【第4回】過去から学ぶ公認会計士の転職適齢期:会計士のキャリア小六法

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「会計士のキャリア小六法」では、「会計士のキャリア形成についての考え方のポイント」をミニコラム形式でみなさんにわかりやすくお伝えしていきます。

第1回から第3回では、公認会計士の転職適齢期を見極めるための「内的要因」と「外的要因」についてそれぞれ解説しましたが、第4回の今回は、転職適齢期のまとめとして、内的要因と外的要因のふたつを合わせて自分のキャリアや転職適齢期を判断していく方法をお伝えします。

(今回はちょっと複雑かもしれないので、わかりにくければざっと流し読みしてもらうので大丈夫です。)

まず、前回までの確認として、公認会計士の転職に関連する内的要因と外的要因は以下になります。

内的要因

  1. 年齢
  2. 実務経験
  3. 年齢と経験のバランス 

外的要因

  1. 景気の状況
  2. 会計業界の景気
  3. 志望業界の景気

内的要因と外的要因を複合的に判断する

では、内的要因と外的要因を複合的に判断するにはどのように考えれば良いのでしょうか?

前回と同じく2008年からの数年間を例に挙げて具体例を見てみましょう。

下記に2つのケースをご紹介しますが、いずれのケースも

  • 24歳で公認会計士試験に合格
  • 監査法人勤務
  • FAS志望
  • 英語力なし

という前提とします。

ケーススタディ:2006年・24歳で公認会計士試験に合格した場合

まずは2006年に24歳で公認会計士試験に合格したケースです。 

【2006年】24歳、公認会計士試験に合格

ここで大手監査法人に就職し、5年勤務すると以下のようになります。

【2011年】29歳、監査法人での経験5年

  • 内的要因…29歳、5年経験、公認会計士、シニアスタッフ
  • 外的要因…全体の景気:やや回復基調、会計業界の景気:悪い、FAS業界の景気:悪い

2011年の時点では、29歳で経験5年、公認会計士登録も完了し、シニアスタッフに昇格しています。内的要因だけみるとキャリアのバランスは良く、転職適齢期です。一方で、外的要因に関しては、景気全体としてはリーマンショックからの立ち直りがやや見られるものの、会計業界やFAS業界の景気は悪い状況でした。

こういった状況においては、

  • 景気は悪いが、適齢期ではあるので転職活動を行う
  • 年齢的にはややピークは過ぎるが、景気がよくなるのを1~2年待つ

という判断をすることとなります。

また、ここで転職をせずもう2年在籍した場合は以下のようになります。

【2013年】31歳、監査法人での経験7年

  • 内的要因…31歳、7年経験、公認会計士、シニアスタッフ(マネージャーに昇格の場合も)
  • 外的要因…全体の景気:良い、会計業界の景気:回復基調、FAS業界の景気:回復基調

2013年の時点では、内的要因を見ると、31歳で経験7年、シニアスタッフ(早い人であればマネージャーに昇格も)と、転職市場でのニーズの高い20代後半はやや過ぎたものの、経験は十分で未だ転職適齢期です。また、景気も回復基調にあるので、全体として転職適齢期と言えます。

このケース1の場合、2013年には景気が上向いてきているので、2011年に29歳で転職活動を行うよりも、2013年に31歳で転職活動を行うほうが良いと言えそうです。

とは言え、これは結果論で、2011年の時点では2年後に景気が良くなることを予想するのは難しく、より下落するリスクもありました。もし景気が下落したり、横ばいであれば、2011年に29歳で転職したほうが有利だったと言えます。

このケース、どう考えるのが良い!?

このように実際の転職判断においては、景気の先読みができませんが、どう考えれば良いのでしょうか?

今回のケースですと、今すぐに転職活動を行わない(2012年~2013年まで待って転職活動を行う)というのであれば、「市場価値を上げる努力をして待つ」ことによってリスクヘッジができます。

例えば、何もせずに転職を1~2年遅らせるとただ歳をとるだけとなってしまい、もし、景気が悪化した場合に加齢と不景気のダブルパンチとなってしまいます。

しかし、例えば、1年かけてTOEIC800点を取得したり、もしくは、現職で異動や担当替えを行うことによって新たな経験を積めば、歳はとるものの、場合によってはそれを上回るキャリアアップを実現し、1~2年後を迎えられる可能性もあります。

転職適齢期を判断するポイント

このように転職活動では複数の要因を分析し、キャリアプランや戦略を練っていくのですが「現在転職すべきか」ということよりも「自分にはいつ適齢期がくるのか」ということを知り、時間をかけて準備していくことが重要です。

そのため、将来的に転職を考えている場合、何年に自身が何歳でどれくらいの経験を積んでいるかを書き出し、シミュレーションしてみるのも良いでしょう。

なお、外的要因に関しては、景気の予測が難しいのですが、将来の景気に関しては「良い」「普通」「悪い」など3つくらいのパターンに分けてシミュレーションしてみると、転職適齢期がイメージしやすくなります。

また、内的要因の構成要素であるスキルや経験に関しては、「どのような経験を積んでいるか」によっても評価が異なりますし、「年齢を経ても市場価値がダウンしにくいキャリア」などもありますので、本シリーズにて順次、解説していきます。ご期待ください。

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【改訂履歴】
「会計士のキャリア小六法」は時代に即したノウハウをお伝えするために不定期で改訂されております。本記事の改訂履歴は以下の通りです。
初稿:2013年12月19日
第2稿:2019年4月30日改訂

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この記事の著者

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【手塚佳彦/公認会計士ナビ編集長・株式会社ワイズアライアンス代表取締役CEO】 神戸大学卒業後、会計・税務・ファイナンス分野に特化した転職エージェントにて約10年勤務。東京、大阪、名古屋の3拠点にて人材紹介・転職支援、支社起ち上げ、事業企画等に従事。その後、グローバルネットワークに加盟するアドバイザリーファームにてWEB事業開発、採用・人材戦略を担当するなど、会計・税務・ファイナンス業界に精通。また、株式会社MisocaのアドバイザーとしてMisoca経営陣を創業期から支え、弥生へのEXITを支援するなどスタートアップ業界にも造詣が深い。 2013年10月、株式会社ワイズアライアンス設立、代表取締役CEO(Chief Executive Officer)就任、公認会計士ナビ編集長。

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