2022年3月の会計士業界ニュースをお届けします。
「デロイトコンサル元幹部に部下引き抜きで賠償命令」「EY片倉理事長WOMEN AWARD 2021受賞」「BIG4がロシア事業撤退」の3本です。
デロイトコンサル元幹部に部下引き抜きで賠償命令
コンサルティング業界は人の出入りが激しいイメージがあります。そのような業界での引き抜きに、多額の賠償命令が下されたことについて、驚きを隠せません。
今回、デロイトトーマツコンサルティング元役員への訴訟に関する記事が、共同通信社からリリースされています。
複数の従業員に違法な引き抜き工作をしたとして、デロイトトーマツコンサルティングが競業他社に移籍した元幹部に、計約1億2千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は16日、「社会的相当性を逸脱した背信的な引き抜き行為」とし、約5千万円の支払いを命じた。
引用元:従業員引き抜き、賠償命令 デロイト元幹部に東京地裁(共同通信社 2022年2月17日付)
また、朝日新聞からも記事がリリースされています。
判決によると、被告の元役員の男性は2018年、原告のデ社を退社し別のコンサル会社に入社。19年には元役員の部下ら4人も、元役員と同じ会社に転職した。
引用元:部下らの引き抜き「背信的」、コンサル大手元役員に5千万円賠償命令(朝日新聞 2022年2月17日付)
記事によると、被告の元役員は、全面的に不服として控訴する方針だと伝えられています。
これに関連して、デロイトトーマツコンサルティングからもリリースが出されています。
デロイトトーマツコンサルティングの社員約2,600人のうち引き抜かれたのはわずか4人ですが、手口が社会的相当性を逸脱していると判断されたようです。今後も訴訟が継続することになりそうなので、引き続きウォッチしていきたいと思います。
詳細は以下の記事をご参照ください。
EY片倉理事長WOMEN AWARD 2021受賞
公認会計士協会では女性会員の活躍を積極的に推進しており、各監査法人でも社員一人ひとりが活躍できる環境作りに取り組んでいます。その流れを受けて、会計士業界は女性が働きやすいというイメージが広まっているのか、近年、女性の公認会計士試験合格者の比率は増加傾向にあります。
このような中、EY新日本監査法人の片倉理事長へのインタビュー記事が、Forbesからリリースされています。
3月8日の「国際女性デー」を記念して、Forbes JAPANが実施した「WOMEN AWARD 2021」の受賞者インタビューを特別掲載。トップバッターは、「ブレイクスルー賞」を受賞したEY新日本有限責任監査法人の理事長、片倉正美。無意識のバイアスに挑み、多様性ある職場環境の形成に寄与したとして同賞に選出された。
引用元:大手監査法人で最年少かつ女性初のトップ。EY新日本・片倉正美の挑戦(Forbes 2022年3月7日付)
記事では、片倉氏が、新人時代に影響を受けた女性会計士のエピソードを紹介し、自身が女性活躍のロールモデルと称されるまでの経緯が伝えられています。
この記事を読めば、片倉氏の格好良さと女性会計士活躍に向けての情熱に触発されて、もっと出世をして活躍したいと思う女性会計士の方が増えるかもしれません。
詳細は以下の記事をご参照ください。
BIG4がロシア事業撤退
連日のようにロシアのウクライナ侵攻のニュースが報道されています。日々激化する戦況を不安に思われている方は多いのではないでしょうか。
今回、PwCとKPMGのロシア事業撤退に関する記事が、3月7日付けで日本経済新聞からリリースされています。
国際会計事務所のプライスウォーターハウスクーパース(PwC)とKPMGは7日までに、ロシア事業から撤退すると明らかにした。
引用元:国際会計大手PwCとKPMG、ロシア事業撤退へ(日本経済新聞 2022年3月7日付)
また、翌日の日本経済新聞で、EYとデロイトのロシア事業撤退に関する記事もリリースされています。
大手国際会計事務所のアーンスト・アンド・ヤング(EY)とデロイトは7日、ロシア事業から撤退するとそれぞれ発表した。ロシアのウクライナ侵攻を受けて関与は続けられないと判断した。
引用元:EYとデロイトもロシア撤退へ 4大会計事務所が足並み(日本経済新聞 2022年3月8日付)
これらの記事によると、KPMGはロシアとベラルーシから撤退、PwCはロシア11都市の拠点から撤退、EYはロシアに4,700人強の従業員がいましたが撤退、デロイトもロシアとベラルーシで約3,000人の従業員がいましたが撤退すると伝えられています。
BIG4は、3月7日付けで足並みを揃えて撤退を発表しており、ロシア及びベラルーシに対してサービス提供はしないという、断固とした姿勢を見せています。一般市民や原発への攻撃が続き、世界経済に対する不安は大きくなっています。経済制裁と両国の対話で、一刻も早く収束することを望みます。
詳細は以下の記事をご参照ください。
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)