【追記】
最新版の監査法人比較記事は下記になります。下記ページをご参考ください。
→BIG4監査法人を比較!2023年12月版_四大監査法人の決算・業績(売上・利益)、クライアント数、人員数ランキング!
BIG4監査法人(四大監査法人)の業績を2017年1月最新版としてまとめました。
今回、2017年1月版として四大監査法人(あずさ・新日本・トーマツ・PwCあらた)を「規模(人員数)」「クライアント数」「業績」の3点から比較してあります。BIG4監査法人と呼ばれる大手監査法人ですが、そこにはどれくらいの差があるのでしょうか?
今回比較に使った数字は、
- あずさ監査法人、新日本監査法人、監査法人トーマツに関しては「業務及び財産の状況に関する説明書」
- PwCあらた監査法人に関しては「年次報告書-Annual Review」
を参考に検証しています。(そのため、PwCあらた有限責任監査法人のデータが一部少なくなっています点はご了承ください)
今回参考にした資料はこちら。
- 有限責任 あずさ監査法人 第32期 平成27年7月1日~平成28年6月30日
- 新日本有限責任監査法人 第17期 平成27年7月1日~平成28年6月30日
- 有限責任監査法人トーマツ 第49期 平成27年10月1日~平成28年9月30日
- PwCあらた有限責任監査法人 年次報告書‐Annual Review 2016
【本記事の目次】
- 1:四大監査法人を『人員』で比較する-人員数ではトーマツがトップに!
- 2:四大監査法人を『クライアント数』で比較する-監査クライアント数は新日本が依然トップ!
- 3:四大監査法人を『業務収入・利益』で比較する-四法人ともに売上は増加!
1:四大監査法人を『人員』で比較する-人員数ではトーマツがトップに!
四大監査法人の人員数 -トーマツが新日本を抜いて最多に!
それでは、まずは四大監査法人を『人員』から比較してみましょう。
ここでは、人員総数、パートナー数、公認会計士数などで比較しました。
※あずさ監査法人のみ「業務及び財産の状況に関する説明書」に正確な人員総数の記載がなく、約5,700名との記載になっていますので5,700名として記載してあります。
総人員数
- トーマツが新日本を抜いて人員数で最大に。
- 新日本を除く3法人は前年比で約300名増。
●総人員数
- 1位:6,495名(トーマツ)/昨年6,185名 →前年比310名増
- 2位:6,277名(新日本)/昨年6,284名 →前年比7名減
- 3位:約5,700名(あずさ)/昨年約5,400名 →前年比約300名増
- 4位:2,550名(あらた)/昨年2,219名 →前年比331名増
総人員数に関しては、監査法人トーマツが約6,495名と、昨年まで最多であった新日本監査法人を抜き最大となりました。新日本監査法人は前年比7名減となりましたが、他3法人はこぞって約300名の増加となっています。
パートナー数・比率
- 新日本・あずさ・トーマツのパートナー数は600名前後。
- あらたは人数も少ないが、パートナー比率も低め。
●パートナー数
- 1位:627名(新日本)/昨年640名 →前年比13名減
- 2位:606名(あずさ)/昨年604名 →前年比2名増
- 3位:579名(トーマツ)/昨年588名 →前年比9名減
- 4位:122名(あらた)/昨年113名 →前年比9名増
パートナー(社員・代表社員)数に関しては、あずさ、新日本、トーマツの三法人はいずれも600名前後ですが、人員の総数にパートナーが占める比率は、あずさの10.6%とトーマツの8.9%で2%近い差があります。
一方であらた監査法人のパートナー数は122名と他法人の5分の1となっており、人員総数に占めるパートナー比率も4.8%と他三法人の約半分となっています。
また、新日本監査法人と監査法人トーマツに関しては前年比でパートナー数が減少しています。
パートナー数をどう捉えるかにもよりますが、パートナー比率が低く、かつ、パートナー数が増加している法人のほうが若手会計士にとって昇格のチャンスは大きいと言えるかもしれません。
公認会計士、会計士試験合格者等の人数・比率
- 公認会計士・会計士試験合格者の数は新日本が最多。
- 公認会計士・会計士試験合格者の比率ではあずさが最多。
●公認会計士・試験合格者等の数
- 1位:4,460名(新日本)/昨年4,559名 →前年比99名減
- 2位:4,340名(トーマツ)/昨年4,361名 →前年比21名減
- 3位:4,324名(あずさ)/昨年4,209名 →前年比115名増
- 4位:1,367名(あらた)/昨年1,186名 →前年比181名増
公認会計士と試験合格者の総数に関しては、昨年に引き続き新日本が最多の4,460名の公認会計士を有しており、トーマツ、あずさより100名ほど多くなっています。
会計士比率に関しては、あずさ監査法人が最も高い75.9%となっており、あらた監査法人は53.6%と他三法人と比較すると会計士比率が低くなっています。これは、四大法人の中では監査報酬の比率が、あらた監査法人が最も低く、あずさ監査法人が最も高いため、それが会計士比率にも反映されているとも考えられます。
また、新日本監査法人と監査法人トーマツは昨年と比較すると公認会計士総数が減少していますが、あずさ監査法人とあらた監査法人に関しては増加しています。
2:四大監査法人を『クライアント数』で比較する-監査クライアント数は新日本が依然トップ!
四大監査法人のクライアント概要
次に、四大監査法人をクライアント数から比較してみましょう。
ここでは監査証明と非監査証明のクライアント数や比率を比較しています。
※1:{(金商法・会社法)+金商法}クライアント数/監査証明クライアント総数で計算。
※2:非監査証明クライアント数/(監査証明クライアント総数+非監査証明クライアント数)で計算。
監査証明・非監査証明クライアント総数
- 監査クライアントの減少数はトーマツが新日本を上回る。
- あらたは高い非監査クライアント比率を維持。
●監査クライアント数
- 1位:3,971社(新日本)/昨年4,084社 →前年比113社減
- 2位:3,427社(トーマツ)/昨年3,574社 →前年比147社減
- 3位:3,402社(あずさ)/昨年3,325社 →前年比77社増
- 4位:930社(あらた)/昨年931社 →前年比1社減
監査証明クライアントに関しては、新日本監査法人が3,971社と最も多くなっています。
また、新日本監査法人に関しては東芝事件に伴う行政処分の影響で監査クライアントの大幅減少が予想されましたが、減少数は113社に留まり、2位の監査法人トーマツはそれを上回る147社減となっています。(新日本は6月末、トーマツは9月末時点の数字です。)
そのため、昨年は510社差であった1位の新日本監査法人と2位の監査法人トーマツの監査クライアント数の差は544社へと拡大しています。
また、四大監査法人の中でクライアント数を増やしたのはあずさ監査法人のみとなっています。
●非監査クライアント数
- 1位:3,653社(トーマツ)/昨年3,526社 →前年比127社増
- 2位:3,361社(新日本)/昨年3,583社 →前年比222社減
- 3位:2,197社(あずさ)/昨年2,073社 →前年比124社増
- 4位:1,075社(あらた)/昨年1,041社 →前年比34社増
非監査クライアント数に関しては、トーマツ、あずさ、あらたの三法人がクライアント数を増やしたものの、新日本は222社の大幅減となり、その結果、昨年の1位と2位が逆転、1位が監査法人トーマツ、2位が新日本監査法人となっています。
また、非監査クライアントを比率で見ると、あらた監査法人が53.6%と最も高く、昨年の52.8%からさらに増加しています。また、あずさ監査法人が39.2%と最も低くなっています。
3:四大監査法人を『業務収入・利益』で比較する-四法人ともに売上は増加!
四大監査法人の業務報酬・当期純利益
それでは、最後に業務収入や利益を比較してみましょう。
業務収入(売上高)
- 業務収入トップは引き続き新日本。業界トップの底力を見せつける結果に。
- 監査証明収入は四大法人すべてが増収。
- 非監査証明収入額ではあずさがあらたを上回る。
●業務収入
- 1位:約1,065億円(新日本)/昨年991億円 →前年比74億円増
- 2位:約965億円(トーマツ)/昨年891億円 →前年比74億円増
- 3位:約899億円(あずさ)/昨年831億円 →前年比68億円増
- 4位:370億円(あらた)/昨年333億円 →前年比37億円増
四大監査法人の業務収入を見てみると、四大法人すべてが増収となり、新日本監査法人が約1,065億円でトップとなっています。新日本監査法人は行政処分があったものの、監査報酬は増加しており業界1位の底力を見せる形となりました。2位以下は、トーマツが約965億円、あずさが約899億円、あらたが約370億円と続き、四大法人はいずれも増収となっています。
●監査証明収入
- 1位:85,024百万円(新日本)/昨年77,597百万円 →前年比7,427百万円増
- 2位:70,459百万円(トーマツ)/昨年66,658百万円 →前年比3,801百万円増
- 3位:69,875百万円(あずさ)/昨年68,101百万円 →前年比1,774百万円増
- 4位:17,500百万円(あらた)/昨年16,683百万円 →前年比817百万円増
●非監査証明収入
- 1位:26,019百万円(トーマツ)/昨年22,519百万円 →前年比3,500百万円増
- 2位:21,457百万円(新日本)/昨年21,578百万円 →前年比121百万円減
- 3位:20,020百万円(あずさ)/昨年15,056百万円 →前年比4,964百万円増
- 4位:19,533百万円(あらた)/昨年16,626百万円 →前年比2,907百万円増
監査と非監査それぞれの業務収入に目を向けてみると、監査は新日本監査法人がトップ、非監査では監査法人トーマツがトップとなっています。
監査報酬においては四大法人すべてが増収、非監査収入に関しては新日本監査法人を除く三法人が増収となっています。
また、非監査においては、昨年3位であったあずさ監査法人があらた監査法人を上回り、3位と4位が入れ替わる結果となっています。
構成員・パートナーひとりあたり業務収入(売上高)・利益
次に、構成員・パートナーひとりあたりの業務収入や利益について見てみます。
- BIG4間でのひとりあたり業務収入の差は244万円
- あらたのパートナーひとりあたりの業務収入が3億円を突破!
- 経常利益は金額、利益率ともにあらた監査法人がトップ。
【業務収入】
業務収入の部分だけ抜き出してみます。
●構成員ひとりあたり業務収入
- 1位:1,696万円(新日本)/昨年1,578万円 →前年比118万円増
- 2位:1,577万円(あずさ)/昨年約1,540万円 →前年比37万円増
- 3位:1,485万円(トーマツ)/昨年1,441万円 →前年比44万円増
- 4位:1,452万円(あらた)/昨年1,501万円 →前年比49万円減
前述のとおり法人間の業務収入(売上)には四大法人間でも大きな差がありましたが、ひとりあたりで見てみると、トップの新日本の1,696万円と最も低いあらたの1,452万円では244万円の差が見受けられます。
ひとりあたり業務収入に関しては、構成員数の増減も影響していると考えられ、新日本は四大監査法人の中で唯一構成員数が減少(前年比7名減)しているためひとりあたりの業務収入が大きくなり、逆に、あらたは構成員数が前年比330名増と大きく増加していることから、ひとりあたりの業務収入にも差がついたと考えられます。
●パートナーひとりあたり業務収入
- 1位:3億354万円(あらた) …パートナー122名
- 2位:1億6,982万円(新日本) …パートナー627名
- 3位:1億6,662万円(トーマツ) …パートナー579名
- 4位:1億4,834万円(あずさ) …パートナー606名
<参考:昨年実績>
- 1位:2億9,477万円(あらた) …パートナー113名
- 2位:1億5,496万円(新日本) …パートナー640名
- 3位:1億5,166万円(トーマツ) …パートナー588名
- 4位:1億3,767万円(あずさ) …パートナー604名
パートナーひとりあたりの業務収入を計算してみると、四大監査法人はいずれもパートナーひとりあたりの業務収入が増加しています。
また、あらた監査法人の金額が他法人の2倍近く、あずさ監査法人は新日本監査法人、監査法人トーマツより1割ほど低くなっています。あらた監査法人に関しては、パートナーひとりあたりの業務収入額が3億円を超える結果となっています。
【経常利益】
経常利益を見てみると、金額、利益率ともにあらた監査法人が最も大きくなっています。
●経常利益
- 1位:35億円(あらた)/昨年39億円 →前年比4億円減
- 2位:41億円(新日本)/昨年10億円 →前年比31億円増
- 3位:28億円(トーマツ)/昨年19億円 →前年比9億円増
- 4位:12億円(あずさ)/昨年15億円 →前年比3億円減
●経常利益率
- 1位:9.7%(あらた)/昨年11.9% →前年比2.2%減
- 2位: 3.9%(新日本)/昨年1.1% →前年比2.8%増
- 3位: 3.0%(トーマツ)/昨年2.2% →前年比0.8%増
- 4位: 1.3%(あずさ)/昨年1.9% →前年比0.6%減
経常利益に関しては、あらた監査法人が金額、利益ともにトップである一方で、新日本監査法人が大きく数値を改善しており、金額で31億円、利益率で2.8%の増加となっています。
●構成員ひとりあたり経常利益
- 1位:140万円(あらた)/昨年179万円 →前年比39万円減
- 2位: 65万円(新日本)/昨年17万円 →前年比48万円増
- 3位: 43万円(トーマツ)/昨年31万円 →前年比12万円増
- 4位: 21万円(あずさ)/昨年29万円 →前年比8万円減
●パートナーひとりあたり経常利益
- 1位:2,932万円(あらた)/昨年3,518万円 →前年比586万円減
- 2位: 658万円(新日本)/昨年171万円 →前年比487万円増
- 3位: 492万円(トーマツ)/昨年332万円 →前年比160万円増
- 4位: 200万円(あずさ)/昨年263万円 →前年比63万円減
最後に、構成員、ならびに、パートナーひとりあたりの経常利益です。
こちらに関しても、あらた監査法人が他三法人を大きく引き離し1位となっています。
また、新日本、トーマツ、あずさでは、パートナーひとりあたりの経常利益が構成員ひとりあたりの約10倍となっていますが、あらたでは約20倍となっています。
以上、2016年度(平成28年度)の情報にもとづく四大監査法人の比較をお送りしました。
いかがだったでしょう?なかなか違いがわかりにくい大手監査法人ですが、数字に落とし込んでみるとその特徴が見えてくると思います。
次回以降の特集にもご期待ください。
圧倒的なノウハウでBIG4監査法人への転職サポート
公認会計士ナビの転職エージェントサービスでは、BIG4監査法人への転職をサポートしています。
公認会計士(試験合格者含む)、USCPA、CIA、CISAなどの資格者の方や、会計監査、経理や内部監査などの経験者の方を対象に、監査法人業界に詳しい転職エージェントが応募書類の添削から面接対策までBIG4監査法人へのご応募をしっかりとサポート致します。ご興味のある方は下記よりお申込みください。
※公認会計士ナビの運営会社「株式会社ワイズアライアンス」のWEBサイトに遷移します。
※「公認会計士ナビの転職エージェントサービス」の詳細についてはこちら