田氏のようにビジネスの中心で活躍する働き方はマイノリティです。米田氏の成功例は、キャリアに悩みを抱える会計士の背中を押してくれる良いきっかけになるのではないでしょうか。
EY Japanにサウナ&スパ部
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服も肩書も脱いで仕事? 若手も参加、企業にサウナ部(日本経済新聞 2019年4月20日付)
少し前のサウナはオジサンの社交場というイメージでしたが、それは昔の話。最近は若者、そして女性にも人気が出ているようです。
今回、企業内「サウナ部」に関する記事が、日経新聞よりリリースされ、EY新日本監査法人やEY税理士法人を統括するEY Japanの企業内部活、サウナ&スパ部が取り上げられています。
「サウナに入れば役員も新入社員も関係ない。最初から裸だから、相手との壁が取り払われるのが早い」。EY新日本監査法人やEY税理士法人を統括するEY Japanの企業内部活、サウナ&スパ部の高須邦臣部長は話す。2016年にサウナ好きが集って部を立ち上げ、現在は52人が在籍している。
引用元:服も肩書も脱いで仕事? 若手も参加、企業にサウナ部(日本経済新聞 2019年4月20日付)
記事によると、EY Japanのサウナ&スパ部では、「肩書も脱ぐ」をモットーに、月1回のサウナと宴会では、職場では出ないプライベートな相談やキャリアの悩みを打ち明けることもあるそうです。
仕事場はクライアント先、高度な知識と判断を要求されて時間に追われながら仕事をする。常に緊張を強いられる職業だからこそ、会計士仲間でリラックスして集まれる『サウナ』は人気なのかもしれませんね。
問題なくても監査報告書に明記
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企業の戦略やリスク「問題なし」も明記 監査法人に義務(日本経済新聞 2019年4月20日付)
監査報告書で一層の情報開示を進める検討が行われており、監査人にも影響がありそうです。
今回、金融庁が監査報告書の記述拡充を検討している件に関する記事が、日経新聞よりリリースされています。
金融庁は上場企業の会計監査を見直す。経営のリスクや企業戦略など定性的な情報が正しい場合でも監査報告書に監査の結果を明記する案を軸に検討する。国際基準に沿った内容で日本では問題があった場合だけその旨を記す。監査内容の透明性を高める狙いがある。
引用元:企業の戦略やリスク「問題なし」も明記 監査法人に義務(日本経済新聞 2019年4月20日付)
記事によると、現在の制度では監査法人が有価証券報告書を通読して、企業戦略や経営リスクと言った非財務情報に問題があった場合に監査報告書に追記することになっていますが、見つからなかった場合でもその旨を監査報告書に明記するよう検討が進められているとのことです。2、3年後をめどに制度改正が行われる見通しです。
監査報告書へ意見を明記することになれば、非財務情報に対して一層気を配った手続きが求められることになりそうです。
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)