こんにちは、公認会計士ナビ編集部です。
今日はクラウド会計ソフトで有名なfreeeさんにお邪魔しています。
みなさんの中には、そろそろ独立して税理士登録しようと考えている方もいるかもしれません。会計士登録のときは、監査法人に勤務していれば大勢の同期と相談しながらできたり、監査法人からのサポートもあったりと、登録にさほど苦労した記憶はないですよね。
ところが独立に向けての税理士登録はひとりで行ううえに、手続きも煩雑で大変です。実は筆者自身も、税理士登録の書類提出で苦労した経験があり、面倒すぎて途中で挫折しそうになりました。
そんな税理士登録の手続きをスムーズに行えるサービス、税理士登録freeeがfreee株式会社よりリリースされました。なんとこのサービス、無料で利用できます!
というわけで、税理士登録の流れや、税理士登録freeeを使うとどう手続きが便利になるのか、freeeさんに聞いてきました。
今回、お話を伺ったのはこのおふたりです。
まずは、公認会計士で税理士登録もされている高木さん。
以前、税理士登録の解説記事でも登場いただきましたが、高木さんご自身が税理士登録を行い、この煩雑な手続きを簡単に行いたいと考えた結果、税理士登録freeeのサービスを発案されました。
高木 悟(たかぎ さとる)
freee株式会社
プロダクトマネージャー/公認会計士・税理士
1988年生まれ。京都市出身。2011年公認会計士試験合格。新日本有限責任監査法人にて、IT業・不動産業等の会計監査・内部統制監査等の業務に従事。2014年よりfreee株式会社に参画。freeeではユーザーサポート・導入支援・マーケティングを経験し、現在はプロダクトマネジメント業務に従事している。2017年、税理士登録。
そして、税理士登録freeeの開発プロジェクトにおいてプロジェクトマネージャーを務める林さんです。
林 寛之(はやし ひろゆき)
freee株式会社
プロダクト戦略本部
1977年生まれ。リクルートでUXデザイナー、プロダクトマネージャーとしてメディア開発に従事。2018年よりfreee株式会社に参画。税理士登録freeeのプロダクトマネージャーを担当。
煩雑な税理士登録手続きを楽にしたい!実体験からサービスを発案
書類提出の準備から登録完了まで数ヶ月!?煩雑な税理士登録とは?
-今回リリースされた税理士登録freeeとはどのようなサービスなのでしょうか?
税理士登録freeeは、PCやスマホから無料で使えるサービスです。
税理士登録に必要な書類を教えてくれ、書類の取り寄せ方や書き方もナビゲートしてくれたり、また、提出書類の作成も行うことができます。
これから独立開業する方が、税理士登録から開業まで楽に行えるサービスを提供するのが税理士登録freeeです。
-税理士登録freeeを開発した経緯を教えてください。
私自身、税理士登録を経験していまして、公認会計士ナビさんの記事(税理士登録ってどうやるの?会計士が税理士登録するまでのリアルな手順を公開!)でも取り上げていただいたのですが、そのとき苦労した経験が税理士登録freee開発の原点です。
弊社は会計士さんや税理士さんとパートナーシップを組みながらビジネスを行っていることもあり、みなさんが抱える開業に関する課題を弊社が解決できないものかと思い、開発に踏み切りました。
-税理士登録の手続きはどれくらい大変なのですか?
私の場合、はじめは簡単に手続きできると思っていたのですが、日本税理士会連合会のサイトで登録の手引きをダウンロードして調べているだけで数ヶ月たってしまって……。
それから1ヶ月かけて書類を準備したのですが、提出したところ書類の不備で差し戻しがあり、翌月に提出し直してようやく書類が受理されて、その翌月に税理士会の面接がありました。
そのさらに翌月にようやく登録が完了したのですが、気が付くと思い立ってから登録完了まで半年以上経過していました。
-半年以上も!?
まぁ、実際に手続きに着手するまでにかなりの時間が経ってはいるのですが(笑)。
ただ、私も会計士なので、手続きを調べたり書類を作成したりすることに抵抗はないのですが、それでも手続きの全体像を理解して、何をすべきか整理するのが大変で。最初に税理士登録の手引きのページを見て、あまりのボリュームと複雑さにため息が出てしまいました。
その後、freeeで働きながら有給休暇を使って書類を用意したり税理士会の面接を受けたりしていたのですが、会社の理解があってもこれだけ大変なので、普通に働きながらだと正直厳しいと思いましたし、これでは会計士の方も開業したくても登録に時間がかかり不便なのではとの問題意識がありました。
-税理士登録の手続きは、具体的にはどのようなところが大変なのでしょうか?
まず、登録に関する情報は集約されていなくて、自分で調べようとするととても手間がかかります。日本税理士会連合会のホームぺージを見ると印刷すると数センチにもなる分厚い手引きがあって、全部読んでから全体を俯瞰しながら準備するのは、非常に高度な技術と情報収集能力が求められると思いました。
また、役所から取り寄せる資料も複数あり、例えば、本籍地から資料を取り寄せる必要もあるのですが、私の場合は本籍が地方にあったので、本籍地の情報を調べたり、役所に問い合わせたりする必要がありました。
登録に必要な資料がその人の属性によって違うので、日本税理士連合会の規則を類推して適用しなければならなかったりと、情報を収集するのが大変手間でした。
-役所の書類は、平日の日中しか電話対応していなかったり、郵送でも返送してもらうのに1週間以上かかるものがあったりしますよね。
そうなんです。郵送でもできますが、行くなら平日に行かないといけません。そういったところも時間と手間がかかる一因になっています。お仕事をしながら税理士登録をされる方も多いと思うので、少しでも楽に資料が取寄せられるように税理士登録freeeでは必要な手続きや書類をナビゲートしています。
税理士登録freeeへの想い、開発の裏側とは!?
-開発はどのようなメンバーで行われたのでしょう?
チームには、デザイナー・エンジニアがいる他、複雑で専門性が高い領域なので、税理士登録の経験がある人間が仕様を決める担当者としてついています。高木にも、アドバイザーとして最終の仕様を確認してもらい、実際にどの辺りが大変なのか生の情報をメンバーに共有してもらっています。
-プロダクトを思いついてから社内で実現に至るまでの流れはどうだったのですか?
私の実体験からこんなに大変だということを伝え、解決すべき課題も明確でしたので、プロダクト化はスピーディーに決まりました。
-このようなニッチな領域のプロダクトにリソースを割くことは社内ではすぐゴーサインが出たのですか?
確かに、会計業界の中でも税理士登録という分野にフォーカスしたプロダクトはニッチですし、普通の会社ですとここに注力することはあまりないと思います。
ただ、弊社のサービスは特に若手の税理士、公認会計士の方に多く活用いただいており、お客様に新しい価値を提供するためにご自身も最先端のテクノロジーであるクラウドサービスに関心を持つ方が多くいらっしゃいます。そういった方々に、開業を検討されている段階から、実際にfreeeのプロダクトの素晴らしさをまずはご自身で体験して欲しいと考えています。
私たちは、ユーザー様を感動させる体験を大事にして開発を行なっています。今回の税理士登録freeeは、税理士や公認会計士の方に「こんな手間がかかることをfreeeなら簡単にやってくれる!」という感動を、開業時のごく初期の段階で感じていただきたいです。
freeeのプロダクトを実際に使って、良いイメージを持ってくださったパートナー様に伴走できることは、弊社にとってはとても意義のあることだと思っています。その点で経営陣も現場のメンバーも賛同してくれ、スピーディーに開発に取り組むことができました。
税理士登録freeeを使ってみよう!こんな便利な機能が!
必要な書類が一目でわかる、税理士登録freeeがナビゲート
-税理士登録freeeの機能を、具体的に教えてください。
税理士登録する人の属性を入力すると、その人に必要な書類や書類の取り寄せ方、書き方を教えてくれます。
税理士登録は人によって必要な書類が少しずつ違うため調べるのに苦労するケースが多く、人によっては1ヶ月ぐらいかかる方もいると聞いていますが、税理士登録freeeを使えば調べる手間がなくなります。
-税理士登録に必要な書類の組み合わせは、そんなにたくさんあるのですか?
はい。まず、「公認会計士」「会計士試験合格者」「税理士試験5科目合格された税理士有資格者」「税理士試験免除による有資格者」など、税理士として登録できる資格をどのように得たかによって資格証明書類をはじめとする必要書類が違ってきます。
また、「税理士会の地域」によって微妙に書類の様式が異なる書類もあります。
さらに、「開業税理士」「社員税理士」「所属税理士」といった税理士の登録区分による違いもあり、それらの区分によっても必要な書類が変わってきます。
-仮に提出書類に不備がある場合はどうなるのでしょうか。その場で直すこともあれば、後日また提出に出向かなければならないこともあるのでしょうか?
はい、簡単な誤字程度でしたら訂正印で直せますが、不備の内容によっては再度提出に出向く必要があります。
私のときは法務局で取得した書類に不備があり、法務局に出向いてその書類を取得して再提出しました。しかも、締め切りタイミングの関係で受理が翌月末へと1ヶ月遅れてしまいました。
中には完璧にできる方もおられるのだと思いますが、私のようにすべての提出ルールがクリアできず差し戻しになるリスクも高いと思います。
-書類の記載ルールが細かく大変ですよね。
そうですね。書類の取り寄せもそうですし、例えば、住所も住民票通りの表記で書かないといけないなど、各所に細かいルールがたくさんあります。私が登録したときは細かなルールが100個くらいあるように感じましたね(笑)
税理士登録freeeでは、チェックリスト形式で網羅的に必要書類を提示し、こういった失敗が起こらないように入力時にナビゲートします。システムで必要書類をチェックし、記載方法をナビゲートすることで、入力を間違える心配や、悩んだり調べたりする負担を大きく減らすことに成功しています。
税理士登録の申請書以外に職務経歴書など付随して提出する書類も作成できるので、かなり便利だと思います。
-システムでナビゲートしてくれるのはありがたいですね。ちなみに地域によって必要な書類などは違うのですか?
地域によって一部の書類や書類の取り寄せのプロセスが違います。今回のリリースでは、東京税理士会で提供される手引きベースでサービス提供していますが、税理士登録申請書の作成や全国の税理士会で共通の資料が大半のため、東京税理士会以外の皆さんにもご活用いただけるかと思います。
手書きの負担を軽減。税理士登録freeeから書類の印刷も
-税理士登録freeeで作った資料はそのまま提出できるのですか?
はい、入力した情報を提出書類の形式に出力してそのまま印刷できるようになっています。
-書かなくていいのは非常に助かります!税理士登録申請書は書くボリュームが多いし、同じ内容を5枚も書かないといけないし、とにかく面倒だった記憶があります。
そうですよね、私も腱鞘炎になりそうでした(笑)。
-税理士登録freeeではすべての書類を作成して印刷ができるのですか?
いえ、一部の書類は税理士登録freeeではなく敢えて手書きで書いていただくようにしてあります。
というのも、税理士登録の申請書類では、オフィスの間取図などを記載する書類がありまして、それらは手書きのほうが書きやすいので、システム完結にこだわるのではなく、ユーザーの方が税理士登録全体で快適かつスムーズに必要書類を作成できるよう設計しました。
税理士登録だけじゃない、開業の準備までまとめてサポート
-税理士登録freeeから、開業届まで作成できると伺いました。
はい、税理士登録のサービスをご利用いただければ、開業届もPC、スマホ上で作成することが可能です。
独立を考えている方は、税理士登録だけではなく開業届を出してようやくビジネスのスタートラインに立てるので、弊社内にある開業応援サービスを使いながら、税理士登録後のサポートもしていこうと考えています。
-開業に必要な書類まで作成できるのは独立希望の人には特に嬉しいですね。
そうですね。freeeでは、独立希望の税理士や公認会計士の方向けに「独立開業サポート」を用意していますので、税理士登録freeeと併せてそちらもご利用いただけるとより独立がスムーズになると思います。
税理士登録からの流れでfreeeの会計事務所向け製品へのお申込みをいただくと、記帳代行用の使い放題プランが通常料金よりも割引になったり、集客サポートやお仕事紹介などのサービスが無料で受けられたり、オフィス用品の割引特典あったりと、ワンストップで様々なサービスがご利用いただけます。
先輩や友人から話を聞くと、ビジネスの基盤を持たずに独立して、どうやって顧客を獲得したらよいのか不安を抱えている人が多いように感じます。また開業時は、ホームページ、名刺、ロゴ、会計ソフト、PC及び周辺機器など必要なものが数多くあり、調達の手間とコストに関しての不安もあります。
独立をされる方には、営業活動など売上に直結することになるべく時間を使っていただくのが良いと思っていますので、税理士登録手続きも含めて、独立準備を手軽に済ませたいと思っている方にとっては、ワンストップで済むのは価値があると考えています。
また、営業や収益面のサポートとしては、当社の税理士紹介サイト「税理士検索freee」に掲載いただける他、ブリッジコンサルティンググループ株式会社さんと提携し、非常勤案件やfreeeの導入を検討している事業者様の導入支援のお仕事などもご紹介しています。
独立開業サポートにお申込みいただくと、弊社の営業が他の会計事務所さんの成功事例などを交えて、集客の不安などのお悩みに対して解決策をご提示したりしながら、サポートさせていただきます。
-税理士登録から開業まで一貫して支援してもらえて、開業に専念できるのはありがたいですね。本日はありがとうございました!
ありがとうございました!税理士登録freeeを使ってひとりでも多くの方に税理士登録の負担を減らしてもらえると嬉しいです!ぜひご活用ください。