3か月の短期間で導入。クラウド化によりリモートワークも実現
JPロジスティクスグループ株式会社株式会社
日本郵便とオーストラリア最大の物流企業トールグループの子会社であり、あらゆる物流需要に対して倉庫(自社倉庫を含む)・グループ会社のネットワークを活用し、国際輸送から倉庫・国内輸送をはじめとした物流サービスにおけるソリューションを提供しています。※2023年4月1日付で、JPトールロジスティクス株式会社からJPロジスティクスグループ株式会社に社名変更を行いました。
https://www.jptoll-logistics.co.jp/
課題
- 電帳法改正の施行日が迫っており、会計システムの検討および導入まで早急に進める必要があった
- 紙伝票での処理が中心の業務フローで、リモートワークに対応できなかった
- 支払依頼書を一件ずつ作成しており、処理に月初6日ほどかかっていた
結果
- 導入支援サービスにより、短期間での導入を実現
- クラウド型システムの導入により、リモートワークできる環境作りに成功
- システム導入に伴うペーパーレス化の推進で、支払依頼書の手続きもデジタルでの処理に移行の方針へ
毎月400件の支払依頼書作成をペーパーレス化&業務省力化!
日本郵便グループの物流ソリューション企業として、国内のみならずグローバルに輸配送サービスを展開するJPロジスティクスグループ株式会社。電子帳簿保存法(電帳法)改正への対応をきっかけに、紙処理が中心だった業務フローの抜本的な見直しに着手しました。
紙を使った処理に慣れていたスタッフにとって、電子化・ペーパーレス化への移行には不安が伴うもの。同社ではどのように電子化のメリットを説明し、定着させていったのでしょうか?
電帳法改正への対応をきっかけに、経理業務フロー全体の見直しを決断
――まず、会社の概要をお聞かせください。
当社は日本郵便とオーストラリア最大の国際物流企業であるトールグループの子会社として、2018年に設立された物流サービスの会社です。日本郵便、トールグループ、トールエクスプレスジャパンの物流ネットワークを活用したロジスティクスとフォワーディングサービスを提供しています。従業員数はグループ全体で約4,000名が在籍しています。
業務上、大小さまざまな運送業者に運送業務を委託しているので、毎月数千万円単位の請求が、原課から300~400件も上がってきます。それを、7名の管理部の社員と4名の営業事務スタッフで処理しています。
――会計業務を見直すきっかけは何だったのですか?
直接のきっかけは、電帳法改正への対応です。2022年の1月1日から電子取引のデータ保存が義務化される(※)ことから、従来の紙主体のワークフローを見直す必要が生じました。
※「令和4年度与党税制改正大綱」において、2023年12月31日まで2年間の猶予期間を設ける方針が示された。
厳密に言うと、会社の設立時から電子稟議システムは導入していたのですが、経理業務に関する発注、検収、支払、会計処理といった購買の意思決定は、すべて紙で処理していました。
――電子稟議システムはあったけど、紙で稟議を回していたということですか?
電子稟議システムでは承認まではできるのですが、会計システムとデータ連携しておらず、個々に独立していたので、支払周りについては紙で処理せざるをえない状況でした。
支払依頼書も一件ずつ作成しており、月初に6日ほどかけて処理していました。本当にCMのような話ですが、「支払いをこの日までに完了しなければならない」という期日に毎月のように追われているような状況でした。また、月初に上長の出張が入ると、その分処理が遅れてしまうこともありました。
そもそも、紙処理では保存・管理・整理にコストがかかりますし、「あの書類を出してほしい」と言われた時にすぐ出せないストレスも感じていました。さらに、当社もコロナ禍で在宅勤務を導入したのですが、月次処理のために出勤しなければならないことにもどかしさがありました。その意味では、業務フローの見直しは電帳法への対応がきっかけではありましたが、これを機に全体的な業務量の削減を実現したいという思いが個人的にはありました。
「また新しいことをやらされるのか」…地道な説明でメリットを訴求
――会計システム検討のプロセスについてお聞かせください。
その当時は電帳法改正の施行日が迫っていたので、検討期間は実質1ヶ月しかありませんでした。
当初は、電帳法に対応するために請求書の保管サービスを中心に検討を始め、各社から提案を受けました。ただ、それだけだと業務効率化のインパクトが弱いと感じていました。また、社員に説明する際にも「電帳法改正への対応だから」では納得してもらえません。そこで、ERPを導入することで、全体の業務量が削減できることを社員に訴求できるところまでやり切りたいと思いました。
しかし、当社にはシステムや経理のリソースが不足しているので、自社でソフトウェアを開発するのは難しいと感じていました。また、ライセンス購入型のサービスも、導入後に作り上げるのが難しい印象がありました。そこで、クラウドサービスを中心に検討することにしました。
実は、もともと導入していた電子稟議システムの会社を優先的に検討していました。同じ会社のほうがスムーズに連携できるのではないかと考えたからです。ただ、そのサービスはAPI連携がなかったため、不安が残りました。その結果、API連携の豊富なマネーフォワード クラウドに決定したという流れです。
さらに、大きな決め手になったのは導入支援サービスの存在です。私自身、過去に電子稟議システムを導入した時は設定サポートサービスがなかったこともあり、稟議システムと会計システムの連携をやりきれなかった苦い経験がありました。マネーフォワード クラウドではナレッジラボに設定サポートに入っていただけるということで、安心感をもって導入を決定することができました。
――業務量の大幅な削減が図れるということで、社員からも期待されていたのではないでしょうか?
いえ……それが、最初に発表した時は、拍手喝采という状況ではなく「また何か新しいことをやらされるのか」というネガティブな反応をされてしまいました。経理の経験が少ない社員も多く、紙処理のワークフローに慣れていたので「電子システムのイメージがわかない」と言われてしまったんです。
そこで、数回に分けて社員向けの説明会を開催しました。導入する前と後のワークフローを比較しながら、「紙での処理がこれだけなくなる」「出社しなくてもいいから在宅勤務にも対応できる」など、現場のスタッフが感じてもらえるようなメリットの訴求に努めました。
ナレッジラボのサポートで、導入決定から3か月の短期間導入を実現!
――導入にあたっては、マネーフォワードのグループ会社であるナレッジラボの導入支援サポートを受けられたのですね。
ナレッジラボの導入支援サポートには非常に安心感がありました。システム構築にあたっては、大小さまざまな機能要望を出したのですが、その都度かなり迅速に動いていただきました。導入決定から3か月の短期間で導入することができたのは、ナレッジラボのおかげです。
導入後も、初めて月次処理を回した際に、「思っていたのと違う」という不具合がどうしても出てきます。その際も、ナレッジラボに要望を伝え、迅速に対応していただきました。マネーフォワードとナレッジラボの連携を強く感じましたね。
――導入後の、業務効率化の効果は感じられていますか?
まだペーパーレス化に向かって第一歩を踏みだしたばかりなので、導入効果もこれからというところです。原課からの問合せも、導入当初ほどではありませんが、まだ一日に10件ほど上がってくるので、定着化に努めているところです。
それでも、これまでは支払依頼書の作成に毎月6日分はかかっていたので、その分の削減効果を見込めると考えています。
直近では、新型コロナウイルスの影響で、自宅待機を余儀なくされた社員がいました。これまでは一人でも欠けてしまうと月次処理が滞ってしまう状況でしたが、結果として在宅勤務でも問題なく処理できました。こういった成功体験を積み重ねることで、社員にも少しずつメリットを実感してもらえていると思います。
――今後の課題は何ですか?
まずは、この新しいシステムを早く社内に定着させて、ペーパーレスと業務量削減を実現できた、と胸を張って言えるところまで持っていきたいですね。
また、他の管理業務でも、特に人事周りや販売管理と会計と連携は進めていきたいと考えています。関係部署とひざを突き合わせながら、引き続き管理業務全体の省力化に努めていきたいですね。
※掲載内容は取材当時の情報です。