2019年11月の会計士業界の時事ニュースをお届けします。
10月26日、11月6日、9日にリリースされた「中堅監査法人の再編続々」「きかんしゃトーマス所有権巡り不正」「会計士個人事業所も厚生年金加入」の3件のニュースをご紹介します。
中堅監査法人の再編続々
- 中堅監査法人に再編の波 アーク、近畿第一と合併へ(日本経済新聞 2019年10月26日付)
2018年7月に太陽有限責任監査法人と優成監査法人が合併したことは、記憶に新しいと思います。
この再編に続いて、今回、中堅のアーク監査法人と近畿第一監査法人の合併に関する記事が、日本経済新聞よりリリースされています。
中堅の監査法人に再編の波が押し寄せている。アーク監査法人(東京・新宿)は近畿第一監査法人(大阪市)と合併することを決めた。
引用元:中堅監査法人に再編の波 アーク、近畿第一と合併へ(日本経済新聞 2019年10月26日付)
記事によると、相互の拠点網を生かし、大手監査法人から上場企業が契約を切り替える際の受け皿になることを目指すそうです。また、本件や、太陽監査法人と優成監査法人以外にも、今年10月1日に監査法人双研社と日栄監査法人が合併するなど、合併の動きが続いているということです。
アーク有限責任監査法人と近畿第一監査法人の合併契約について、詳細がリリースされています。
- 合併に関するお知らせ(アーク有限責任監査法人 2019年10月29日付)
監査の品質を向上させるために、人材の教育と資金力が一層求められる時代になりました。中堅監査法人の合併は今後も増加するのでしょうか。記事では詳細が述べられていますので、ご参考ください。
- 中堅監査法人に再編の波 アーク、近畿第一と合併へ(日本経済新聞 2019年10月26日付)
きかんしゃトーマス所有権巡り不正
- マテルと監査法人PwC、会計問題を隠ぺいか(THE WALL STREET JOURNAL 2019年11月6日付)
マテルと言う社名は耳慣れないかもしれませんが、きかんしゃトーマスと言えば大人の方にもお馴染みでしょう。
今回、きかんしゃトーマスの所有権を巡る会計問題隠ぺいに関する記事が、THE WALL STREET JOURNALよりリリースされています。
米玩具大手マテルは2018年初めに既に苦戦を強いられていたが、さらに会計ミスで17年7-9月期(第3四半期)の損失を実際より小さく発表していたことが発覚した。
引用元:マテルと監査法人PwC、会計問題を隠ぺいか(THE WALL STREET JOURNAL 2019年11月6日付)
記事によると、会計問題は「きかんしゃトーマス」の所有権に関するもので、社内の財務チームで決算修正について協議が行われたものの、最終的には財務幹部らと監査法人PwCで会計処理手法を変更して問題を隠ぺいしたということです。
監査法人による隠ぺい加担は、市場関係者の信頼を裏切るだけではなく、子どもの憧れの世界に禍根を残すことになってしまいました。記事では詳細が述べられていますので、ご参照ください。
- マテルと監査法人PwC、会計問題を隠ぺいか(THE WALL STREET JOURNAL 2019年11月6日付)
会計士個人事業所も厚生年金加入
- 厚生年金の対象拡大 個人事務所で働く数万人(共同通信社 2019年11月9日付)
会計士が経営する事務所にまで、年金改革の影響が及びそうです。
今回、厚生年金の制度改革案に関する記事が、共同通信社よりリリースされています。
厚生労働省が、弁護士や公認会計士らの個人経営事務所で働くスタッフも厚生年金の対象とする制度改正案を13日の社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の部会に示すことが8日分かった。
引用元:厚生年金の対象拡大 個人事務所で働く数万人(共同通信社 2019年11月9日付)
記事によると、今回新たに厚生年金の加入義務対象業種となるのは、弁護士、会計士、社会保険労務士の事務所で、数万人が対象になると見られているそうです。
このことが会計事務所の労働環境改善になり、優秀な人材が確保できることを期待します。記事では詳細が述べられていますので、ご参照ください。
- 厚生年金の対象拡大 個人事務所で働く数万人(共同通信社 2019年11月9日付)
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)