会計士CFOに聞いたAI活用術、業務効率化や資料作成のポイントは?【第16回 公認会計士ナビonLive!!(3)】



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2026年2月28日(土)に、東京・茅場町にて第17回 公認会計士ナビonLive!!が開催されます。

本記事ではイベントに先立ち、2025年9月27日(土)に「~公認会計士と専門スキルの選び方~」をテーマに開催された第16回 公認会計士ナビonLive!!より、トークセッション「~CPAナビコミ presents~ CFOやコーポレート部門のための“ちょうどいい”AI活用ガイド」の様子をお届けします。

本セッションに登壇いただいたのは、メタバースを扱うスタートアップである、クラスター株式会社で取締役CFOを務める宇佐美和樹さん。「自社でもAIを駆使している」という宇佐美さんは、例えば、投資家とのコミュニケーションに用いる資料作成や、社内の問合せ対応にAIを活用しているようです。

クラスターではどのように“ちょうどよく”AIを活用しているのでしょうか。公認会計士限定のコミュニティ「CPAナビコミ」のコミュニティマネージャーである中島星が聞きました。

※本記事の登壇者の肩書・経歴等はイベント登壇時のものになります。
※本記事の内容は公認会計士ナビにてセッションでの発言内容に編集を加えたものとなります。

本記事の目次

メタバース・スタートアップのCFOが登場

中島(CPAナビコミ):最初に、宇佐美さんの自己紹介をお願いします。

宇佐美(クラスター):クラスター株式会社の宇佐美です。最近は会計実務からは離れているものの、2009年に合格した公認会計士です。
トーマツの金融監査部門でキャリアをスタートし、クライアントとしてメガバンクなどを担当していました。その後、KPMG FASに移り、企業再生やクロスボーダーM&A、デューデリジェンスなどに携わっています。
そこから転職してベンチャー企業のIPO支援や、スモールキャップのM&Aにおけるバリュエーション業務などに従事。その後、縁あって2022年にクラスターにジョインしました。肩書きは取締役CFOですが、「産業DX」分野の事業も管掌しています。

クラスター株式会社_取締役CFO_公認会計士_宇佐美 和樹 氏_登壇中の様子クラスター株式会社
取締役CFO/公認会計士
宇佐美 和樹

2009年公認会計士試験合格後、有限責任監査法人トーマツで金融機関等の法定監査に従事。退職後、株式会社KPMG FAS及び外資系証券会社にて、M&Aアドバイザリー業務を経験後、2015年に独立。 会計監査、IPO支援、M&Aアドバイザリー業務を中心に多様な業務に従事。2020年1月より株式会社ジラフ CFO/管理本部長に就任。2022年10月、クラスター株式会社 執行役員CFOに就任。

中島(CPAナビコミ):クラスターはどのような会社なのでしょうか。

宇佐美(クラスター):一時期バズワードにもなった「メタバース」を扱うスタートアップです。アバターを使って交流したり、ゲームを作ったり、音楽イベントを楽しんだりする「3DのSNS」のようなプラットフォームですね。
またクラスターのメタバースサービスは、「産業DX」としても活用されています。

中島(CPAナビコミ):産業DX?メタバースでですか?

宇佐美(クラスター):はい。近年、製造業や建設業、自治体において、工場や建物の「デジタルツイン」を活用して業務効率を改善したり、様々なデータを3D空間に集約してシミュレーションしたりする動きが活発になっています。クラスターも近年、この領域に注力しています。

クラスター株式会社_取締役CFO_公認会計士_宇佐美 和樹 氏_中島 星_登壇中の様子

AI活用で資料作成の業務効率アップ

中島(CPAナビコミ):メタバースがこのように活用されているとは知りませんでした。それでは、現在こういったお仕事をされている宇佐美さんが、AIをどのように活用しているのか、教えてください。

株式会社ワイズアライアンス_CPAナビコミ コミュニティマネージャー_中島 星株式会社ワイズアライアンス
CPAナビコミ コミュニティマネージャー
中島 星

上智大学卒。大学卒業後、プライム市場上場企業に入社。その後出版関連会社を経て、freee株式会社に入社。法人向けカスタマーサクセスチーム立ち上げの後に、IPO準備企業を中心に約200社のオンボーディングに携わる。その後、freee会計法人ユーザコミュニティ「つばめの巣」を立ち上げ。
現在は監査法人系コンサルティングファームでIPO準備企業支援に従事するかたわら、カスタマーサクセスコンサルタントとして複数社を支援している。

宇佐美(クラスター):今日、会場には会計士の方ばかりと聞いているので、「CFO」や「組織内会計士」という文脈で、AIの活用例をお話しさせていただきます。

例えば、投資家向けにピッチ資料を作成するときに活用しています。こういったケースでは、自社の情報に加え、市場調査や競合調査も必要になりますよね。英語をはじめとした外国語の文献を読んだり分析したりする必要もあります。ただそれをひとりですべてこなすには限界がある。そういった場合にAIの力を借りてレポートを作成しています。

中島(CPAナビコミ):宇佐美さんが実際にAIを使っている様子を動画に収めてきてくれたので、それを見ながら進めましょう。

(会場では動画が流れました)

宇佐美(クラスター):資金調達のためのピッチや投資家とのコミュニケーションの場面では、「競合と比較した現状」や「プロダクトの市場規模」について頻繁に質問されます。
これらをWebで検索して資料にまとめるのは非常に大変ですし時間もかかりますが、ChatGPTや、スライド・スプレッドシートを自動生成できる「Genspark」といったツールを活用すれば、時間を大幅に短縮可能です。

具体的にはまず、ChatGPTに「メタバースの市場情報を取得し、競合10社をピックアップし、そのマーケット情報をまとめた上で、自社が取るべきアクションをレポートにしてほしい」などと依頼します。
そうすると、自分で調べるよりも詳細な内容が、10~15分程度で出来上がってくるはずです。もちろんAIのアウトプットには間違いも含まれるので、検証は必要です。

次に、ChatGPTで出力した大量のレポート用テキストを、Gensparkに貼り付けて「こんな感じで資料を作って」と指示を出します。
(動画を指しながら)このように一部テキストが見切れてしまうといった問題もありますが、追加で指示を出せば修正が可能です。そうすると、人間が作ったドラフトと遜色ないレベルの資料が出来上がります。これを自社のテンプレートに合わせて調整する、といった感じで使っていますね。

体感としては、AIを使うと、導入前と比べて、作業時間を丸1日分ほど短縮できています。社内のSlack対応などをしている間にAIに作業をさせておけるので、並行処理ができる点も大きなメリットです。

クラスター株式会社_取締役CFO_公認会計士_宇佐美 和樹 氏_登壇中の様子

社内からの問合せを劇的に減らす、AI活用に大事なことは…!?

中島(CPAナビコミ):AIは対外的な資料作成だけでなく、社内のオペレーション改善にも使えるのではないですか?

宇佐美(クラスター):そうですね。CFOの役割は、資金調達だけでなく、管理部門のマネジメントも含まれます。そういう意味では、監査法人への対応や、社内からの質問対応にも活用できるでしょう。
例えば「収益認識に関するポジションペーパーの作成」や、最近話題の「新リース会計基準への対応」などにも使えるはずです。社内でこれらを一からドラフトできる人材は限られているので、これが成功すれば大きなインパクトとなるはずです。

また一般に、スタートアップは管理部門の社員が多くありません。経理は2~3人で担当しているケースも多く、通常業務をこなしつつ、社員からの日常的な質問を捌くのは非常に大変です。こうした課題を解決するために最近使っているのが「NotebookLM」というサービスになります。NotebookLMの特徴は、アップしたPDFやWebサイトのリンクしか参照させないようにできる点です。そのためハルシネーション(AIが事実に基づかない情報を、もっともらしく生成すること)を劇的に減らせます。

これを社内の問合せ対応や会計対応に活用すると効果的です。
例えば、就業規則や社内マニュアルをソースとして読み込ませておけば、「残業申請はどうやればいいか」といった社員からの質問に、自社のルールに基づいた回答を自動で提示してくれるようになります。

AIを活用した社内向けスライド会場で公開された画面の一部

中島(CPAナビコミ):「担当者が忙しいのではないか」と遠慮する時間も節約できますね。

宇佐美(クラスター):そうですね。
また、自社の契約内容が会計基準に照らしてどう判断されるかをひとつひとつ確認するのは、膨大な時間がかかります。
そこで、公表されている会計基準や適用指針、監査法人が公開している業種別の解説記事などをNotebookLMに読み込ませ、その上で「ソフトウェアの収益認識のポイントはどこか」と聞いたり、自社の販売契約条件をリストアップして質問したりすることで、基準に基づいた回答のたたき台を得られるようになります。

これにより、検討すべき論点の整理や、関連する条文の特定にかかる時間を大幅に削減できるようになるでしょう。クラスターでも実際に、経理チームが活用しています。
もちろん、最終的な実務上の判断については、自身での検討や監査法人との協議が不可欠である点はご留意ください。

中島(CPAナビコミ):AIには結論など最終的なアウトプットを求めるのではなく、論点整理や質問事項の整理に使うのが有効ということですね。

宇佐美(クラスター):はい。「まったく分からない」という状態から一歩踏み出すためのツールとして、AIは非常に優秀です。

中島(CPAナビコミ):本日は宇佐美さんに「CFOやコーポレート部門のための“ちょうどいい”AI活用ガイド」を教えていただきました。皆さんの役に立つ情報もたくさんあったのではないでしょうか。
宇佐美さん、本日はありがとうございました。

宇佐美(クラスター):ありがとうございました。

【参加受付中!】第17回 公認会計士ナビonLive!! 開催!

第17回・公認会計士ナビonLive!!の開催が決定!
「プロフェッショナルとしての立ち位置」をテーマに、「独立×社外CFO」「CFO・コーポレート責任者」「投資家・株主(ベンチャーキャピタル)」「コーポレートガバナンス系役員」といった分野にフォーカスをして公認会計士の方々にお話を伺い、みなさんとの交流の機会をお届けする予定です。みなさまのご参加お待ちしております!

イベント概要を見る

執筆:雨見 隠

この記事の著者

雨見隠

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会計業界専門ライター。大学院在学中に公認会計士試験に合格。有限責任あずさ監査法人、有限責任監査法人トーマツを経て独立。ふたつのBIG4監査法人での監査経験等を活かして、会計分野の記事を中心に執筆活動中。

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