岐路に立ったら、心が動く方を選ぶ。会計士こそ、“好き“を仕事にできる職業(公認会計士のリアル 第12回:村瀬 功)

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好きを仕事にすること、得意を仕事にすること。さらには、それらが相手から求められることであれば、なんと幸せな仕事人生だろう。
公認会計士という資格を活かし、自分の好きな業界に専門特化した仕事をしている村瀬功は、まさに幸せな仕事人生を歩むひとりだと言える。

なぜ好きを仕事にできているのだろうか。

村瀬のキャリアを辿りながら聞こえてきた、「会計士こそ、好きを仕事にできる職業」という言葉の真意について、迫った。

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村瀬 功(むらせ いさお)
株式会社SOTO CFO 代表取締役/公認会計士、認定事業再生士

1980
年、富山県生まれ、広島県育ち。東京大学経済学部卒。公認会計士・認定事業再生士。2003年公認会計士2次試験に合格、優成監査法人入社。2012年、株式会社AGSコンサルティングに入社し、事業再生を中心としたコンサルティング業務に従事。2014年、スノーリゾートを運営する株式会社マックアースに入社し、2016年、同社取締役CFO兼管理本部長に就任。2020年、合宿施設やキャンプ場運営を行う株式会社R.project入社。取締役CFOに就任。
2021
年、株式会社SOTO CFOを設立。社内にCFO(最高財務責任者)が居ない中小・ベンチャー企業に対して、社外の立場からCFOの機能を担う、アウトドアビジネス専門の社外CFOサービスを展開している。

一時的に収入が落ちることは、リスクではない。

村瀬功の好きは、アウトドアだ。自然の中で過ごす時間が何より好きで、その時間こそが、「心や人生を豊かにする」と明言する。自身の会社SOTO CFOでは、『日本のアウトドアレジャーを元気にし、心豊かな生活の創造に貢献する』をミッションに掲げるほどだ。

アウトドアに特化した会計士。一度耳にしたら忘れないユニークなキャリアであり、おそらく日本で唯一の公認会計士だろう。 

しかし、そんな村瀬のキャリアも、監査法人に入社しマネジャーまで務め、コンサルティングファームに転職するまでは、会計士として珍しいキャリアパスではない。その後、事業会社に転職するタイミングで、好きに導かれ始めたように見える。

村瀬に「どうしたら好きを仕事にできるのか?」と率直に訊ねた。
すると、「会計士の場合」と前置きをして「リスクをどう捉えるか」だと答えた。会計士は仕事柄、リスク回避の思考が強いのだと言う。だからこそ、例えば監査法人を出て、自分が何か新しいチャレンジをしようとするときに、何もかもがリスクに見える。

わかりやすくは、収入だ。「独立してすぐに売り上げが上がらなければ、一時的に収入は落ちます。それをリスクと捉えるかどうかなんです。監査法人時代に貯金しておけばいいわけだし、僕はリスクとは思わないですね」と村瀬は言った。

村瀬功氏_株式会社SOTOCFO_代表取締役_公認会計士_認定事業再生士2

では、村瀬にとってのリスクとはなんだろうか。

すると「やりたいことがあるのに、チャレンジしないこと。それから、収入の点で言えば、資金が底を尽きるほど売り上げが上がらないのはリスクかなぁ」と答えた。

そしてこう続けた。「でも、会計士である以上仕事はある。仕事がなくなって稼ぎがなくなるっていうことはあり得ないから、リスクにはならないかなぁ。会計士ってすごく恵まれた仕事ですよ。」

監査や税務にコンサルティング、特に監査は公認会計士にしかできない仕事だ。チャレンジをしながら、公認会計士としての業務を請け負うのも手だということだろうか。
村瀬は頷きながら「会計士ならまず、やってみたらいい。何とかなりますから」と笑った。 

自分が入ることで状況を好転させる。そういう仕事がしたい。

とは言え、村瀬の好きは、アウトドア。現在は、アウトドア業界に特化した外部CFOという新たなサービスを立ち上げて2年目に入ったところで、独立前に経験している事業会社2社はどちらもアウトドア業界だ。好きに忠実とも言える一方で、アウトドアは、コロナの影響をまともに受けている業界のひとつだろう。楽な道のりではなかったはずだ。

事業会社1社目となった、スキー場運営の国内最大手・株式会社マックアースには、2014年に入社した。上場を目指しており、その準備は村瀬の重要な仕事だった。「上場準備は、一般的な中小企業であれば必要のないことですが、拡大を目指している途中で、自分の役割があると思った。自分が入ることで会社と一緒に成長できればと思ったんです。」

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結果的にマックアース社は上場を延期したものの、村瀬は会社を去ることなくCFOに就任し、体制を再構築することに力を注いだ。そして、「自分がいなくても会社はうまく回っていくだろうと思えた」タイミングで、次の場所を求めることになった。

事業会社2社目となる株式会社R.projectは、宿泊施設やキャンプ場を運営する会社で、2020年1月にCFOとして入社をした。日本で最初のコロナ感染者が確認されたのが2020年1月ということを考えると、コロナと共にR.project社でのキャリアをスタートさせたことになる。

実際、「入ってすぐに当初想定していた状況とガラリと変わった」と村瀬は明かした。つまりコロナの影響を受け続ける中で、経営の舵取りを考えなければいけなくなったというわけだ。

厳しい中でも拡大を見込んでアクセルを踏む領域と、ブレーキをかけながら我慢する領域を見極めて、どうパワー配分していくか見極めることも、村瀬の仕事になった。その状況を、「正解のない決断の連続は、事業運営の当事者だからこその醍醐味だと思う」と村瀬は話した。

上場準備のために入社したものの、軌道修正後の体制構築に力を注ぎ、コロナの影響をまともに受ける会社でパワー配分を考える。上場を達成したという実績や、キャピタルゲインを得ることを見据えて、上場準備の役割を求める人もいるだろう。そういう点では、チャンスを逃したようにも見えるが、本人は全く残念がる様子もない。

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 「来年上場するから今が入社のチャンスといった考え方には、興味がないんです。そのポジションなら僕じゃなくてもいいと思う。簡単にいかないことでも、自分が入ることで好転させられたらいい。そういう仕事をしたいんです。」

この言葉から想起するのは、村瀬が監査法人を出ることを決めた理由だ。「顧客へ貢献していることの充実感」も「信頼性を保証する仕事への誇り」も感じていたが、どこまでも当事者になれない・過去をチェックするばかりで未来を描く仕事ではないことへの違和感を見過ごせなくなったというのだ。

自分が当事者となって、不確実な未来を確かなものにしていく。CFOとしての2社もそうだっただろうが、自身で始めたSOTO CFOには、その想いは一層強く込められているのだろう。

プロフェッショナルCFOから、CEOへ。

しかし、SOTO CFO 社は、外部CFOとして企業をサポートすることを主としている。
「当事者としての葛藤の有無が、事業会社と監査法人との違い」と語るにもかかわらず、なぜ外からの関わりを選んだのだろうか。

すると「CFOを経験する前だったら考えなかった事業かもしれません。当事者としてやってきた経験を活かして、複数の会社にCFOとして貢献したいと思ったんです。今の自分ならきっと、クライアントに対して深く入り込めると思ったから」と笑顔を見せた。

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その様子から、好きを大切にしながらも、どんな経験も自分のものとしてキャリアに反映させてきたことが想像できる。
今後はどんなチャレンジを目論んでいるのだろうか。話を未来に向けると、「うーん、ちょうど今考えているところなんですよね」と言葉を選ぶようにゆっくりと話し始めた。

「アウトドア業界に特化した外部CFOとして、ひとりで道を拓いていくという、当初のイメージもあるんですが、自分の会社組織をつくって大きくしていくというのもあるよなぁと。専門家としてひたすら極めていくよりも、会社を経営することに踏み出してみようかとも考えています。」

それはなぜなのだろうか。

「これまで、当事者としても外部パートナーとしても、CFOとして会社経営に携わってきました。でも、CFOってどこまでいってもCEOを支える立場なんですよね。CEOのことはわかろうとしてもよくわからない面もある。自分でCEOをやってみない限りわからないと思う。
だから、0から生み出す、これをやり遂げるんだと世間に示す、CEOという役割に挑戦してみようと思う。もちろん、経験したいということだけでなくて、自分が会社を大きくできるのか、やってみたい。」

そう話す間にも、村瀬の言葉はどんどん力強くなっていった。村瀬はこれからきっと、自身の会社づくりに乗り出し、CEOとしてさまざまな経験を積んでいくのだろう。

「岐路に立ったら、心が動く方を選ぶ。そこでちょっと背伸びすることを大事にしたらいいと思うんです。大きな一歩じゃなくて、これまでやってきたことを活かして小さな一歩でも半歩でも重ねていくイメージ。そうすれば振り返ったときに、想像もしなかった場所に辿り着きますから。」

村瀬の未来は、自身のこれまでを振り返った言葉に、表れていた。

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取材・執筆:伊勢真穂
撮影:山本マオ

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【伊勢真穂/公認会計士ナビ チーフライター】 スペイン生まれ、伊勢志摩育ち。立命館大学卒業後、会計業界専門の転職エージェントでキャリアをスタート。組織人事コンサルティング会社のリンクアンドモチベーションを経て、フリーのインタビューアー/ライターへ。当初はビジネスメディアを中心に執筆をしていたが、現在は、雑誌『Forbes JAPAN』『ソトコト』『dancyu』『WWD JAPAN』やweb『GINZA』など、ビジネスやカルチャー・フードにファッションと、幅広いジャンルで執筆を行なっている。

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