2018年5月14日から5月18日にかけて、監査法人に関する複数のニュースがリリースされています。
監査法人に行政処分勧告、大手監査法人が助言を誤り業績予測修正などの記事をご紹介します。
監査法人アヴァンティアに対し行政処分を勧告
- 公認会計士・監査審査会、アヴァンティアへの行政処分を勧告(日本経済新聞 2018年5月18日付)
各監査法人が監査の品質向上のための取り組みを加速させている中、監査法人アヴァンティアに行政処分が勧告されました。
今回、公認会計士・監査審査会が、業務を実施する上での管理体制に問題があったことなどを理由として、監査法人アヴァンティアに対し行政処分などの措置を講じるよう勧告したという記事が、日本経済新聞よりリリースされています。
公認会計士・監査審査会は18日、監査法人アヴァンティア(東京・千代田)に対し行政処分などの措置を講じるよう金融庁に勧告した。
引用元:公認会計士・監査審査会、アヴァンティアへの行政処分を勧告(日本経済新聞 2018年5月18日付)
記事によると、アヴァンティアは東証一部を含む上場企業21社の監査を手掛けているそうです。
今回の勧告について、公認会計士・監査審査会のwebサイトで詳細が確認できます。
- 監査法人アヴァンティアに対する検査結果に基づく勧告について(公認会計士・監査審査会 2018年5月18付)
上記の中で、勧告に至った原因として以下の3つが指摘されています。
- 実効的な品質管理のシステムが構築されていない
- 品質管理態勢において多数の項目で重要な不備が認められる
- 個別監査業務で重要な不備を含めて広範かつ多数の不備が認められる
一部をご紹介すると、関連当事者の注記が漏れている、関係会社株式・のれん・棚卸資産などの評価検討がされていないなどの不備が指摘されています。金融庁からの処分いかんでは、今後の監査契約にも影響を与えかねません。
沢井製薬が業績予測を修正。原因はあずさ監査法人の助言誤り!?
- 沢井製薬の前期純利益140億円 監査法人の助言に誤り(日本経済新聞 2018年5月14日付)
沢井製薬の業績予測が修正された原因が、有限責任あずさ監査法人の誤った助言によるものだったとする記事が、日本経済新聞よりリリースされています。
後発薬大手の沢井製薬は14日、2018年3月期の連結純利益(国際会計基準)が140億円となり従来予想から12億円増えたと発表した。
引用元:沢井製薬の前期純利益140億円 監査法人の助言に誤り(日本経済新聞 2018年5月14日付)
記事によると、あずさ監査法人からの指摘を受けていったん2月に「繰り延べ税金資産」の取り崩しを行い、業績を下方修正しましたが、その助言が誤りだったとするあずさ監査法人の説明を受けて上方修正に至ったそうです。
12億円もの誤謬が監査法人の指摘で生まれたという事態に、クライアントや市場の監査法人に対する信頼低下は避けられないでしょう。監査法人から決算確定前に説明があり最悪の事態は免れましたが、今後の信頼回復には時間がかかりそうです。
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)