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買収先企業の業績が当初計画を上回ったとの回答は約1割にとどまる
2019年7月10日
PwCアドバイザリー合同会社
PwCアドバイザリー合同会社(東京都千代田区、代表執行役:吉田あかね)は、7月10日、「M&A実態調査2019 クロスボーダーM&Aにおけるシナジーの発現に向けて」を発表しました。M&Aの経験を有する企業のうち、買収した企業の業績が「計画を上回って推移」と回答したのは約1割にとどまり、M&Aによるシナジー創出の難しさが浮き彫りになりました。
日本企業にとってクロスボーダーM&Aは、激しいグローバル競争を勝ち抜くための成長機会獲得の手段として、かつてないほどに重要性を増しています。一方で、多くの日本企業がその実行に難しさを感じており、想定どおりの効果を実現できていないのが現状です。
当社は、日本CFO協会の協力を得て、2018年9月から11月にかけて、国内の上場企業1,000社以上を対象に「M&A実行後のシナジーの実現に向けた現状調査」を実施し、クロスボーダーM&Aを経験した174社から有効回答を得ました。加えて、2018年12月から2019年2月にかけて、クロスボーダーM&Aの経験を蓄積し、自社流のメソッドを有する日本企業に対し、M&Aによるシナジー実現に向けた個別インタビューを行いました。本調査レポートはこれらの内容をもとに構成されています。
※「M&A実態調査2019 クロスボーダーM&Aにおけるシナジーの発現に向けて」はこちらよりダウンロードいただけます。
https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/thoughtleadership/2019/assets/pdf/ma-synergy.pdf [PDF 1,542KB]
主な調査結果は以下のとおりです。
36%が買収当時の事業計画を実現できず、35%がのれんの減損を実行または検討。「計画を上回って推移」との回答は12%にとどまる
(図表)買収先企業の業績とのれんの減損
過半の企業は想定したシナジーを実現できず、特に「クロスセルによる売り上げ拡大」と「共同開発による新製品売り上げ拡大」に苦戦
(図表)シナジーの達成度合い
約3割の企業が、積極的な試算に基づく最大限のシナジーを織り込んだ価格で買収
(図表)クロスボーダーM&Aにおける買収価格
シナジー効果を得るための3つのポイント
クロスボーダーM&Aにおいて、シナジー効果を獲得しているとされる企業へのインタビューを通じて、想定していたシナジーを発現させるためには、以下の3つの共通事項があることが明確になりました。
- 事業戦略を実現していく手段の一つとしてM&Aを組み込んでおり、当該事業責任者がM&Aの実行からPMIの推進まで深くコミットしている
- シナジーの定量化と価格への織り込みについて、買収検討時に客観的な検証プロセスを実行している
- 買収後に一気に経営基盤を導入する仕組みが確立されており、PMI段階では、買収先企業の自主性を尊重しながらも放任しない最適なバランス感覚でガバナンスを効かせている。
さらに進んだ企業ではM&Aを通じて事業価値を創造していくための取り組みや体制構築に着手し始めています。日本企業が今後のクロスボーダーM&Aを通じて価値の実現を求めていくためには、上記の3つのポイントを実行していくのみならず、より踏み込んで、案件検討時の段階から買収後の事業価値創造のアプローチを描き、それを実行していくことが重要になっていると言えます。
以上
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引用元:PwCアドバイザリー、「M&A実態調査2019 クロスボーダーM&Aにおけるシナジーの発現に向けて」を発表 | PwC Japanグループ