英国BIG4業務分離に最終報告、PwCあらたデジタル化でデータ作成時間削減、会計士協会会長選の裏側?など3件:今月の会計士業界ニュース(2019年5月その1)



2019年5月の会計士業界の時事ニュースをお届けします。

4月18日、30日にリリースされた「英国BIG4業務分離に最終報告」、「PwCあらたデジタル化でデータ作成時間削減」、「会計士協会会長選の裏側?」の3件のニュースをご紹介します。

英国BIG4業務分離に最終報告

英競争・市場庁がBIG4の監査・非監査業務分離を提言しているニュースを、前回の会計士業界ニュースで取り上げました。

会計士開発のAI業績予測ソフト提供開始、英国BIG4に業務分離提言、会計士協会会長にトーマツ手塚氏など3件:今月の会計士業界ニュース(2019年4月その1)

今回、英競争・市場庁が監査業界の改革に関する最終報告書を公表した件に関する記事が、日本経済新聞よりリリースされています。

英国の競争当局である競争・市場庁は18日、英監査業界の改革に関する最終報告書を公表した。「ビッグ4」と呼ばれる4大監査法人グループについて、監査とそれ以外の業務を組織内で分離するよう求めるのが柱だ。大手4社の寡占が監査の質を下げていると問題視し、上場する大企業には複数の監査法人による共同監査を義務付けることも提言した。

引用元:4大監査法人「業務分離を」 英競争当局が最終報告書(日本経済新聞 2019年4月18日付)

記事によると、最終報告書はこれまでの議論を踏襲し、監査業務と非監査業務を運営上分離することに留まり、解体は求めていないとのことです。またロンドン証券取引所に上場する主要350社を対象に、共同監査を義務付けることも提案されているそうです。

英政府は90日以内に対応方針や法制化の必要性などを判断するということで、日本の期末監査がひと段落した夏頃には監査改革の詳細が公表されることになりそうです。

PwCあらたデジタル化でデータ作成時間削減

IT技術の進化が止まりません。監査業界もITの進化に対応すべく、2030年頃を想定して、公認会計士協会からIT委員会研究報告第52号『次世代の監査への展望と課題』(2019年1月31日付)が公表されたばかりです。

今回、PwCあらた監査法人が監査業務のデジタル化について会見を開いており、デジタル化の取り組みに関する記事が、IT Leadersよりリリースされています。

PwCあらた有限責任監査法人は、業務プロセスのデジタル化によって監査業務の効率を上げる取り組みに2018年から着手している。システムの一部は完成しており、社内での実証実験も始まった。2019年1月には、社員を対象にシステムのトレーニングも実施した。今後、システム開発と並行し、全社での利用を促進する。同社は2019年4月18日に会見を開き、デジタル化の取り組みの詳細を説明した。

引用元:PwCあらたが監査業務をデジタル化、AI活用し7~8割を占める監査データの作成時間を削減へ(IT Leaders 2019年4月18日付)

記事によると、会計のデジタルデータを同法人の標準フォーマットに変換し、AIを用いた会計データの仕訳検証ツールを活用することで、データの不正やエラーを自動で見抜けるようにする仕組みなのだそうです。

監査時間の7~8割を占めていたデータ作成時間を削減することで専門的な判断に時間がかけられるようになり、監査業務の効率化と品質の向上が期待されます。また、監査時間の削減や会計資料をデータのまま提供できることは、対応するクライアントにとってもメリットがあるため、今後監査業界のスタンダードな手法になっていくのではないでしょうか。

会計士協会会長選の裏側?

公認会計士協会の次期会長に、監査法人トーマツの手塚氏が選出されたことはご存知でしょうか。

今回、会長選出の経緯に関する記事が、zakzakよりリリースされています。

今回も「新日本から」という声があったものの、世界四大会計事務所の英アーンスト・アンド・ヤング(EY)の事実上の傘下に入ったことから、「日本の業界団体の長を送り出すのは不適切」という声が上がり断念していた。いずれにしても、このような経緯からトーマツは「次はうちの番」と公言していた。

引用元:公認会計士協会の会長選…はじめから「トーマツありき」だった!?(zakzak 2019年4月30日付)

記事によると、2013年は新日本監査法人から会長が選ばれる順番であったものの、オリンパスの巨額粉飾事件が表面化し断念。2016年も同法人が担当していた東芝の巨額粉飾事件が発覚し会長選出を断念。今年こそ会長選出を狙っていましたがEY傘下に入ったことが足かせとなり、またもや見送りになってしまったとのこと。

記事には根拠やソースが示されておらず真に受ける内容ではありませんが、政治となるとこういったゴシップ記事が出てしまうのは仕方がないのでしょう。いずれにせよ新たな体制でも会計士業界がより発展することを期待しています。

(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧



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【大津留ぐみ:公認会計士・税理士/会計士・税理士専門ライター】 大学在学時にシェイクスピアを学んだことをきっかけに劇作家を目指すも挫折。編集プロダクションで編集やライティング業務に従事した後、公認会計士試験にチャレンジし合格。大手監査法人の東京事務所にて監査業務、財務デューデリジェンスなどに従事。 その後、フリーランスの公認会計士として非常勤監査、税理士法人の社員税理士として税務業務に従事しつつ、大津留ぐみのペンネームでライターとしての執筆活動にも従事。ライターとして、お金、社会保障、会計、税務などに関する記事を執筆。また、2児の母となったことをきっかけに、子どもの貧困や教育格差、子どものイジメに関する記事なども執筆。現在は、株式会社ワイズアライアンスの専属ライターとして会計・税務の記事を執筆しつつ、会計事務所にて内部統制業務にも従事するパラレルワーカー。公認会計士・税理士。

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