独立されている公認会計士や税理士の方々は業界の情報をどのようにアップデートしているでしょうか?
「弥生会計」でお馴染みの弥生株式会社様(以下、弥生)では、税理士や公認会計士の方々などを対象にしたアドバイザープログラム「弥生PAP」(やよいぱっぷ)を運営されており、その会員の皆様向けに弥生PAPカンファレンスを年2回開催されています。
この弥生PAPカンファレンスは、毎年、全国複数都市にて開催され、会計事務所業界の最新動向や弥生製品やサービスに関する最新情報をアドバイザーの方々に提供し、毎回、多数の弥生PAP会員の方々が参加されます。
2018年は東京、大阪、名古屋、福岡、広島の5会場にて開催されましたが、本記事では、その中から2018年6月20日(水)秋葉原にて開催された 弥生PAPカンファレンス2018 夏(東京) の模様をお届けします。
数百人の公認会計士や税理士が参加!盛況の東京会場
年2回、毎年継続的に開催されているイベントですが、東京会場は今回、定員の150%の申込みがあり、増席して開催される盛況ぶりでした。
今回のカンファレンスは、弥生関連のサービスの最新情報、会員会計事務所の事例発表などが行われました。
【弥生PAPカンファレンス2018 夏(東京)】
- 弥生の最新サービス、機能のご案内
- 弥生PAP会員による事例発表
- 1:自計化で業務効率を図る運用事例発表
- 2:記帳代行で業務効率を図る運用事例発表
- デモンストレーション
- 会計事務所向け弥生連動ソリューションのご紹介
- アルトア オンライン融資サービスのご紹介
なお、今年は『弥生PAPカンファレンス 2018 夏&全国キャラバン』と題して、弥生PAPカンファレンスとは別に、「全国キャラバン」という初のイベントも開催されています。
全国キャラバンは全国16会場で開催する研修会であり、話を聞くことが中心であるカンファレンスとは趣向を変え、実際に弥生製品を操作していただき、どう業務効率化につながるかを実感頂くイベントです。
参考:『弥生PAPカンファレンス 2018 夏&全国キャラバン』 開催のご案内:弥生株式会社
ユーザー、アドバイザーともに増加!弥生会計の現状と今後の計画
弥生会計のユーザー、PAP会員ともに順調に増加
それでは、弥生PAPカンファレンスの内容に移りましょう。
カンファレンスでは、まず初めに弥生会計の現状が発表されましたが、弥生会計の累計登録ユーザーは170万件へと増加しています。
弥生PAP会員も8,626件へと増加しており、弥生会計ユーザーはもちろん、弥生のパートナーも順調に増加しています。
また、弥生会計の新規購入ユーザーの42.25%が購入理由に「弥生PAP会員による推奨」を挙げるなど、PAP会員の増加による効果も着実に出ているとのことです。
【ポイント】
- 弥生製品の累計登録ユーザー数:170万件(2018年4月末現在)
- 弥生PAP会員数:8,626会員(2018年4月末現在)
- 弥生会計の新規購入ユーザーの42.25%がPAP会員による推奨を理由に購入
会計事務所向けの「記帳代行支援サービス」の開発も進行中
これからの業務「業務3.0」の実現に向けて
また、カンファレンスでは、弥生が目指す「業務3.0」への進捗も発表されました。
「業務3.0」とは、弥生が標榜するこれからの業務プロセスであり、テクノロジーを利用し業務プロセスを自動化・効率化する次世代の業務プロセスモデルです。
弥生では、この業務3.0の実現へとつながる、様々なWEBツールも提供しており、その進捗も発表されました。
【スマート取引取込】
金融機関のデータ等を取り込み弥生会計と連携できるスマート取引取込は、これまで、約2,100の会計事務所、約42,000のお客様に利用され、約1,600万明細が自動仕訳に登録されています。(2018年4月実績)
【弥生ドライブ】
クラウド上でデータ管理や受渡しが行える弥生ドライブも、約5,500の会計事務所、約229,000のユーザーに活用されているなど、着実に進捗が進んでいます。(2018年4月実績)
このように、弥生のWEBサービスの利用も順調に拡大しており、業界全体でクラウドなどのWEBサービスを利用する会計事務所が増えつつあることが伺えます。
会計事務所の記帳代行業務を弥生が支援
そして、会計事務所にとって興味深いサービスのひとつでもある、会計事務所向けの「記帳代行支援サービス(仮称)」も開発が進行中とのこと。
会計事務所にとって、記帳代行は避けて通れない業務である一方で、価格競争も厳しく利益が確保しにくい業務である側面もあります。そういった記帳代行を弥生が支援するサービスですが、現在は、弥生PAP会員の協力のもと品質の検証を行うフェーズに入っており、開発も順調に進行中とのこと。
顧客紹介など弥生PAP会員へのサービス強化も
また、この弥生PAPですが、会員向けのサービスの強化を3つのポイントから検討中との発表も行われました。
弥生が兼ねてから提唱している業務3.0による「業務効率化の支援」に加え、今回、「顧問先拡大の支援」「付加価値提供の支援」のふたつが新たに発表されています。
<弥生PAP会員向けサービス強化のポイント>
- 業務効率化の支援
- 顧問先拡大の支援
- 付加価値提供の支援
【顧問先拡大の支援】
顧問先拡大の支援では、会計事務所を探す事業者向けに有人による相談窓口を解説し、相談内容に応じて適切な弥生PAP会員の会計事務所の紹介を行うとのこと。会計事務所の特徴を把握し、知名度も高い弥生が顧問となる会計事務所を紹介するということで、弥生PAP会員の営業支援効果が期待できます。
【付加価値提供の支援】
付加価値提供の支援では、事業者が会計事務所に求めるサービスや弥生PAP会員が今後提供したいサービスを、アンケート等の声を反映しながら順次提供するとのことで、例えば、事業承継対策などのサービスを検討しているとのことです。
これらのサービスは2018年下半期よりテスト運用、2019年に本格稼働を目指すとのことで、会計ソフトなどの製品面に関するサポートのみならず、会計事務所経営を総合的に支援するという方針のもと新しいサービス開発が進められています。
会計事務所による業務効率化の事例、AIを使ったオンライン融資の紹介など
東京・大阪の事務所が業務効率化事例を発表
カンファレンスでは、ふたつの会計事務所による業務効率化の事例も発表されました。
弥生PAPカンファレンスでは、毎回、会計事務所業界で注目度の高いトピックスが取り上げられ、事例発表やトークセッションが行われますが、今回のテーマは「会計事務所業務の効率化」。
昨今、クラウド会計ソフトなどのテクノロジーの発展によって業務効率化に注目が集まってきましたが、近年では業界全体の人材不足(採用難)もあり、テクノロジーを活用することによって限られた人数で効率良く作業を行うことへの関心も高まっています。
今回は、ヒロ☆総合会計事務所(大阪府大阪市)、アトラス総合事務所(東京都渋谷区)の2事務所による発表が行われました。
それぞれ弥生関連のサービスを利用しながら、どのような顧客をターゲットに、どのような業務体制でサービスを提供しているのか、また、これまでの非クラウドサービスを中心とした業務体制から、クラウドサービスを使った体制へどのような考えのもとどう切り替えたのかなど、リアルな事例が会場の参加者に届けられました。
AIを活用したオンライン融資サービス「アルトア」
また、カンファレンスの最後には、弥生株式会社代表の岡本浩一郎氏より、2017年12月よりサービスを開始した、AIを活用したオンライン融資サービス「アルトア」の紹介も行われました。
アルトア株式会社(以下、アルトア)は、弥生が親会社であるオリックス株式会社とともに設立した少額・短期のオンライン融資を手がける金融会社であり、その融資プロセスはオンラインで完結し、また、与信にはAI技術が利用されるFintech企業でもあります。
アルトアに関しては、同社の代表も兼ねる岡本氏よりサービスの概要やそのコンセプト、サービス開始からの進捗などが解説されました。
今回の内容は、全体像を満遍なく解説するお披露目に近い内容でしたが、岡本代表自らがプレゼンテーションを行い、その内容から、同事業への熱量や成長可能性も強く感じさせるものでした。
弥生PAPカンファレンスではこれまでも、弥生会計 オンラインやスマート取引取込など、数年後に業界のスタンダードになることが予想されるサービスが披露され、それらが普及してきた経緯もあることから、アルトアの提供する「オンライン融資」も数年後には会計事務所にも一般的なものとして認知され、顧問先に推奨されるサービスとなってくるかもしれません。
そして、カンファレンス終了後には、参加者による交流会も開催され、参加者の皆さまが親交を深めました。
以上、弥生PAPカンファレンス2018・夏、東京会場のレポートをお届けいたしました。
弥生PAPで会計事務所経営に必要な情報を!
「弥生PAP」とは、弥生株式会社と会計事務所がパートナーシップを組み、弥生製品・サービスを活用して、中小企業、個人事業主、起業家の発展に寄与するパートナープログラムです。2018年9月時点で9,000以上の事務所が加入。税務サービスを提供する会計事務所様はぜひご加入をご検討ください。