2021年8月の会計士業界ニュースをお届けします。
今回は、8月中旬以降にリリースされたニュースから、「会計士起業家が音声プラットフォーム「Voicy」のしゃべりの魅力を伝える」「リモート監査で会計不正公表企業46%減少」「2021年3月期KAMは固定資産の減損3割」の3本です。
会計士起業家が音声プラットフォーム「Voicy」のしゃべりの魅力を伝える
公認会計士起業家として、音声プラットフォーム「Voicy」を起ち上げた緒方憲太郎氏を、既にご存知の方も多いのではないでしょうか。新日本監査法人大阪事務所、Ernst&Young NewYork、トーマツベンチャーサポート株式会社を経て、2社目の会社として設立したのが「Voicy」です。
今回、VoicyCEOの緒方憲太郎氏とTVプロデューサーで「オールナイトニッポン0(ZERO)」のパーソナリティーも務める佐久間宣行氏の対談記事が、NIKKEI STYLEよりリリースされています。
多くの人気バラエティー番組を手掛ける名物プロデューサー、佐久間宣行氏は、ニッポン放送のラジオ番組「オールナイトニッポン0(ZERO)」のパーソナリティーも務めている。音声プラットフォーム「Voicy(ボイシー)」を運営する緒方憲太郎氏と佐久間氏が、「しゃべりの魅力」について語り合った。
引用元:声は「その人」の情報の宝庫 感情と一緒に今を届ける(NIKKEI STYLE 2021年8月13日付)
記事によると、緒方氏の自書『ボイステック革命』の出版の経緯や、しゃべりと声の魅力などについて伝えられています。
公認会計士から、異業種で起業して成功を収めた緒方氏のエピソードは、事業への熱意が強く込められており、思わず惹き込まれる記事になっています。
詳細は以下の記事をご参照ください。
リモート監査で会計不正公表46%減少
リモート監査が常態化しつつありますが、コロナ前と比べて、監査の品質にどのような影響が出ているのでしょうか。
今回、2021年3月末までの1年間の会計不正公表企業数に関する記事が、日本経済新聞よりリリースされています。
日本公認会計士協会によると、2021年3月末までの1年間で粉飾決算などの会計不正を公表した企業は25社で、前の年度に比べて46%減った。
引用元:会計不正、公表46%減 在宅勤務普及で発見に壁 昨年度(日本経済新聞 2021年8月24日付)
記事では、会計不正の公表が減少した理由として、リモート環境では気付きの手掛かりが減るためチェックも甘くなりかねないと指摘しています。
記事の通りにリモート監査で不正が発見しづらくなったということであれば、往査が再開されたタイミングで、一気に不正会計が噴出する可能性も考えられます。2022年3月期も引き続きリモート監査が行われていますが、期末監査までに、不正発見のための実効性ある監査手続が必要になりそうです。
詳細は以下の記事をご参照ください。
2021年3月期KAMは固定資産の減損3割
コロナ禍で自粛要請が長引くなか、業績悪化で経営成績に甚大な影響を受けている業界もあります。これらは、有報にどのように開示されているのでしょうか。
今回、あずさ監査法人が行った、2021年3月期の有報に記載されたKAM分析に関する記事が、日本経済新聞よりリリースされています。
企業の財務監査の重要項目を有価証券報告書(有報)に記載する「KAM(カム)」で、固定資産の減損リスクに関する項目が全体の3割と最多だったことがわかった。
引用元:財務監査の重要項目「KAM」 減損リスク、最多の3割に のれんや税金資産、プロ野球まで記載幅広く(日本経済新聞 2021年8月25日付)
記事によると、製造業では固定資産関連の記載が多く、JALでは繰延税金資産の回収可能性について取り上げるなど、業界特有のリスクが目立つと伝えられています。
経営の透明化をすすめるために投資家に有用な情報を提供するという、KAM本来の役割が果たされているという印象を受けます。
詳細は以下の記事をご参照ください。
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)