2018年9月5日、15日に、AI監査拡大、監査法人の働き方改革などに関するニュースがリリースされています。
大手監査法人で導入が広まるAI監査、あずさ監査法人が1年間の受注停止で行った働き方改革の成果などの記事を幅広くご紹介します。
大手監査法人でAI監査の導入広まる
- AI監査、会計士支える 不正発見の精度高く(日本経済新聞 2018年9月5日付)
データ分析や残高確認など、監査法人の人手不足解消と品質向上に役立つと期待が高まるAIシステムですが、大手監査法人で導入が広まっているようです。
今回、AIシステムによる分析件数を増やしたり新しくシステムを導入したりと、大手監査法人のAI監査拡大に関する記事が、日本経済新聞よりリリースされています。
大手監査法人で人工知能(AI)を活用した会計監査が広がっている。監査法人トーマツは財務情報などを自動分析するAIシステムの分析件数を2割増やす。EY新日本監査法人も会計の異常値を検出するシステムを導入した。大企業の会計不祥事が相次ぎ、監査の信頼性向上が課題となるなか、AIの導入で不正を発見しやすくする。業務効率化で会計士不足に対応する狙いもある。
引用元:AI監査、会計士支える 不正発見の精度高く(日本経済新聞 2018年9月5日付)
記事によると、監査法人トーマツは自社システム『オーディット・アナリティクス』による分析件数を対前年比で2割増加するとしており、EY新日本監査法人、PwCあらた監査法人、あずさ監査法人もAIシステムの導入や試験運用を始めているとのことです。
AI監査導入で不適切会計の発見率を高めることができるのか、今後の不適切会計の開示件数の推移を見守る必要がありそうです。
あずさ監査法人、1年間の受注を停止して行った働き方改革の成果
- あずさ監査法人受注停止1年 監査、時間より中身 理事長の酒井弘行氏(日本経済新聞 2018年9月15日付)
監査法人の人手不足と長時間労働が問題となるなか、BIG4の1つあずさ監査法人が、1年間停止していた新規契約の受注を再開しています。
去る7月1日には以下のプレスリリースを出しています。
- あずさ監査法人の働き方改革への取組み – 新規監査業務の受嘱再開について –(あずさ監査法人Webサイト 2018年7月1日)
また、今回、あずさ監査法人が1年間の受注停止で行った働き方改革に関する記事が、日本経済新聞よりリリースされています。
四大監査法人の一角、あずさ監査法人が「働き方改革」を目的に新規の監査業務の受注停止に踏み切って1年。このほど受注を再開した。現場の過重労働を解消しながら、世間の要求に応える監査の「質」向上の両立は果たして可能なのか。1年間の実験的試みの成果を酒井弘行理事長に聞いた。
引用元:あずさ監査法人受注停止1年 監査、時間より中身 理事長の酒井弘行氏(日本経済新聞 2018年9月15日付)
記事によると、夜9時以降パソコンから社内のネットワークに接続できなくすることで労働環境の改善が見られたそうです。また、時間が短くなってもリスクを軽減できる『考える監査』をすることで、監査の品質を確保できる体制作りができたということです。
給与水準はそのままで労働時間が短くなり、作業よりも考えることが業務の大半を占めることになれば、監査法人は今より魅力的な職場になるのではないでしょうか。より多くの人が会計士業界を目指してくれるといいですね。
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)