会計士が開発!スタートアップの資本政策や株主管理を助けるツールFUND BOARD(ファンドボード)がβ版リリース

  • 2017/7/26

KEPPKE_神先氏

ベンチャー企業・スタートアップ(以下「スタートアップ」)の公認会計士・税理士(以下「会計士等」)の需要が高まっています。昨今ベンチャー業界が盛り上がっていることに伴い、彼らを支える支援家も必要とされているからです。

今回お話を伺ったKepple会計事務所・株式会社ケップル(以下「ケップル」)代表の神先さんは、スタートアップからの資本政策の相談に乗れる数少ない会計士。ベンチャーキャピタル(VC)と協力しながら資本政策の支援をしていますが、その中でスタートアップに共通の課題を感じているそうです。 

スタートアップ業界に明るい会計士は決して多くなく、資本政策のノウハウも共有されていないのが現状です。そのため、せっかくスタートアップが相談したくても、相談できる会計士等が少ないのです。(神先さん)

業界の課題を感じたケップルが今回リリースしたのがFUND BOARD。オンラインで資本政策を作成・管理できるツールです。どのようなサービスなのか、お話を伺いました。

KEPPKE_神先氏プロフィール画像

神先 孝裕(かんざき たかひろ)

Kepple会計事務所 代表・株式会社ケップル 代表取締役

公認会計士・税理士

2009年、公認会計士試験合格後、あずさ監査法人に入所。国際事業部にて主に監査、IFRS導入支援に従事。 修了考査合格後、監査法人を退職し、2013年に26歳で神先公認会計士事務所(現Kepple会計事務所)を設立し独立開業。日本を代表する若手ベンチャーキャピタリストであるSkyland Venturesの木下氏との出会いなどをきっかけに、スタートアップ企業を中心としたバックオフィス支援にて事務所を拡大。設立3年半で従業員10名、クライアント数130社まで事務所を成長させ、複数のスタートアップの社外取締役も務めるなどスタートアップ業界を中心に活躍中。

【参考記事】スタートアップ支援に強い会計士として独立!そのキャリアにはどう辿り着いたのか?:会計士・渡邉孝江が聞いてきた!Vol.1

【参考サイト】

情報を入力するだけで資本政策が完成していく

VCから資金調達するスタートアップが避けて通れないのが、株主比率や株式の内容を決める「資本政策」。資本政策は後からやり直すことが難しく、「シード」と呼ばれる創業から間もない時期にしっかり対応しておく必要があります。

しかし前述の通り、スタートアップの資本政策に明るい会計士は少なく、かといってスタートアップの社長も詳しいわけでもありません。「プレかポストか」「エグジット」など、聞きなれない言葉が並ぶわりにネットや本に情報は少ないのが現状です。そこで登場するのがFUND BOARDというわけです。

KEPPLE_FUND BOARD イメージ1

FUND BOARDを使えば、スタートアップや彼らを支援する会計士は、資本政策資料を簡単に作成することができます。従来はエクセルに複雑な計算式を組み込んでいたため、そもそも式が間違えているようなこともありましたが、FUND BOARDを使えばその手間も減るようです。

時価総額や資金調達額などの情報を入力すると、情報は自動でビジュアライズされ、視覚的に資本政策や現状を理解することが可能になります。

KEPPLE_FUND BOARD イメージ2

(FUND BOARD イメージ、ケップル提供)

FUND BOARD上であらゆるデータを一括管理

また、資金調達を経るとVCは株主へと変わるので、今度は株主管理の必要が出てきます。1〜2社程度だったら資料もメールで送付できますが、何社も株主がいれば資料を共有するだけでも大変。FUND BOARDはこの問題も解決します。

スタートアップにとって株主管理は非常に重い負担です。そもそも人的リソースが足りないのに、何社もの株主に定期・不定期に連絡をしなくてはなりません。監査や税務を担う会計士に連絡するのも大変ですね。(神先さん)

ですがFUND BOARDに資料をアップさえすれば、こんな面倒も減るそう。そうすれば株主(や会計士等)は、ここにアクセスさえすれば必要な資料をいつでも取り出せますし、「この資料の最新版はどれだ?」なんていう問題も解決できるというわけです。

神先さん

神先さんは会計士等のイベントにも度々登壇。

また、新しいVCが投資を検討してもらう際には、VCに資料閲覧の権限を付与すれば、必要な資料をすぐに提供することが可能です。スタートアップにとっては資金調達やM&A時の手間が減りますし、投資契約書や登記簿もここにアップしておけば資料紛失のリスクもなくなります。

会計事務所だから気づけたスタートアップ共通の課題

そもそもケップルは元々会計事務所。なぜこのようなサービスを作ったのでしょうか?

ケップルは会計事務所として2013年に設立しました。元々スタートアップのクライアントが多く、会計事務所という枠にとらわれず様々なバックオフィス業務を支援してきました。そんな中、多くのスタートアップが資本政策や株主管理で困っているのを間近でみてきてFUND BOARDの開発を決意しました。会計事務所を運営したかったのではなく、スタートアップのことを考えていたらこのサービスにいきついた、という感じです。(神先さん)

アメリカではオンラインサービスで資本政策を作っていくのが一般的らしいのですが、日本ではこの手のプレイヤーがいなかったこともサービス開発を後押ししたようです。

KEPPKE_神先氏

ケップルの社内では神先さんとスタッフがFUND BOARDについて意見交換する場面も。ケップル自体がユーザなので鋭い意見も飛び出す。

VCやエンジェル投資家にも有益

FUND BOARDはVCやエンジェル投資家が使うことも想定されています。神先さんによれば、多くのVCは現状、投資先をエクセル管理しているところが多いそう。

資本政策とエグジットストーリーが別のエクセルで管理されていることもあったり、投資先が多くなればそのファイルを更新したり、必要資料をスタートアップとやりとりするのも大変です。FUND BOARDをうまく使えればファンドポートフォリオを丁寧かつ迅速に管理することができるようになるはずです。 

また、エンジェル投資家の中には、出資はするけど手を動かすような支援はしない、という方も少なくありません。そうするとスタートアップとの情報交換の機会は限られてしまいますし、かといって忙しいスタートアップの時間は奪いたくはないので頻繁に自ら情報は聞きづらい、というジレンマを抱えているようです。

そんなときFUND BOARDなら、他の投資家とのやりとりの結果、資料や株価といったことが既にアップロードされていますから、エンジェルはそこにアクセスすればすぐにスタートアップの現状を把握することができるというわけです。

FUND BOARDをすべてのスタートアップが使うサービスに

スタートアップやVCはもちろん、エンジェル投資家や会計士・税理士もユーザになりうるFUND BOARD。β版は全機能無料で使うことができます。本リリース後も当初スタートアップは無料で使えるそうです。

今後はクラウド上で契約業務を行える機能や、エンジェル税制を判定する機能も追加してくそう。最後に、今後の展望について神先さんに伺いました。

スタートアップと投資家のマッチング機能を開発したり、FUND BOARDユーザが増えればその情報をもとに、バリュエーショントレンドなどのレポートが出せるかもしれません。また、場合によっては与信管理などに進出する可能性もあります。ユーザの声を聞きながら、すべてのスタートアップに使っていただけるようなサービスにしていきたいと思います。(神先さん)

税務・会計のみならずテクノロジーを活用し、スタートアップや投資家など、日本のベンチャーエコシステムの発展を目指していくKepple、そして、FUND BOARDの今後に期待です。

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