2022年6月の会計士業界ニュースをお届けします。
「現役プロ棋士が会計士との両立に挑戦」「デロイトトーマツコンサルティング情報漏洩」「アーク監査法人富山に新オフィス」「役員関与の会計不正が6割増」の4本です。
現役プロ棋士が会計士との両立に挑戦
元阪神タイガースの奥村武博氏のように、野球を極めた後に会計士試験に合格し活躍する人がいます。プロフェッショナルからプロフェッショナルへの転向は、誰でも真似できるものではありません。ですが、異業種の2つの世界で、プロフェッショナルとして同時に活躍している人がいると言うのです。
今回、プロ棋士と会計士を両立する船江恒平六段に関する記事が、日本経済新聞からリリースされています。
ゲーム会社に就職、公認会計士、AI(人工知能)開発――。「二刀流」に挑む将棋のプロ棋士がいる。
【引用元:ゲーム会社・会計士… 将棋プロ棋士「二刀流」で活躍中(日本経済新聞 2022年6月6日付)】
記事では、他分野の仕事と両立しながら活躍する棋士たちが紹介されていますが、そのうちの一人、船江恒平六段は、2021年に公認会計士試験に合格し、準大手監査法人で非常勤職員として働いているそうです。
2021年に船江氏が公認会計士試験に合格したときの様子が、朝日新聞デジタルで紹介されています。
棋士を続けながらの会計士試験合格そして会計士業務との両立など、凡人では真似できない偉業です。一方で、監査と将棋はまったく別の世界ではありますが、効率よく計画を組み立てたり将来を読む力など、共通で活かせる点は多いのかもしれません。
デロイトトーマツコンサルティング情報漏洩
秘密保持が厳しく定められているコンサルティングファームが、競合他社に秘密を漏洩した事実が発覚しました。
今回、デロイトトーマツコンサルティングの情報漏洩に関する記事が、日本経済新聞からリリースされています。
デロイトトーマツコンサルティングは、コンサルティング契約を結んでいたイオンの秘密情報が社内から漏洩していたと発表した。
【引用元:デロイト系コンサル、イオンの秘密情報を漏洩(日本経済新聞 2022年6月17日付)】
記事によると、DX戦略の内部資料の一部をセブン&アイ・ホールディングスに無断で提供したことが判明し、デロイトトーマツコンサルティングがイオンに謝罪したと伝えられています。
情報漏洩の経緯、デロイトトーマツコンサルティングからイオンへの説明、今後の対応について、イオンからリリースが出されています。
一方で、デロイトトーマツコンサルティングからも同日付でリリースが出されています。
守秘義務という根本的な義務を守れなかったデロイトトーマツコンサルティングに対して、今後、同社のクライアントがどのような反応を見せるのでしょうか。
アーク監査法人富山に新オフィス
アーク監査法人は1982年に設立し、40年の歴史を持つ中堅監査法人です。
今回、アーク監査法人の新オフィス設置に関する記事が、日本経済新聞からリリースされています。
アーク有限責任監査法人(東京・新宿)は7月1日、富山市内にオフィスを設ける。
【引用元:アーク監査法人、富山にオフィス 北陸企業開拓(日本経済新聞 2022年6月22日付)】
記事によると、今回の北陸への進出で、富山県と石川県の上場企業を中心に、監査業務の受託先を広げると伝えられています。
東京本社のほか、2019年に浜松オフィスを開設し、札幌オフィス、大阪オフィス、富山オフィス、静岡オフィスと、次々と拠点を拡大しているアーク監査法人。大手監査法人から中小監査法人への監査人交代事例が増加する中、アーク監査法人は拠点とともに契約数も伸ばしていくのでしょうか。
役員関与の会計不正が6割増
当初はコロナが収束するまでの臨時対応と思われていましたが、すっかりリモート監査も根付いた感があります。
今回、会計不正に関する記事が、日本経済新聞からリリースされています。
日本公認会計士協会は27日、2022年3月期(22年3月末までの1年間)に会計不正を公表した企業が31社だったと発表した。前の期から6社増えた。
【引用元:22年3月期会計不正31社、前年比6社増 役員が半数関与(日本経済新聞 2022年6月27日付)】
記事によると、会計不正案件の約半分は役員が関与する案件が占めており、同案件は前期より約6割増加していると伝えられています。また会計不正の内容は、新型コロナにより業績悪化で売上高の過大計上など収益関連の比率が高かったということです。
公認会計士協会から、上場会社等の会計不正の動向についてPDFが公表されています。
2023年3月期は、国内国外拠点への内部監査も回復傾向にあります。コロナ禍で見過ごされてきた会計不正が、2023年3月期で一気に発見されて、さらに件数が増加する可能性は否めません。
以上、今月の業界ニュースでした。
なお、今回、取り上げた記事はこちらの4本です。詳細は以下の記事をご参照ください。
今回取り上げたニュース
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)