2019年12月の会計士業界の時事ニュースをお届けします。
11月27日と、25日から29日まで5日連続でリリースされた「上場基準見直しなら東芝1部市場へ復帰」「会計評論家細野氏が本物の会計士になるまで」の2件のニュースをご紹介します。
上場基準見直しなら東芝1部市場復帰
- 東証、1部にスピード移行 2部東芝の早期復帰に道 基準緩和、厳格化に逆行も(日本経済新聞 2019年11月27日付)
東証1部の上場基準は厳格化へ向かっていたはずなのですが…。
東京証券取引所が公開した上場基準改正案が、上場を緩和する基準になっていることから、議論を呼んでいます。
今回、東京証券取引所2部市場から1部市場への移行基準の改正案公開に関する記事が、日本経済新聞よりリリースされています。
東京証券取引所は2020年にも2部市場から1部市場への移行基準を緩和する。現在は監査法人の適正意見がついた有価証券報告書(有報)が5年分必要だが、2年分で移行可能とする。
引用元:東証、1部にスピード移行 2部東芝の早期復帰に道 基準緩和、厳格化に逆行も(日本経済新聞 2019年11月27日付)
記事によると、改正された基準は早ければ2020年にも実現する可能性があるそうです。また、現在2部市場の東芝は、基準が改正されればすぐ1部に移行申請が出せることになり、「明らかな東芝救済」と不信感が生まれるだろうと指摘しています。
上場基準を厳格化しなければならなかったのは何故だったのか、その理由に立ち返り、慎重に議論を重ねて欲しいところです。記事では詳細が述べられていますので、ご参照ください。
- 東証、1部にスピード移行 2部東芝の早期復帰に道 基準緩和、厳格化に逆行も(日本経済新聞 2019年11月27日付)
会計評論家細野氏が本物の会計士になるまで
- 「本当の粉飾」はこれだ 有罪判決の元会計士が開く闇(日本経済新聞 2019年11月25日付)
- 「邪魔者扱い」に幻滅 有罪判決・元会計士の新人時代(日本経済新聞 2019年11月26日付)
- 英国では邪魔者じゃない 会計士の誇り、日本離れ知る(日本経済新聞 2019年11月27日付)
- 「粉飾共犯」で突然の逮捕 最年少パートナーから暗転(日本経済新聞 2019年11月28日付)
- 有罪判決で「会計士」剥奪 粉飾の指摘、自由な立場から(日本経済新聞 2019年11月29日付)
KPMGの元パートナーにして、会計不正分析ソフト「フロードシューター(粉飾発見器)」の開発者でもある、会計評論家の細野祐二氏。
今回、細野氏が有罪となるまでの経緯と現在に関する記事が、日本経済新聞より、5日間連続でリリースされています。
会計評論家の細野祐二さん(65)は自らを「不正会計分析官」と称する。企業が公表している決算情報をもとに、これまで多くの粉飾を暴いてきた。本来チェックすべき監査法人は、企業との癒着から見逃しているという。
引用元:「本当の粉飾」はこれだ 有罪判決の元会計士が開く闇(日本経済新聞 2019年11月25日付)
シリーズ1日目の記事によると、細野氏は「粉飾をした公認会計士」として逮捕された後もなお、自分の監査は適正だと強い信念を持ち続け、本当の粉飾を社会に示すため企業決算の「勝手分析」を始めたそうです。
会計評論家の細野祐二さん(65)は、これまで多くの企業の粉飾決算を発見してきた。半生をたどる連載の4回目は、粉飾の疑いで逮捕された時のこと。大手監査法人のKPMGでパートナーまで務めたキャリアは暗転した。
引用元:「粉飾共犯」で突然の逮捕 最年少パートナーから暗転(日本経済新聞 2019年11月28日付)
そしてシリーズ4日目では、KPMG日本オフィスの最年少記録を更新してパートナーに昇格したのも束の間、キャッツの粉飾決算の共犯容疑で逮捕された経緯が伝えられています。
会計評論家の細野祐二さん(65)は、これまで多くの企業の粉飾決算を発見してきた。半生をたどる連載の最終回は、粉飾の共謀で争った自らの裁判について。有罪が確定してからは、「勝手分析」が自らの存在証明だという。
引用元:有罪判決で「会計士」剥奪 粉飾の指摘、自由な立場から(日本経済新聞 2019年11月29日付)
最終回となるシリーズ5日目では、拘置所で絶望感にさいなまれた細野氏を妻からの190通にも上る手紙が支えたこと、その後世の中に粉飾決算が多いことを世間に知ってもらうため、企業が公表する決算の「勝手分析」を始めたことが伝えられています。
公認会計士の資格ははく奪されてしまいましたが、細野氏の公認会計士としての資質は失われていません。
詳細は、下記Webサイトでご確認ください。
- 「本当の粉飾」はこれだ 有罪判決の元会計士が開く闇(日本経済新聞 2019年11月25日付)
- 「邪魔者扱い」に幻滅 有罪判決・元会計士の新人時代(日本経済新聞 2019年11月26日付)
- 英国では邪魔者じゃない 会計士の誇り、日本離れ知る(日本経済新聞 2019年11月27日付)
- 「粉飾共犯」で突然の逮捕 最年少パートナーから暗転(日本経済新聞 2019年11月28日付)
- 敗訴で「会計士」剥奪 粉飾の指摘、自由な立場から(日本経済新聞 2019年11月29日付)
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)